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序章
ーむかしむかし、とある山奥の洞窟にて…
「…お前、何度もここに来ていったいどういうつもりだ?」
少女は少し苛立った様子で目の前に座る青年に尋ねる。
「ですから、神様のお世話をさせていただきたく…」
「だから!そんな事頼んでおらぬ!」
少女を神様と呼ぶ青年は飄々とした態度で返答し、少女もついに声を荒げて青年を怒鳴りつけた。
しかし、この青年は一歩も引かない。
「私も頼まれてやっているわけではありません。神様もどうぞお構いなく…」
「〜〜っ、もうよい!私は寝る!」
これ以上の問答は無駄だと言わんばかりの勢いで少女は青年に背を向け、洞窟の床に敷いてある茣蓙に横になった。しかし青年は帰る素振りもなく居座り続けている。
(何を企んでおるのかこやつ…)
(なんでこんなことになったのやら…)
(ここでなら、誰にも見つからずに済むと思っていたのに…)
(いや、そもそもあの時こやつの相手などしなければ…)
少女は横になりながら後悔の念に苛まれる。思い起こされるはつい数日前の出来事であった。