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片翼の召喚士  作者: ゆずき
奪われしもの編
14/226

10)ベルトルドからの依頼・1

 別名傭兵街と呼ばれるエルダー街の昼間は、閑散としていて人通りが少ない。

 仕事のない傭兵たちは夜遅くまで酒を飲み、夕方近くまで寝ている。

 それに、夜の商売をする人々も多く住んでいるので、普通の暮らしを営む家庭が、あまり多くないこともある。

 今日のように天気のいい明るい日中には、子供たちが元気に外で遊びまわっているものだ。

 そうした当たり前の光景が、この街には欠けていた。




 露店前や茶屋に人が少ないと感じたことを口にしたキュッリッキに、果物の露店を営んでいる老いたオヤジが、豪快に笑い飛ばした。


「仕事にあぶれた連中が朝まで飲んで、今は大いびきかいて寝てるのさ」

「昼間動いてるのは、アタシらみたいに真っ当な人間だけさね」


 小柄で太った女将は、紙袋にオレンジを入れて、キュッリッキに手渡してくれた。


「ありがと、おばさん」


 オレンジの代金を支払うと、キュッリッキはニコリと笑顔を返した。

 アジトから徒歩10分ほどの距離にある、露店が多く出店するエルダー街唯一のマーケット広場だ。

 この広場では、昼も夜も店を出している。だいたい0時くらいまで店が開いているので、夜間行動する傭兵たちに多く利用されていた。


「夕方頃になると、ここの広場も賑わい出すよ。今度その頃来てごらん」

「うん、そうしてみる」


 キュッリッキが素直に返事をすると、オヤジは嬉しそうに笑った。


「また来ておくれね」

「またな、ねーちゃん」


 笑顔の老夫婦に見送られ、手を振りながら露店の前をあとにした。


「頼まれたものは、全部買ったよね……」


 腕に抱えた紙袋の中を覗き込んで、そして顔をずらして足元に声をかける。

 銀色の毛並みが美しい仔犬が、キュッリッキの声に応じて小さくのどを鳴らす。


「よし。じゃあ帰ろっ」




 普段食材の買い出しは、週に2回。

 キリ夫妻と一緒に、メンバー数名が馬車を借りてきて行く事になっている。荷物の量が半端ではないからだ。

 力を持て余しているヴァルトと、きっちり仕切るメルヴィンは、仕事で出ていない限りは毎回ついていく。

 しかしそれでも足りない食材が出たりすると、キリ夫人は誰かにおつかいを頼んでいた。

 たまたま水を飲みに台所へ行ったキュッリッキは、ちょうど昼食の準備で動けないキリ夫人の頼みをきいて、おつかいでマーケットに来ていたのだ。

 買い物も済ませたので、広場を出たあとは、のんびり歩いてアジトへ戻った。




「あ、キューリさん」

「キュッリッキです」


 帰るとすぐカーティスから呼ばれ、反射的に速攻訂正をする。

 ヴァルトから”キューリ”などと不名誉なあだ名を進呈され、以来、メルヴィン以外からは”キューリ”と呼ばれ続けていた。

 律儀に訂正をするが、少しも改善されない。


「はいはい。で、キューリさん、これから出かけますので、支度してください」


 まるで相手にしていないカーティスは、簾のような前髪を軽く手で払いながら、穏やかな表情で言った。


「? アタシも? ドコ行くの?」

「道中お話ししますから、取り敢えず急いでくださいな」

「ああ、はい」


 キュッリッキは急いで台所へ行った。

 慌てて荷物とつり銭をキリ夫人に渡すと、玄関ロビーにとんぼ返りした。

 玄関ロビーに戻ると、カーティスの他に、ルーファスとメルヴィンも来ていた。


「では行きましょうか。留守を頼みますね、メルヴィン」

「了解です。いってらっしゃい、みなさん」


 朗らかなメルヴィンに見送られ、カーティス、キュッリッキ、ルーファスの3人はアジトを出た。




