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第15話 仲直り

「ごめん」

 テオが珍しく頭を下げた。深呼吸をしたら少し落ち着いてきたようだ。

「僕、本当に使命とか神の意志とかに酔ってしまう傾向にあるよね。昔からなんだけどね。一回死んだ時は神と会えてから、こっちの世界にきたんだけど、それが嬉しくてね。自分は特別なんだって、ちょっと思っちゃってたんだ。そんな俺が今こうして真面目に勇者できてるのはこっちの両親のおかげ。こっちの人って本当に愛情表現が適切だよね。大人の記憶を持ってるけど、体が子供だとやっぱり少し子供の情緒になるみたいでね。悲しみとか苦しみとか寂しさとかがワーって胸に押し寄せる時があるんだ。それを癒してくれたのが両親と兄や姉。うちは兄弟多いでしょう。僕は末っ子じゃないけど、それでも兄や姉には可愛がられたよ。本当、兄弟にいろんな人間がいて、鼻を折られまくられて、それでいて愛情はたっぷりで、自分が一人特別なんだって考えは無くなったんだよね。でも、神とか使命って言葉に弱くて、なかなかコレは直んないね」

 テオの言葉が切れた隙をついて言葉を発する。テオは放っておくといつまでも喋るからだ。

「うん、テオの家族はテオのこと本当に大好きなんだって分かるよ。それで、落ち着いたなら、今後のことをもう一回考えよう」

「ごめん、ごめん、そうだね、今後のことを考えよう」

 テオが椅子に座り直し、私とリックを見る。テオの話も私の話もリックは口を挟まずずっと聞いていた。リックに意見がないわけでは無い。ただとても聞き上手で話を聞く姿勢の時は相槌もとてもうまい。今回は話を長引かせないように相槌を一切挟まなかった。そういう機転も効いている。最近私は、意外に三人の中で周囲をしっかり見れているのはリックなのかもしれないなと思い始めたところだ。

「じゃぁ、もう一度考えよう、各国の王が魔物災害を引き起こしてる問題について」

 テオが改めて、今回の議題を言葉にする。

「ロビンが言っていたことを思い出して魔物災害のポイントを二つ挙げると、王の血が必要ってことと実行犯がいるってことじゃ無いかと思うんだけど」

 私が気になっていたことを挙げる。

「それ、俺も気になってた。俺たちの知らない王直属の部下がいるってことだよな?」

 リックが言葉を挟む。王家について一番詳しいリックでさえ知らない存在がいるということ。

「そうなるね。しかも、王は自分の体に傷をつけて血をとってるってことだろう?この世界には注射器なんてないんだから傷をつけて取るしかない。自分も痛い思いをしてることが免罪符になるとでも思ってるのかな」

「テオ、最後のはいらないよ。リックのことも考えて」

 リックの頭がまた俯いているように見えた。けれど、リックはテーブルを少し強めに叩いて、私とテオを強く見た。

「フィラ、大丈夫だ。もう迷わないし、父上の罪をしっかりと受け止める。私欲で魔物災害を起こしたとは思えないから、きっと何か俺たちの知らない言い伝えがあるんだ。それで、本当はやりたくない魔物災害を起こしてるんだ。自分を持っていたいら魔物災害なんで起こせないから、自分を滅して王として人々につくせって言うんだと思うんだ。それを俺は確かめる」

 リックの顔はスッキリとしていた。目にも迷いはない。

 確かに、今、各国の王たちの現状を知らない状態ではなにが真実なのか分からない。王たちも涙を飲んでいるのかもしれない。それなら、その現状を変えることができる。

「慎重にことを進めなければいけないね。コレは王の秘密だ。このことを知っているとなったら、僕たちはもしかしたら暗殺対象になるかもしれない。だから、慎重に話を切り出す必要がある」

「俺がいるんだ。暗殺なんて……」

「いや、まだ分からないけれど、フィラの母親は王の実子だったんだ。その彼女が魔物災害でやられてる。しかもタイミングよく騎士団長がフィラを迎えに行ったんだ。あの魔物災害がアレキーサ王国の王によるものだったとしても、起こることは知っていたことになる。例え血の繋がった子供でも必要ならば死をも与えるってことだと思う」

 テオの堅い声。普段が優しい話方なだけに、時々出てくるこの堅い話方はとても物々しく感じる。

「でも、まずはうちの王国からだよね?まずうちの王国で話をしてからアレキーサ王国とホー帝国の王に話を持っていくでしょう?」

 テオとリックが同時に頷いた。

「それが妥当だと思う」

「じゃぁ、もう今日は遅いし、終わりにしよう。王都に帰るまでに王と四人になれる方法を考えようよ」

 私は大きなあくびが出る。この世界に時計はない。太陽の位置、月の位置で時間を測っている。今は森の中で月の位置もわからず、時間がさっぱり分からないけれど、多分、もう十二時近いはずだ。眠たい時に考えても碌なことは思いつかない。

 リックとテオが私のあくびを見て微笑んだ。

「本当にフィラはいいな。力が抜けてくよ」

 リックがそう言いながら私の頭を撫でた。

「そうだね。お腹が空いてる時と眠い時は正常な判断は出来ないね。フィラは効率がいい考え方をするよね。そういうところ好きだよ」

 テオはサッとテーブルを片付け始める。

 私はリックの大きな手が自分の頭を離れてテーブルの片付けをテオと共に始めるのを見た。私もゆっくりと片付けを始める。


 テーブルと椅子をテオの収納バッグに片付けて、私たちはそれぞれのテントに入った。今夜はロビンの結界が貼られている。魔の森で魔物が多いはずなのに、交代で見張りをすることなく、ぐっすり眠れる。ありがたいことだ。

 私はもう何も考えず、瞼を瞑り、スーっと眠りについた。

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