感想を書かれました
ボクは小説投稿サイト『小説家になりお』に物語を投稿してるんだ。
そりゃブルジョワな人たちに比べたらちっとも読まれてないも同然だけど、それでも楽しい。
読んでくれてる人は確かにいるし、たまに感想だってもらえちゃうからね。ふふふ。
流行りのジャンルは書く能力がないので、好きなものを好きに書いてるだけ。
でもボクが好きなものを好きになってくれる人が少なからずいる。
ぽわぽわ爆弾を主人公にした現実恋愛モノを投稿すると、ボクはドキドキしながら待った。
一時間は必ず待つ。
一時間待ってから、どれぐらい読まれたか、もしかしたら感想がついてるか、確認する。
どうだ!?
面白い自信はあった。
感想、来いっ!
祈りながら、スマホを持つ手に力を込めながら、読み込みが終わるのを待つと、ボクの目の中に赤い文字が現れた。
感想を書かれました!
何?
『感想が書かれました』とどう違うの? ぶるぶる……
いつも感想『が』書かれました、って表示されるよね? なんか怖い……
『が』と『を』の違いって、何? それとももしかしたらボクが知らないうちに表現に変更があったの?
ドキドキしながらその赤い文字をタップすると、感想の内容が現れた。
ぽわぽわ爆弾を主人公にするのをとても新しいと思いました。
これからを頑張ってください!を
顔がニヤけてしまった。
わかる人はわかってくれるんだなぁ。
やっぱりボクが書いたものは面白かったんだ!
そう思ってホーム画面に戻ると、また赤い文字が表示されていた。
感想に書かれました!
何を?
何を感想『に』書かれちゃったのかな!?
そう思いながら赤い文字をタップする。
ぽわぽわ爆弾に主人公にするのにとても新しいと思いました。
これからに頑張ってください!に
なんかおかしくない?
なんか世界が狂いはじめてない?
そう思っていると、また赤い文字──
感想で書かれました!
ちょっと疲れちゃったかな、と思ったので画面を閉じた。
ココアをくぴっと一口飲んで、心を落ち着けて、再び画面を開くと──
レビューは書かれました!
すげえっ!
レビューなんて書かれちゃったよ、ボク!
初めて書かれたので違和感ない!
そのレビューは遂に書かれちゃったんだな、と凄く納得することが出来た。
早速、興奮しながらその赤い文字をタップすると──
ぽわぽわ爆弾は主人公にするのはとても新しい存在は斬新なアイデアとしてはよく、なかなか新しい世界は開かれている。
私はこの作者はこれからは頑張ることだろうということは信頼は持てるとは感じており、とても期待は出来るものと思ってはいる。
なんか日本語おかしくない!?
いや、きっと、もしかしたら外国人のひとなんだ。外人さんも結構ユーザー登録してるって聞くから──
そう思っていると、また赤い文字がホームページに表示された。
運営からもメッセージが届きました!
今度は一際赤い文字。赤い! 赤すぎる!
運営さんから何のメッセージが届いたの!? っていうか運営から『も』ってことは、それだけじゃなく? どこからもメッセージ届いてんの!?
っていうかこれってもしかして、警告!?
あるいはその反対で、嬉しいメッセージ? 書籍化!?
そう思いながら、心臓をバクバクさせながらタップすると、
そこで目が覚めた。
なんだよ夢オチかよ。
それ、タブーとされてるって聞くよ?
そう思いながら、枕元のスマホを取り、開くと、感想は、一件も届いてなかった。