第二十一話:チュードクさんのひとりごと
★恐怖度:7
なあ、聞いてくれよ。
昨日な、風呂の中に蝶々がいたのよ。
水の中をこう、奇麗な蝶々が飛んでてな。
俺にも来いって言うのよ。
本当、ビンビンに奇麗な蝶々だったからさぁ。
行こうとしたら嫁が後ろから「そんな汚いもの捨てて来なさい」って。
腹が立ってよぅ。
蝶々とてめぇとどっちが汚いと思ってんだ。
そう言いながら剥いだのよ。
べっとり汚い赤く塗った唇が落ちてよぅ。
あんまり汚いからシャワーした。
バールってあれ、凄いよな。
簡単に顔が剥げた。
隙間に突っ込んでちょっとぐりぐりってしただけで目ん玉取れたわ。
汚いんで踏んづけたらパリンとかいって足の裏に刺さったのがムカついてよぅ。
ぐしゃぐしゃにしたったわ。
大丈夫、掃除しといたからもうこわくないよ。
蝶々がじっと俺のすること見ててよ。
なんか俺のことダメ出ししてる感じ。
でも蝶々ってバールじゃ壊せないのな。
熱湯のシャワーも通じねぇ。
だから風呂場の床に押し倒して何べんも踏みつけてやったよ。
そしたらな。
綺麗じゃなくなりやんの。
赤い中身がビチャーって出てよ。
脳味噌みたいなハナクソ色のもんが飛び散りやがってよ。
また綺麗にしたわ。
台所もついでにピカピカに磨いといた。
メラミンスポンジっての? あれ、凄いな。
血をつけて磨くだけでなんでも綺麗になるのな。
自分の胸も真っ赤に磨いたらスーッと綺麗になってよ。
嫁にケーキを買って帰ったわ。
あらありがとうとか言うと思ったらよ。
こんなもん買うお金があるなら出せとか言うのよ。
ちょっとそこでジャンプしてみろとか言い出すわけよ。
で、俺がピョンピョンその場で飛んでみたらチャリンチャリンて小銭の音がするからよ。
そのまま空まで飛んで逃げた。
急降下の勢いで頭突きしたった。
そしたら嫁の頭がパックリ割れてよ。
結構綺麗な脳味噌してやがんの。
それ見たらなんか恋しちゃってさぁ。
俺の骨と交換したわけよ。
欲しかったから。
なむも愛とかいうわけじゃないんだな。
はみめて知ったよ、まかろたり。
あかなどさけに、まろびでるものなんだよな。
ああ、そうだよ。
つまり俺の日常は何も変わってないんだ。
幸せだよ、おり。




