不運だけど実力者なんです!
時は数十年後。ゲームの世界は今よりももっと進歩していた。
自分の体形や性別すらもバフ、デバフの対象になるようなMMOが完成していた。
そんな中女性キャラしかも少女で最強を目指し成し遂げたものがいた。そのもののゲームキャラ名はソフィア。彼女が率いるはギルド『シャーロット』総勢70人強が所属する大ギルドだ。ソフィアはそんなギルドのギルド長として長く活動していた。
とあるとき、彼女のプレイするMMOにてイベントが開催されることとなった。真夏ということもあって納涼系のイベント。まさかの各ギルド拠点や町に大量のゾンビが侵攻してくるのでそれを食い止めろというものだった。
毎度のことながら雑だのなんだの非難囂々だったが結局は楽しんでしまうのがゲームプレイヤーというもの。各ギルドは各拠点に防衛設備や罠をゾンビ用に張り巡らせるなどなど対策を講じていた。
ソフィア率いるシャーロットも例外なくその渦に飛び込み今度こそギルドランキング一位を目指し日々装備や戦術の研鑽にいそしんでいた。ソフィアは皆ががちがちの重装鎧などに身を包むのを横目に見つつ彼女自身はメイド服を着ていた。前日に行われたお遊びの罰ゲームのせいで犬耳とメイド服が必須装備となっていたからだ。べつに彼女自身それを嫌がっていたわけではなかったからかわいいアバターと合わせてwin-winの関係ということだろう。
さて、忙しい日々は終わりついにイベント開始当日になった。各拠点にはギルドマスターが決定した時間に毎日ゾンビが侵攻してくる。ソフィアの指定した時間は深夜12時から3時までの4時間。一番ギルドメンバーが集まり、かつ彼女自身が一番元気な時間帯であるからだ。ソフィアの中の人は死ぬほどの夜型人間であるためこういうイベントでは生き生きしている。
「さって!そろそろね・・・」
「ソフィアさん。いけますかね?」
「なにが?みんなであんなに準備したじゃない。」
「いやそれがゾンビの数って各ギルドのメンバー数に応じて増えるらしいんですよね」
「え、まじぃ?」
「まじです。さっき攻略を終えた近くのギルド『ニヴル』が言ってました。」
「まじかぁ・・・じゃあひっさしぶりに前線出ようかな?他ギルドとの戦争ってわけじゃないし。」
「え、ソフィアさん戦闘できたんすか!?」
「ひどい~ヘイムルさん!w・・・・マジで思ってる?」
「はい。結構マジでびっくりしてます。」
「超ショックなんだけど~。よし見せてあげるわ。わたしがなんでこんな巨大ギルドを率いれてるか。」
「は、はい」
かくして時はきた。
戦闘開始とのゲーム内アナウンスとともに大量のゾンビがあたりにスポーンする。一人に下に降りて構えていたソフィアはうなる。
「はえ~。思ったより多いねこりゃ。ま・・・やれるだけやってみるかね。」
「まずは・・・手始めに『正拳』」
目の前の地面はえぐり取られ発生した爆風がゾンビを遥の彼方へふきとばす
「ありゃ。別に耐性がどうのとかそういうわけじゃないのね。」
「なら・・・魔法詠唱『封魔結界』」
ソフィアを中心に聖なる光が広がり魔方陣が地上に描き出される。その中に入ったゾンビたちは跡形もなく消え去っていく。
「さて。これで勝ったかな・・・?と、あれ?おかしいな?」
先ほどまで踏み入れた瞬間に霧散していたゾンビたちがどんどんこちらに迫ってくる。
「なるほど仲間がやられるとそれに合わせた耐性をどんどん獲得していくってことね。」
「これをこの数・・・・めんどくさいことこの上ないわね」
陣地を特殊耐性持ちに囲まれたソフィア。この先の作戦は如何に?
To be continued……