21)キュッリッキの危機
あれだけ怯えていた神殿に駆け込んでいってしまった、キュッリッキの後ろ姿を皆が唖然と見やる。
辺りは静まり返り、何とも言いようもない空気だけが、無遠慮に空洞の中に流れていた。
誰もが言葉を探すように沈黙を続けるその場に、突如地震のような振動が襲った。立っていた者たちが、思わずよろけるほど揺れが大きい。
「あわわっ地震!?」
「きゃあああああ」
シビルが声をあげるとほぼ同時に、神殿からキュッリッキの悲鳴が聴こえてきた。
「キューリ!」
「キューリさん!?」
キュッリッキの悲鳴に弾かれ、何事かと全員神殿に駆け込み、そこで一様に目を剥く。
「おい、なんだこれ!?」
ギャリーは驚いて声を上げた。
それまで何もなく、奥に向かって縦長一直線だった暗い神殿の中には、壁や柱が出現していて、奥が見えなくなっていた。
突如様変わりした神殿内部に、唖然と驚く一同に、更にキュッリッキの切羽詰まった悲鳴が届く。
ハッとしたように、カーティスの急いた指示が飛ぶ。
「ケレヴィルの皆さんは外に出ていてください。キューリさんのお友達とブルニタルも。捜索は我々だけでやりましょう」
みな黙って頷いた。
「作戦のときの班で別れて探しましょう。ルーファスとハーマンとランドンは、メルヴィンの班へ移って。急ぎますよ!」
カーティスの指示で3班に分かれると、それぞれ神殿の内部に突入した。
* * *
キュッリッキは生まれて初めてだと思うくらいの悲鳴を、喉から絞り出した。
突如目の前に、巨大な怪物が現れたからだ。
柱の影から現れたそれは、あまりにも異様な姿をしていた。
生臭い息と唾液を滴らせ、黄色く濁った眼球には、血のような紅い瞳が斑点のように張り付いている。
大きな口は耳まで裂け、黄ばんだ鋭く太い牙が、何本ものぞいていた。
愉悦を浮かべるその顔は、まるで下卑たイヤラシイ人間の男の顔のように見える。
顔の周りはごわついた黒い毛で覆われ、人面をした巨大なライオンのような怪物は、仰け反り見上げるほどに大きい。硬い甲羅に覆われたサソリに似た長い尾が、せわしなく揺れ動く。
「アタシを獲物として捉えた目だね…。あんな気持ち悪いのなんて、フェンリルでやっつけちゃうんだからっ」
すぐさまフェンリルで応戦しようとしたとき、足元にいたフェンリルが声も発せず、突然何かに吸い込まれるようにかき消えた。
「えっ、フェ、フェンリル!?」
キュッリッキは飛び上がるほど仰天した。
「どういうことなの? なんで消えちゃったのフェンリル! ア、アタシは、アルケラへ還していないのに……どうして??」
辺りを急いで見回し、キュッリッキは生唾を飲み込んだ。
「あんな…あんないきなり現れた怪物といい、勝手に消えちゃったフェンリルといい、どういうことなの……」
しかし悩んでいる暇はない。
戦うために素早く気持ちを切り替えた。すぐさまフェンリルを再召喚しようとして、目を凝らしたが何も視えない。
「う、嘘、アルケラが視えない……な、なんで?」
視線を前方に彷徨わせ、キュッリッキは激しく狼狽えた。
こんなことは、初めてだ。
怪物は距離を取って、ゆっくりと前脚を動かしている。
キュッリッキは意識が飛びそうになるほど困惑を深めながらも、ジリジリと壁際に後退した。
諦めず何度も召喚を試してみたが、その目に映っていたアルケラが、完全に視えなくなっている。
ただただ目の前の怪物の姿を、その神聖な眼に映し出すだけだった。
「どうしよう…、アタシこのままじゃ…」
召喚が使えなければ、キュッリッキには戦う術が何もない。
武術も剣術も使えない。まして護身用の短剣すら持ち歩いていないのだ。
自分の身を護るのはフェンリルをはじめ、アルケラの住人たちだ。それなのにフェンリルは消えてしまい、アルケラも視えない。
これでは、逃げることしか出来ない。
「に、逃げられるの…?」
心にスッと冷たいものが差す。そして急激につま先から這い上ってくる恐怖で、脚がガクガク震えだし、腰が砕けそうになる。
