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第二十四話:血を吐く女

恐怖度:7


子供の頃、おばあちゃんの家で幽霊を見た実体験話

 小学校低学年の頃のことだったと記憶している。


 毎年、夏休みになると田舎のおばあちゃんの家に、2つ違いの兄と二人きりでバスに乗って行かされた。その間、両親が何をしていたかは知らない。今となっては邪魔者扱いされてたんだろうなぁと想像するが、当時はそんなことも気にせず、無邪気にカブトムシやクツワムシのいる田舎へ行けることが楽しみでしょうがなかった。

 昼間は虫捕りをしながら全力で駆け回り、おばあちゃん得意のスパゲッティーナポリタンをばくばく食べ、夜になったら兄と恐竜の模型を闘わせて遊んだ。世界は面白いことだらけだった。


 布団を三枚並べてみんなで広い和室で眠った。贅沢に私も兄も一人分の布団を敷いてもらい、しかし眠る直前まで私の布団で一緒になって、恐竜を闘わせた。


 その恐竜遊びがよほど楽しかったんだろう。電気を消されても私はなかなか寝つけなかった。

 寝ようとしながら、いそいそと何度も枕元の恐竜を手に取って、動かした。

 兄とおばあちゃんの寝息が聞こえていた。

 ふと、足下のほうが明るいことに気がついた。

 なんだろう? と私は身を起こした。

 そこは玄関を上がってすぐの廊下のはじまりで、おばあちゃんの家は古く、裸電球ひとつがそこを照らしていた。

 裸電球の真下に女の人が立っていた。白い簡素な着物を着て、長い黒髪が水に濡れたように下を向いている。裸電球ひとつが照らしているにしては青白く明るく、まるで女の人の身体が発光しているようだった。

「……だれ?」

 怯えた声で私が聞くと、女はゆっくりとこちらを向いた。

 足は少しも動かさず、まるで回転台に乗っているような動きで、音もなく、身体ごと、こちらを向いた。

 鋭い目が私をとらえると、女は口から大量の血を吐いた。

 古い木の床にボタボタと血が落ちる音が響く。

 私はひゃっと叫ぶと同時に、布団の中に急いで潜った。そのままぶるぶると震えながら、あいつがこっちに来たらどうしようと思ったけれど、体が動かなかった。


 どれぐらい布団の中で震えていたのかはわからない。自分の感覚では結構長い時間、そうしていた。

 おそるおそる布団から顔を出し、足下を窺うと、女はいなくなっていた。

 それでも私は震え続け、やがて震え疲れたのか、いつの間にか眠っていた。


 朝、兄にその話をした。兄は私がそういうものをよく見ることを知っているので、疑わずにびびり上がった。おばあちゃんに話さなかったのは何故だか憶えていない。

 女が血を吐いたところの床を見たが、何もなかった。床は黒く、古い何かの染みは無数にあった。


以前に『私が実際に体験した心霊話』で書いたものを改稿(使い回)しました。

ストックが切れました。これから毎日更新は無理かもです。

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