「我らがベルトルド卿から、『(やしき)まで来い』と呼び出しがありました。来るときには、キューリさんもお連れするよに言われたんです」

「ふ~ん、そうなんだ。アタシになんの用事かなあ?」


 エルダー街のアジトに連れてきてもらったとき以来、ベルトルドには会っていない。

 入団祝いと引っ越し祝いは、おつかいだという人が届けてくれた。

 このハワドウレ皇国の副宰相という、すごく偉い地位にいる人だと知って、この先滅多に会うことはないだろうとも思っていた。


(所詮アタシは、ただの傭兵にしか過ぎないしね。偉い人に会う用事なんてナイもん)


「メッセージに詳細なことは書いていなかったんですよ。『(やしき)までキュッリッキを連れてすぐ来い』としか」


 カーティスは苦笑を滲ませながら説明した。


「内容記さず呼び出しとか、珍しいよね~。キューリちゃんも連れて来いなんて」


 カーティスと並び歩きながら、ルーファスは不思議そうに首をかしげた。


「キューリさんを連れてこい、というのは、単に会いたいからでしょう。とても気に入っていた様子なんで…」

「え~、それって私情挟みすぎー。つか、オレたち護衛役だったりして」

「それが本当でも、私は驚きませんとも」


 おかしそうに笑うルーファスと、肩をすくめるカーティスの後ろをついて歩きながら、2人を交互に見上る。

 会話の内容がいまいち判らないので、キュッリッキはおとなしく口をつぐんでいた。


「それにしても、ハーメンリンナに入るのも、久しぶりだよね」

「あまり近寄りたくはない所なんですがね」

「せっかく宮仕えを脱したのに、ホントめんどくさいよな、あんなとこ」

「同感です」


 行き先がハーメンリンナと判り、キュッリッキは身を乗り出す。


「ハーメンリンナに行くの?」

「そそ。ベルトルド様の(やしき)は、ハーメンリンナの中にあるからね~」


 ルーファスがにっこりと答えた。


「キューリさんは初めてですか?」

「うん。入ったことないよ」


 まず、一般人が入れるような所ではない。

 当然キュッリッキも、入れるような身分ではない。


「キューリちゃんの通行証は、大丈夫なん?」

「衛兵には話が通っているはずです。私たちが一緒だから、多分大丈夫でしょう」

「そっか」


 アジトから歩くこと30分ほどで、城壁の唯一の入口前に到着した。




 カーティスとルーファスは、ごく普通に歩いていた。しかし、2人に比べると歩幅が小さいキュッリッキは、着いていくのがやっとだった。

 一度も立ち止まることなく、キュッリッキは必死に小走り状態。城壁の門の前に着く頃には、すっかり息があがってしまっていた。


(……つ、疲れた……)


 その様子にようやく気づいたルーファスが、苦笑気味にキュッリッキの顔を覗き込む。


「大丈夫? キューリちゃん」

「ぜぇ……ぜぇ……だいじょぶ…」

「召喚士は体力なさそうだなぁ」


 そう言って笑いながら、ルーファスはキュッリッキの手を取った。


(ど…どうしてこう…男の人って、歩幅が大きいんだろう…)


 自分の歩幅が小さい、遅い、とはけっして思わないキュッリッキだった。




 皇都イララクスはもともと、中心街ハーメンリンナだけを指していた。

 長い年月の間に、周囲の街々もひっくるめて皇都と呼ばれるようになった。

 ハーメンリンナは大きな街を5つも合わせたほどの規模で、全て城壁で覆い囲まれている。とんでもない広さだ。

 キュッリッキは顔を上げて、城壁を見上げた。

 城壁は高さ12mもあり、隣接する外街は、そのぶん時間帯によって影に包まれてしまう。ずっと見上げていると、首が凝りそうだ。


(この場所が皇国発祥の地で、超古代文明の遺産を使って作られた街、とか前に聞いたことあったかな…)


