悪役令嬢に転生したと思ったら悪魔令嬢に転生してしまった様です。~善行は悪徳なり~
私の名はソフィア・ネーデル、しがないメイドだ。
詳細は割愛するが、ある悪役令嬢に濡れ衣を着せられ処刑された。
その時私は思った、次の人生では悪役令嬢になって復讐してやると。
運命の女神様はその願いを叶えてくれた…はずだった。
私が転生してから十数年、私は転生前主人の悪役令嬢に受けた悪行を参考に悪行の限りを続けていた。
砂糖と塩をすり替えたり、気に入らないメイドに姑が如く掃除の埃チェックを嫌味たらしくする等、身の毛もよだつ悪行だ。
婚約破棄?浮気?暗殺?そんな怖い事私にはできません。
そんな悪行の限りを尽くす私に両親はベタ褒めである。
しかしこれは私が甘やかされてるのではない。
この世界ではこれが普通なのだ。
「今日も頑張って悪戯したわね」
「将来が楽しみだ」
母と父が少女の私に激励を送る。
「ありがとうございます。お父様、お母様」
私はぺこりとおじぎをすると自分の部屋に戻った。
「ふぅ…今日もしてやりましたわ」
私は背中の羽をパタパタさせると、ベッドに腰を掛けた。
そう私は人間ではない、魔界の悪魔に転生したのだ。
魔界においては善悪の価値観が真逆であり、
良い事をするのが悪であり、悪い事は善なのである。
しかしどんな事もやり過ぎは良くない。
殺人や強盗等はやれば伝説的な扱いをうけるが、行き過ぎた善として捕まってしまうのだ。
さて今日はどうしよう…お母様のお気に入りのお皿を割ってやろうか、
それともお父様のネクタイを全て悪趣味な柄物に変えてしまおうか、
そんな事を考えていた矢先である。
「今日はお前の誕生日だったな。プレゼントがあるぞ」
「さあ、開けてみて」
期待の眼差しを私に見せる両親達。
箱の中には猿ぐつわと首輪をされた女がいた。
その女、成長し顔付きが変わっているが間違いない。
かつて転生前の私の主人であり、私の仇のエリザベート、その人だった。
「くくく、気分はどうですかエリザお嬢様」
「その口ぶり、あなたソフィアね!?私にこんな事してタダで済むと思ってるの!?」
「口を慎みなさい人間の娘」
私専属のメイド悪魔マリアが冷徹な視線を送りエリザを威圧する。
私も思わずたじろいてしまう氷の視線はそれだけで場を静ませた。
「あなたの好きにしていいのよ」
「ありがとうございます、お父様、お母様」
私は礼儀正しくおじぎすると、さっそく復讐を始めるとした。
―
「まずは第一印象が大事よね」
私はエリザの奴隷服を絢爛豪華な貴族の服に着替えさした。
「え!?これ着ていいの!?」
戸惑うエリザにメイドのマリアが力づくで着替えさせる。
「この奴隷服は私が貰っておくわね、胸が少しきついけど」
私はエリザの奴隷服をはぎ取ると、自分でそれを着た。
うーん、なんて気分がいいんだろう。
私はこれまでにない愉悦を感じていた。
「今日からこれがあなたの食事よ」
「くっ、こんな得体のしれない物を食べろと言うの!?」
それはスシという異世界飯だ。
しかも大トロという超高級寿司である。
「ああ、なんたる美味!」
ふふふ、私の復讐はこんな物では終わらない、あの時の恨み存分にはらしてくれるわ!
「さあ!イケメン悪魔奴隷をお前の許嫁にしてやるぞ!」
「え」
ふふん、驚いて声もでないか!
私は鼻を鳴らすとイケメン悪魔奴隷にこう命じた。
「さあイケメン悪魔よ!その娘に快楽の限りを尽くすが良い!」
「心得ましたお嬢様」
「ら、らめえええええええええええ!!!!」
「嫌がってるのか?身体は正直だぞ?そら!」
イケメン悪魔がエリザのあんな所やこんな所をまさぐる。
その度にエリザの甘い吐息が部屋に響く。
少し恥ずかしくなった私は部屋を出る事にした。
皆には私が彼女にご褒美を与えてる様に見えるだろう。
しかし悪魔の世界ではこれこそが悪行なのだ。
今後も更なる善行もとい悪行を重ねる事を決意した私は、立派な悪役悪魔令嬢への道を万進していく事だろう。