「こんな…トコで、弱気になってる場合じゃない…、しっかりしろアタシ!」
手をギュッと握って、自らに喝を入れる。
ギッと睨むように怪物を見据えた。
「アイツ、すぐには襲いかかってくる感じじゃない…? アタシの出方を探ってるのかな。本能だけに従うなら、あんな風に距離なんてとらない。――もしかして知性があるのかも…。それなら、タイミングを見て逃げ出せばいいんだわ」
諦めるにはまだ早い。
逃げて逃げて、仲間たちの処へ――
「いまだ!」
怪物が足を止めた瞬間、キュッリッキは素早く翻って駆け出した。
不意をつかれた怪物も、すぐさま前脚を跳ね上げ走り出した。
花崗岩で作られた神殿には、どこにも窓がない。もっとも山中を掘った空洞の中に建てられているのだから、明かりなど射すはずもなかった。
(ブルニタルが言ってた……、だだっ広い長方形のような、一つの長い部屋しかなかったって)
それなのに地震の直後、一瞬にして様変わりした。
あちこちを石の壁で区切られ、大小様々な部屋が出来た。そして通路の壁に設えられた篝には、小さな灯りが点っているのだ。
壁には幾何学模様のようなレリーフが埋め込まれ、カビ臭さは一切なく、石はじっとりと冷気を含んで湿っていた。
その中をキュッリッキは、闇雲に走り逃げ回った。時折石畳の切れ目に足を取られそうになるが、たたらを踏みながらも転ばずひたすら走った。
「どうして、どうしてなの…」
怪物は追いかけっこを愉しむかのように、わざとキュッリッキとの距離を取って追いかけてくる。
明らかに遊んでいた。
キュッリッキの頭の中は、混乱してぐちゃぐちゃだった。
訳も判らない事態の連続、仲間たちと出会えない、見たこともない怪物に追いかけられている。
息が上がって胸が苦しくなり、噴き出した汗で視界が曇る。
「初めてアタシのところに来たときから、一度も消えることなんてなかった。ずっとそばにいてくれたのに、黙っていなくなっちゃうなんてフェンリル…」
喧嘩しても、我儘を言っても、けっして傍を離れなかったのに。
「それに当たり前のように視えてたアルケラまで、視えなくなっちった。どうしよう、どうしよう」
キュッリッキの強みは、無敵の住人たちを召喚する事だ。それができないということは、今のキュッリッキはただの無力な女の子。
(怖い……怖いの……)
心の中に、どんどん不安と恐怖が広がっていく。訳が判らない事態にどうしていいか判らず、涙が溢れて視界を曇らせた。
ついさっきまでザカリーと喧嘩をしていたことなんて、頭の中から完全に吹き飛んでいた。
怪物はゆっくりとだが、確実にキュッリッキを追いかけてきていた。獲物を追い詰め、弄ぶかのように。
その行動が、キュッリッキの精神をより追い詰めていく。
大きく開けた明るい場所に出て、そこで石畳に滑って転びそうになる。前につんのめり倒れそうになったところを、追いついてきた怪物に激しく背中を強打された。
「うぐっ」
数メートルほど吹っ飛ばされ、石畳に打ち付けた肩から背中で、滑るように倒れて息が詰まった。鋭い痛みが全身を駆け抜けて、小さく呻く。
逃げるために急いで起き上がろうとするが、思うように身体が動かない。意志とは裏腹に、手足に力が入らないのだ。
「ガクガクしちゃう…」
急に全力で走ったこともあり、筋肉が震えている。
大きく息を吸い込むと胸が軋んだ。肋骨にヒビでも入ったのだろうか。痛みで一瞬視界がぐらりと揺れた。
(逃げ…なきゃ)
か細い腕に力をこめて、それでも身体を起こして立ち上がろうとする。だがすでに、怪物は目の前に立っていた。
足元の小さな獲物が逃げられないことを悟ったように、裂けた口がイヤラシく歪んで広がった。
どす黒い長い舌が牙の隙間から垂れ落ち、鼻を塞ぎたくなるほどの異臭を含んだ唾液が、床に滴り落ちた。
(誰か……)
痛みと恐怖で、涙が止まらなかった。
(お願い…誰か、助けて……)
怪物は目を細めると、鋭い爪を備えた前脚を上げ、勢いをつけて振り下ろした。
* * *
(こんなに広いものなのか?)