 傭兵ギルドでそんな話を耳に挟んだな、と思い出していた。

 外壁は花崗岩でびっしりと覆われ、唯一出入り口に作られた門の横には、検問をする衛兵たちの詰所が建てられていた。

 カーティスら3人が詰所の方へ行くと、中から数名の衛兵が出てきた。

 まるで全力疾走でもしてきたかのような様子のキュッリッキを見て、先頭にいた若い衛兵は目を丸くした。


「副宰相閣下から、我々が来る旨のお話が、着ていると思いますが」


 そう言って、カーティスは身分証を提示する。


「ああ、ライオン傭兵団の方々ですね」


 身分証を確認した若い衛兵は、笑顔で頷いた。


「はい」


 カーティスに身分証を返し、若い衛兵は会釈する。


「では、身体を改めさせていただきます」


 ハーメンリンナには皇王をはじめとし、国の要人、貴族、上流階級の人々が住み、行政の重要機関や、軍本部なども建っている。

 それゆえ中に入るには、専用の身分証が必要であり、入念なボディチェックを受けるのが、絶対の決まりなのだ。

 応対した若い衛兵がカーティスを、別の衛兵がルーファスを担当する。

 そして。

 華奢な美少女が息も絶え絶えの様子は、さぞ哀れに見えるのだろう。

 2人の身体を改めている衛兵たちは、時折痛ましそうにキュッリッキを見ていた。

 カーティスのボディチェックを済ませた若い衛兵は、今にも倒れそうなキュッリッキを見て破顔した。

 キュッリッキは真っ白なノースリーブのワンピースをまとっているだけで、カバン類も持っていないし、外見では武器の携帯は見られなかった。


(それに彼らの連れなら、大丈夫だろう。万が一何かあったとしても、彼らを招くよう指示をした副宰相に、責任は行くのだから)


