ねえ、どうしてあなたも女なの?
演劇部の役のせいか、それとも本当に「好き」なのか?
人間に性別がなかったら、この想いはどうなっていたのだろう。
友達に想いを馳せている主人公のある夜の話。
生き物の中には、突然性別を環境によって変化させるものもいる。では、なぜ人間は男と女に分かれているのか。
あなたが男だったらよかったのかな?私が男だったらよかったのかな?
「はあ。」
真っ暗な部屋で、スマホを手に取った。もう時刻は夜中の2時を過ぎたところだ。2時間前にはベットに入ったのに、まいのことを考えてしまって未だに寝付けない。何回寝返りをうったのだろう。さらに眠れなくなるとわかっているのに、スマホをいじり始める。カメラフォルダには、まいと二人で笑顔で写っている写真がたくさんある。
まいとは、高校一年の入学式に席が隣だったことがきっかけで話すようになり、仲良くなった。いつも一緒にいるというような存在ではなかったが、二人で休日に会って遊んだり、他の友達には話せないようなことも話せるような関係だった。よく考えてみると、まいはグループで群れるようなタイプの子ではなかった。孤立しているわけではなく、どこか距離を保ちながら気があう人とうまくやっていくような子だ。
「やっぱり、かっこいいな…。」
高めの身長と、ショートカットの髪、人に媚びないような性格。それがあって私とまいのいる女子校では、まいは人気があった。私がスクロールしていた手を止めて画面に表示している写真のまいは男装姿だ。この写真は1ヶ月後の演劇部の最終公演の練習時に撮ったものだ。私とまいはそれぞれ約束したわけでもなく、同じ演劇部に所属していた。女子校であるため、男役も女子がやるのだが、まいは後輩からもとても人気だ。私たちの代はもう高校三年生で最終学年であるため、1ヶ月後の公演を終えたらもう引退だ。私がまいを「好き」だと意識し始めたのは、最終公演の練習で衣装を合わせて練習するようになってからだ。
部室に入ってくるまい。
ざわざわざわ
「待って、あれまい先輩だよね。かっこよすぎる…。」
後輩が騒いでいるので、何かと思って近づくとそこには男装したまいがいた。
「ねえ、どうかな?」
少し顔を赤くしながら、私に尋ねてきた。
「えー!めっちゃ似合うよ。」
あまりにもまいが素敵で、ちゃんと伝えられていたか覚えていない。それほど似合っていて、ドキドキした。
そこで、私がさらにまいを意識してしまう原因があった。それは、劇の中で私がまいの演じる役を好きになる役を担当していたことだ。それが原因で(私はそう思っている)まいのことを男性と脳が勘違いし始めてしまい、「好き」という感情を持ってしまっているのだろうか?それとも、実は男性も女性も愛せる両性愛者なのか?と最近ずっと考えている悩みが頭を駆け巡る。そして、また今日も眠れないのだ。
実は、半年ほど前私がキャラとして「まいが好きな人」キャラで一週間いるというおふざけをした。その際、周りの友達からも、
「さっき、まいがあんたのこと探してたよー!よかったじゃーっん。」
「まいと付き合ってんの?」
など、からかわれることがあったのだが、まいはいつも照れ笑いなのか呆れ笑いなのか判断が難しい表情をしながら、
「私が男だったらねー、付き合えたんだけどなー笑」
と返していた。その度に、なぜか胸の奥底がちくっと痛む感覚を感じていた。
今となっては、「好き」がリアルなものとして顕在化しすぎていて、隠そうとすると私のまいへの対応が変にぎこちなくなってしまっている。
夜になれば、まいの発言に「好き」の感情がないか思い返して、そんなことはありえないと悲しくなったり、少し期待してしまったりする。まいは、そんなこと考えず、私をただの友達だと思っているのだろう。
私は、窓の外に見える星を眺めながら決めた。
「この想いは、最終公演が終わったら消そう。」
もし、本当に自分がまいのことを「好き」だとしても、想いを伝えて関係が少しでも悪くなったりきまづいものになるくらいだったら、伝えないほうがいい。
人間に性別がある限り、私の夢は叶いそうにないから。
「明日も朝早いし、さっさと寝よう。」
カーテンを閉じて、再びベットに横になる。
目を閉じると枕に水滴が落ちた。
この作品は、私の実体験をモデルにして創作しました。
性別で悩んでいる人が少なくないと思います。実際に世の中ではLGBTQについて特集されたりして、注目度が高まっていますが同性婚などに反対する声も聞きます。私は賛成の人間ですが、経験がないと「他人事」として考えている人が多いと思ったので、少しでも考えるきっかけになったらなと思って執筆させていただきました。