複雑に入り組む神殿の中を走りながら、ザカリーの頭の中は、後悔の文字でいっぱいになっていた。
(ほんの少しからかって、あいつとひと時の会話――喧嘩になったが――を楽しみたかっただけだなんだ)
金色の髪の毛が見えないか、薄暗い前方に目を凝らす。
(うっかりあのことを口走りそうになって…。傷つけるつもりはなかったんだ。弾みで口にでちまったとはいえ…大粒の涙まで流させて…泣かしちまったチクショっ)
ザカリーは巻き戻せない時間を思い胸が痛む。そこへあんなに切羽詰まった悲鳴が聞こえてきて、もうどうしていいか判らない。
「場所とタイミングが、わ~るかっただけだよ」
「ちょ! 心の中を読むなよ!」
横に並んで走るマリオンに、ザカリーは顔を真っ赤にして怒鳴る。マリオンはのんびり笑った。
「早く、キューリちゃん見つけてあげよ~」
「……うん」
* * *
「どうやったら一瞬で、こんな複雑構造に作り変われるんですかねえ」
どこをどう走ったものか見当もつかず、手当たり次第走りながらカーティスはぼやいた。
そこに突き刺すような頭痛が走り、念話が割り込んできて顔をしかめた。
(おいカーティス、そっちの状況はどうなっている?)
(ベルトルド卿)
今回の依頼主でもある、副宰相ベルトルドからの念話だ。
(リッキーから預かった小鳥が消え失せた。一体どうしたんだ?)
(え?)
カーティスは己の肩に目を向けて息を呑む。張り付くようにしてとまっていた赤い小鳥が、消えているではないか。
(私のほうの小鳥も消えていますね…。ちょっと、マズイかもしれません)
(? さっぱり意味が判らんぞ)
不快げに眉を寄せる顔が、目に浮かぶような声だった。しかし今はそれどころじゃない。
(とにかく物凄いたてこんでまして。状況がまとまり次第、早急に連絡を入れますから、もうちょっとお待ちください!)