 独自の判断で、キュッリッキのボディチェックはせず、若い衛兵は3人のために、徒歩専用の門を開けた。


「結構です。どうぞ中へお入りください。ようこそ、ハーメンリンナへ」


 若い衛兵は、3人の通行を許可した。




 暗いアーチ状の通路を通って、出口に差し掛かった頃、一瞬の眩しさにキュッリッキは手をかざす。


「うわあ…」


 ルーファスに手を引かれたキュッリッキは、目の前に広がる光景に目を見開いた。


「すごーい、すごーい! ねえねえ、これは湖? キラキラしてるの!」

「いやいや。水じゃなく、ちゃんとした地面なんだよ」


 ルーファスにそう言われて、キュッリッキは改めて目を凝らす。

 目の前には、まるで大きな湖が広がっているようにしか見えない。

 水のような光沢と輝きを放った、不思議な地面だった。

 地面に立ってみせて、カーティスはキュッリッキに笑いかけた。


「水ではなく、ちゃんと地面です。濡れてもいませんよ」


 両手を広げておどけてみせる。

 しがみついていたルーファスの腕からそっと離れると、小走りに駆けていき、軽くジャンプして、煌く地面を踏みしめてみる。

 靴底から伝わって来るのは、硬い石の感触だった。それにも驚く。


「うわあ、ホントだね~」


 ハーメンリンナに入った途端、いつになくキュッリッキは無邪気にはしゃいでいた。

 先ほどまでの疲れなど、いっぺんに吹き飛んでしまったようだ。

 あまりにも素直すぎるその反応を見て、2人は顔を見合わせ笑みを浮かべた。


「まあ、我々も初めて来たときには、同じような感想を持ちましたしね」

「うんうん」


 幼い子供のようにはしゃぐキュッリッキを、微笑ましく見つめながらも、ルーファスはカーティスに視線を送る。


「それにしてもさあ、遅くね?」

「遅いですねえ…。渋滞でもしているんでしょうか。もともと超鈍速ですし」


 待ちくたびれたように、ルーファスとカーティスはひたすら東のほうを見つめていた。

 キュッリッキもつられて東に視線を向けたが、光る地面が煌めいているだけ。

 ここに佇むだけで、2人は全然動こうとしないため、キュッリッキは焦れてくる。


「ううん、早くこの中を、探検したいなあ」


 水のような地面といい、興味を惹いてやまない。


「外から見ると、中も暗そうなイメージだったのに、すっごい明るいのね」


 城壁の内側の壁は、光を弾いて真っ白に光っている。鏡が照り返すよりも、ずっと柔らかい光だった。

 だから、目が痛くなるような眩しさは感じない。

 ここからは光る地面以外は、街らしきものは見えない。だだっ広い湖のような広場だけだ。

 いよいよ退屈な空気が漂い始めた3人のそばに、突如として一隻の無人のゴンドラが、スィーッと到着した。


「ああ、ようやくベルトルド卿のゴンドラが迎えにきましたよ。さあさ、これに乗っていきます」


 まだ光る地面に関心を寄せているキュッリッキの手をひいて、ルーファスとカーティスはゴンドラに乗り込んだ。




「何もしてないのに、ゴンドラが勝手に地面を滑ってるの。不思議…」


 船上で動き回っても、ピクリとも揺れないゴンドラのヘリにつかまって、キュッリッキは顔を突き出して地面を覗き込んだ。

 光る地面は青みを帯びた黒色をしている。


「光を弾いて煌く素材が、石に含まれているんだそうですよ。だから光を弾いて、キラキラ見えるんです」


 そうカーティスが説明してくれた。

 その上を艶やかな白で塗装されたゴンドラが、音も立てず、滑るようにして緩やかに進んでいた。


「ゴンドラって水の上の乗り物でしょ、なんで道路の上を動いているんだろう…」


 キュッリッキは不思議でならなかった。


「グラグラ揺れないなんて」

「詳しい仕組みは知らないんですが、磁力を応用して動かしているそうですよ、これ」


 これ、と言ってカーティスはゴンドラを指した。


「この地面は磁力効果があるとかどうとか。まあ、人工的に作られた素材らしいんですけどね」

「そうなんだ…」


 説明されても、キュッリッキにも判らなかった。


「ハワドウレ皇国は、色々な分野の研究が大好きな国です。イルマタル帝国やロフレス王国よりも、ずっと科学の面では大進歩している。と、ヴィプネン族は自負しているようですよ」


 まるで他人事のようなカーティスの言い方に、ルーファスが面白そうに笑う。


「オレたちも、ヴィプネン族じゃん」

「まあ。ただそう考えるヴィプネン族は、このハーメンリンナに住んでる人々だけですけど」

「んだねー。ヴィプネン族って、種族的になんも特徴ないし。知恵だけでも種族としての先を、いきたいんだろうさ」


 ルーファスは小馬鹿にするように、笑い飛ばした。

 アイオン族は空を翔ける翼があって、容姿端麗で〈才能〉(スキル)もある。

 トゥーリ族は人間と動物二つの能力を有していて、更に〈才能〉(スキル)もある。

 ヴィプネン族は〈才能〉(スキル)だけ。


「だから二つの種族に負けないよう、あらゆる研究をすることにだけは、旺盛なんだよね」


 ルーファスは若干侮蔑を込めた視線で、すれ違うほかのゴンドラをみやった。

 進むにつれて、すれ違うゴンドラの数も増えてくる。


「ハーメンリンナのお高くとまった連中は、城壁の外の世界を知らないし、知ろうともしない。つまんない奴らなのさ」


 時折すれ違うゴンドラには、立派な身なりの紳士や、着飾った美しい貴婦人たちが乗っている。

 貴族や上流階級の人々なのだろう。

 ゆっくりと進むゴンドラの上で、優雅に周りの景色に溶け込んでいた。

 2人の会話を興味なく適当に聞き流し、風景を物珍しそうに見ていたキュッリッキは、小さく首をかしげてルーファスを見る。


「ルーさんは、ここの人たちが嫌いなの?」

「うん、反吐が出るほど、大嫌いさっ」


 あぐらをかいた脚の上に肘をついて、ルーファスは嫌そうに吐き捨てた。


「ふーん、そうなんだ…」


 キュッリッキは反応に困る。


「でも」

「でも?」

「巨乳のねーちゃんたちは大好きだ」


 ニシシッと笑うルーファスを見て、キュッリッキは口の端を露骨に引き攣らせた。

「自分は大の巨乳好きだ!」と、この間言われたことを思い出し、キュッリッキは自然と自分の胸元に視線を向けて、ひっそりとため息をついた。


(一生懸命食べても太らないし、胸のほうにもお肉がつかないんだもん…)


