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皇子たちのこれから

「父上。ですが、お一人であの荒れ地を開拓したり畑を整備するのは無理です」

「兄上の言う通りです。父上、わたしたちも帰ります」


 お兄様たちは、慌てふためきつつ拒否をした。


「二人とも、よくききなさい。おまえたちは、年寄りに付き合って片田舎で貧乏暮らしをする必要はない。せっかくの機会だ。どこまで出来るか試してみるといい。アルノルド殿やメグの足を引っ張るようなら、そのときには戻ってくればいいだけのこと」


 お兄様たちは、おたがいの顔を見合わせた。


 二人とも、納得出来るわけないわよね。


「案ずるな。何も一人でするわけじゃない。そうだろう、フレデリク殿?」


 えっ、どういうこと?


 思わず、お兄様たちといっしょに第三皇子を見てしまった。


「じつは……」


 第三皇子が説明してくれた。


 第一皇子と第五皇子が、皇宮を離れたがっているらしい。そして、離れた後の落ち着き先をよりによってわたしたちの田舎の家にしたがっているという。


 第一皇子は、ラウラが子どもを産んで育てられる環境を求めている。プラス、自分自身を鍛え直したいと思っているらしい。


 第五皇子は、ダイエット目的である。劣悪な環境に身を置き、本格的にダイエットに取り組みたいらしい。


 ただ、どちらの皇子も一応皇子。彼らだけで行かせるわけにはいかない。だから、お付きの人たちも行くことになっている。

 そのお付きの人たちが、独身の若い人たちばかりだとか。


 というわけで、実家もさすがにあばら家のままにしておくわけにはいかない。


 皇子たちやラウラやお付きの人たちがすごせる、最低限の改築や建て増しをする予定だとか。


 その資金は、当然皇子たちが出してくれる。


 お父様は、最初は断ったらしい。いくらなんでも、皇都どころか皇宮すら出たことのない皇子たちである。いくらお付きの人たちがいようと、生活出来るわけがない。そう思ったからである。


 だけど、両皇子の意志は堅固だった。


 おそらくだけど、お父様もお兄様たちがいなくなれば寂しい思いをすることがわかっている。それもあって、結局のところ彼らの申し出を受けたに違いない。


 お兄様たちは納得した。


「カミラ、ベルタ、愚息たちは田舎者だ。どうか気長に見守ってやってほしい」


 お兄様たちが納得したタイミングで、お父様は執務室の片隅でひっそりと立っているカミラとベルタに声をかけた。


 どういうこと?とまた疑問がわいた瞬間、二人の顔が真っ赤になった。


 そして、お兄様たちの顔も真っ赤になった。


「まいったな。そんなことになっていたのか?」


 第三皇子のつぶやきで、皇太子殿下とわたしもやっと気がついた。


 イヤだわ、お兄様たち。いつの間に?


 田舎者のくせに、油断も隙もないじゃない。やっかんでしまうわ。


 だけど、カミラとベルタだったら、お兄様たちを任せて安心ね。


 っというか、双子どうしの子どもってどうなるの?やっぱり双子が産まれてくるのかしら?


 このさき、そういう生命の神秘的なところも楽しみね。


 それはともかく、これで皇太子殿下もすこしは安心よね。


 お兄様たち、それから第七皇子も補佐してくれることになっているから。


 第七皇子は、わたしから勇気と生きる気力みたいなものをもらったから、がんばってみると張り切っているらしい。


 第七皇子(かれ)ったら、わたしに罵倒されたり嫌味を言われてよほど悔しかったのね。それとも、ちょっとマゾっぽいところでもあるのかしらね。


 どちらにせよ、彼はイジイジおどおどさせておくだけではもったいないわ。彼が皇太子殿下を助けてくれるのなら、おおいに役に立ってくれる。


 まぁいっか、よね。


 第二、第六皇子たちは、皇宮でおとなしくすごすつもりらしい。女性関係も出来るだけ控えるんだとか。


 どちらも根っからのプレイボーイ気質みたいだから、それがいつまで続くかはわからないけど。


 皇太子殿下の邪魔さえしなければ、問題ないわよね。


 問題があるのは第四皇子なんだけど、彼は伯父である宰相によって、しばらくの間宰相や皇妃殿下の実家ロッシ公爵家の別荘に追い払われるんだとか。

 

 追放ってわけじゃないけれど、皇都から消えてなくなれって感じかしら?



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