強引に念話を打ち切り、カーティスは走る脚を速めた。
* * *
「ねえハドリー、あたしたちも探しに行ったほうがよくない?」
神殿を見つめ、ファニーが急かすように提案する。
「そうしたいが、中で何が起こっているか判らねえ。二次遭難になったらシャレにならない。足でまといになるから、じっとしてたほうがいい」
「むぅ…」
ファニー同様すぐにでも駆け込みたかったが、ハドリーはその衝動を必死で堪えた。努めて冷静さを装ってはいるが、嫌な胸騒ぎがしてならなかった。
(あんなに怖がっていた神殿に入っちまった。ザカリーとかいう男と喧嘩していた感じから、以前話していた秘密がバレた相手のことだろうな。――何を口論してこんな事態になったのかは判らんが、怖いと言っていた神殿に、駆け込んじまうほど傷ついたんだとしたら…)
穴があくほど、神殿を凝視する。
(クソッ、すぐさま飛んでいってやりたい)
妹のように思っている、大事な親友だ。
ハドリーはチラッと、ブルニタルに視線を向ける。
(でも今のリッキーには、新しい仲間が出来ている。ここにその仲間たちがいる)
仲間との間で起こった問題なら、親友といえどしゃしゃり出ることじゃない。そうハドリーは考えていた。
仲間たちと共に解決することが、キュッリッキのためになると思ったからだ。
「無事でいてくれよ…」
祈るように小さな声で、ハドリーは呟いた。
* * *
叩きつけられるような重みと衝撃が走り抜けたあと、焼けるような痛みに刺し貫かれ、キュッリッキは大きく目を見開いた。
悲鳴をあげた気がしたが、実際は引き攣れた掠れ声が、小さく発せられたに過ぎない。
怪物の爪はキュッリッキの右肩から、胸までを深く切り裂いた。
肉が抉り取られ、骨があらわになり、大量の鮮血が噴き出す。血飛沫と金色の長い髪が宙を舞い、キュッリッキは仰向けに倒れた。
あまりの痛みに気を失うことも許されず、目を大きく開いたまま、キュッリッキの身体はビクンッ、ビクンと痙攣した。
自らの血だまりの中に身を浸し、心の中で必死に叫ぶ。
(痛い…助けて!)
口の中も血で溢れかえり、僅かに開いた口の端を、唾液と血が伝う。
全身が急速に、凍え冷えていく感じがした。
右上半身には激しい痛みはあるのに、他の部位の感覚が麻痺している。手足を動かそうと思っても、ぴくりとも動かない。
閉じることもできない目からは涙が溢れ出し、薄暗い天井を凝視していた。
キュッリッキは怪物を見ていなかった。張り付いたように動かない目は、天井を見上げるのみだ。
やがて意識が混濁し始め、視界がぼやけだした。
* * *
怪物はキュッリッキが流した血の匂いに鼻腔をくすぐられ、なんともいい気分になっていた。
己の爪にこびりついた肉片と血を舐めとると、嬉しそうに目を細める。新鮮で甘い芳しい香りが、口内から鼻を突き抜けていった。
ずっと欲しかった味と匂い。
小さな獲物を見下ろし、怪物は生臭い息を吐き出した。もう動くこともできず、血だまりの中で、息も絶え絶えになっている。
ぬらぬらと濡れ光る赤黒い肌からは、興奮のためか脂が滲み出し、よりテラテラと光沢を強めた。
怪物は想像する。
腹を切り裂いたら、今度は何が見えるだろうと。急に興味が沸いて、それがよりいっそう、残忍な興奮につながった。
怪物はキュッリッキの腹に爪先を向ける。
前脚を振り下ろし、キュッリッキの腹を切り裂こうとした。瞬間――
「ぐっ!」
低い唸り声がして、何かに動きを止められた。
怪物は怪訝そうに足元を覗き込む。そして突然周りが賑わいだし、なにやら足元に、小さい生き物が集まり始めて首を傾げた。
* * *
「リッキーさん!! なんてことに」
「キューリちゃん!」
「ランドンさん早く回復魔法を! このままではリッキーさんが」
「判ってる!」
ランドンはキュッリッキの傍らに膝をつくと、両手を肩口にかざした。
「土に流れた毒は 二度と身体に戻らない
胸から流れ出た苦痛も
戻ることなく去らしめよ」
掌から柔らかな光が溢れ出し、傷口を優しく包み込んだ。