 実は、とてもとても巨乳に憧れている。

 必死に胸周りの肉をかき集めて寄せてみるが、かき集めるほどの贅肉がないため、無駄な努力に終わっていた。

 ゴンドラは緩やかな速度で迷いなく進み、北の区画へ進路をとった。




 ハーメンリンナは、中央に広大な敷地を有する宮殿と、その四方に区画を分けられている。

 東は貴族達が暮らす(やしき)が建ち、西は資産家たちの住まいや高級店が並び、南は軍事に関する施設があり、北は政治や研究に関する施設があった。

 各区は大きな島のように見え、区画間には広大な河のような道路が伸び、その上をゴンドラが優雅に滑っていた。




 ゴンドラは鈍速、成人男性が普通に歩く速度よりも遅い。

 門から延々1時間近くは揺られている。

 全てが物珍しいキュッリッキにとっては、風景を楽しんだり、すれ違うゴンドラに乗る人々を見たりと、楽しい時間だった。

 しかしカーティスとルーファスは、最初の10分ほどは会話も弾んでいたが、今では黙り込み、うんざりした表情(かお)をしていた。


「これに乗る度オレ、いつも思うんだ……。自分で歩いたほうが、絶対早い!」

「同感ですね」


 キュッリッキはふと、あることに気づいてルーファスに顔を向けた。


「そいえば、誰も歩いてないのね。みんなゴンドラに乗ってるよ?」

「大通りは徒歩禁止なんだよ、ここ」

「えっ!?」


 河のような道路を見渡すと、確かに歩行者用の歩道が見当たらなかった。


「自分の足で歩くのも、走るのもダメ。当然、転がるのもダメだな」

「生き物は全部ダメですね」

「えええ…」


「なにそのヘンな決まり」といった表情(かお)をするキュッリッキに、ルーファスは同意するような笑みを浮かべた。


「ちなみにヴァルトに言わせると、『潔癖症の道路』だそうだ」


 思わずキュッリッキは吹き出した。


「ピッタリな表現だね」

「全くだな」


 退屈なゴンドラに、しばし笑いが満ちた。




 区画の中にある道路にゴンドラが乗り入れると、周りの景色が様々に変わってきた。今度は歩行者もいた。

 城壁の外では見たこともない、大きくて変わった形の建物がたくさんあり、


「あれは何の建物?」


 キュッリッキは指をさして、2人に質問を投げかける。


「研究施設だね。もう北区に入ったから、行政や研究施設が多くあるよ」


 答えてやりながらルーファスが言うと、キュッリッキは嬉しそうに目を輝かせた。


「何の研究をしているのかな、あっ、人が歩いてるのが見えた!」


 など言って、楽しそうにはしゃいでいた。

 笑顔から光の粒子が、零れているように見える。


(こういうとこ、やっぱ女の子だよね。可愛いな)


 ルーファスは念話でカーティスに話しかけると、カーティスも微笑を浮かべて頷いた。


(ここ数日、ザカリーとなんだかギクシャクしているように見えるので、心配していたんですよ。元気もなかったですし)

(だよねー。アイツに聞いたら、「別になんもナイ」としか言わないし。キューリちゃん、明らかに避けてる感じだしさあ)

(ふむう。…着替えでも覗いたんでしょうか)

(あー! ありえるかも!)

(帰ったら説教ですね……)

(あはは、こってり絞ってやって)


 やがてゴンドラは、数々の(やしき)の門の前を通り過ぎ、北の最奥にある、一際大きな(やしき)の前に停まった。


「やあっと着いた!」

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