「キューリさん…」
ハーマンは為す術もなく、キュッリッキの周りをほたほたと歩いた。
魔法〈才能〉はあるが、回復魔法は得意ではない。この状態で無理に使うのは、かえって危険だから手が出せなかった。
寸でのところで怪物の攻撃を止めたガエルは、交差させた腕で怪物の前脚を押しとどめながら、肩ごしに振り向く。
「キューリを動かせるか?」
「この様子じゃ今すぐは無理だ。戦う向きを変えてくれ、ガエル」
「了解だ」
ありったけの力を両腕に込め、ガエルは怪物の身体を前方に思い切り押し出した。
怪物は後ろによろけて転がり、壁に衝突した。
そのままガエルは怪物を追い、キュッリッキたちから離れる。
ルーファスはハーマンに、ガエルのサポートにつくよう指示をすると、すぐさまカーティスに念話を送った。
(それは…)
映像付きの念話を送られ、カーティスは愕然とその場に立ち止まった。ヴァルトらが何事かと足を止める。
(ヤバイぞ、かなりの重症過ぎて。ランドンに止血させてるが、このままじゃ死んじまう)
(わ、我々もすぐに向かいます)
(ああ。ギャリーにはオレから連絡を入れておく)
(判りました)
いつになく狼狽えるカーティスとの念話が終わると、ルーファスはすぐさまギャリーに念話を送った。
急に辺りが騒がしくなり、キュッリッキは小さな声をあげる。
「……だ…れ?」
「リッキーさん!」
ランドンの反対側に膝をついていたメルヴィンは、キュッリッキの顔を覗き込んだ。
キュッリッキはぼんやりとする意識の中、メルヴィンに気づいて声を振り絞る。しかしその声は弱々しく、か細くメルヴィンには聞き取れない。メルヴィンは顔を近づけた。
「助け…て」
言葉を発するのが苦痛なのか、血を溢れさせながら小さく唇を動かした。
蒼白なキュッリッキの顔を覗き込みながら、メルヴィンは必死に叫ぶ。
「もう大丈夫ですから、助けに来ましたからね!」
力なく床に置かれていた左手を、そっと取ってメルヴィンは励ました。驚く程手は冷たくなっていて、それがよりメルヴィンの不安を煽る。
口を動かしたことで喉に血が流れ込んだのか、むせて激しく咳き込み、キュッリッキは血を吐き出した。
メルヴィンは慌ててキュッリッキの口元を、そっと拭ってやる。
「動かないで!」
額に汗を滲ませ、ランドンが悲鳴のように叫ぶ。
「回復魔法は得意で専門だけど、こんなに酷い怪我人を診るの、ボク初めてのことだよ!」
「おし、みんなに連絡はついた。もうちょっと一人で頑張ってくれランドン。シビルがこっち向かってるから」
まだ遺跡内を走り回る仲間たちに、連絡を付けていたルーファスが、必死のランドンを振り返った。
「うん」
回復魔法では怪我や病気自体は治せない。痛みや疲労を和らげ、止血をし、細胞の壊死を防ぐくらいだ。
それはどんなに高位魔法を操る魔法使いにも、それ以上のことは不可能なのだ。
怪我や病気をある程度治せるのは、医療〈才能〉だけである。
キュッリッキの状態は深刻で、一刻も早く、医者による治療が必要だ。
(こんな大怪我で、よくショック死しなかったと、褒めてやりたい…)
ランドンは今にも死にそうなキュッリッキを見つめ、いつもは無表情な顔を複雑な色で覆った。
「メルヴィン、キューリに君の外套をかけてあげて。血が流れすぎてて体温が急激に下がってる」
「そうですね」
頷いてメルヴィンは外套を脱ぐと、そっと下半身にかけてやった。そして再度手を取り、温めるようにそっと握った。
ランドンの回復魔法を受けて痛みが和らいだのか、キュッリッキはどこかホッとしたような気分になっていた。でも意識は、混濁していてはっきりしない。
身体中が寒くて寒くて、仕方が無かった。
(みんなが…来てくれた…)
全身が冷え切っていく中、片方の手だけがほんのりと温かい。それが心に、小さな安堵感をもたらしてくれていた。
(メルヴィンが…)
騒々しい音も、沈み込むようにして聞こえなくなっていく。
仲間たちの気配を僅かに感じながら、キュッリッキの意識は深い闇へと落ちていった。




