第八話 救出作戦(槙場編)
ーーーーーーーーーー2時間後--------------------
(王都兵)王様、王様、緊急事態です。
(ニック王)どうした、騒がしくしおって、ワシは食事前だぞ
そこには誰も食べたことないような沢山の料理が並べられており、ワインを継いでいたところだった。
(王都兵)早馬にて知らせがありました。科学者たちの反乱がおき、槙場の家が燃やされたとの情報が、そして南門側では、民たちが複数人殺され槙場の娘である桜は大男に連れ去られた、とのことです。
(ニック王)なんて奴らだ、騎士長パルンを呼んでこい
(王都兵)はっ
騎士長パルンは自室にいたところ、王都兵に話を聞かされ急いで王の部屋へときた。
(騎士長パルン)話しは兵士から聞きました。
(ニック王)来てくれたか、お前は我が国の№1だからな期待しているぞ、早速民の街へ向かい槙場の救出を、そして関わった科学者全員を拘束し、ここへ連れてこい。抵抗した場合は首を落としても構わん。
(騎士長パルン)はっニック王のご命令とあらば必ずや成し遂げます
(ニック王)ふむ、槙場の娘である桜はワシが取り戻そう。
(騎士長パルン)そんなニック王の手を煩わせるわけには...
(ニック王)いやいいのだ、ワシも久しぶりに戦いたくなってきてな
ニックは自分の剣を握りそう呟いた。そして、兵士も騎士長パルンも部屋から出た時、独り言を言い始めた。
(ニック王)大男とは…そんなでかいヤツこの国にはいない。そうなると暗黒界の奴らか…なぜ奴らがこの国(壁内)に侵入しているんだ。くっ...暗黒界にとりあえず連絡を取るしかないか。
ニックは独り言をぶつぶつ言ったあと槙場が開発した特殊な装置を用いて暗黒界との連絡を取った。
「ピイ――――――」
(レック王)これは、これはニック何用かな?肉の提供かな?
(ニック王)どういうことだ、ワシの国に暗黒界の奴が侵入し子供を連れ去ったそうではないか!この前50人分の肉を送っただろ?お互いの契約のはずだ...」
(レック王)すまないがレックは誰も行かしたつもりはない、これは勝手にしていることだ。そいつは処分しよう
(ニック王)連れ去った子供は返してくれるか?
(レック王)子供か...子供は旨い貴重、返す?だと、くっ、返すわけないだろう隅々まで臭いを嗅ぎ食べてやろう。ガッア、ガッア、ガッア
(ニック王)怪物があああああああああーーーーー
「ピイ―――――」
ニックはそれを聞くと無理やり通信を切断した。
(ニック)くそっ。あの子はいずれこの世界を救う、あの子の父親(槙場)のように、ここで手放せば人類が本当に救われるのは何千年後になるのか、私は槙場と約束をしたのに...
ニックは早馬を用意してもらうと急いで南門へ向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー街にてーーーーーーーーーーーーーー
街では早速騎士長パルンが制圧にかかっていた。
(騎士長パルン)皆の者、今すぐ槙場家の前から立ち去れ、さもなくば王の命令に反したとみなし処刑する
(民)あれは、騎士長パルン様...
(民2)おいおい大変なことになってきたぞ
(民3)なぜあの方がきてるの
(民4)お前らー逃げろー
騎士長パルンを見ると、街の人たちは一斉に立ち去っていった。
騎士・兵士賞を取った者は、1年間公式戦に負けたことのない無敗の人しか貰うことが出来ないのだ。つまりこの国で1番強いことになる、そんな奴に挑む者は滅多に居ないのだ。
(科学者)なにが騎士長パルン様だ、槙場と言いお前も強くねえくせに
科学者の中年おやじはパルンの文句を言っていた。
(騎士長パルン)そこのお前、その格好は科学者だな?王都まで連行する
(科学者)連行だと?けっ、なんだよ王様にでもなったつもりか?大体おまえなんぞ怖くもなんともないわ
(騎士長パルン)そうか、何とでも言え、よしお前らそいつを拘束しろ
(兵士)パルン様承知いたしました。
その科学者は両腕を拘束され連れていかれる
(科学者)はなせっ
「パリン」
「ゴオオオオオオーーーーーー」
誰かが火炎瓶を投げてきた。
(兵士)ぐわあああああーーー
パルンの隣にいた兵士は燃えた。
(騎士長パルン)全員警戒態勢
(科学者)はははははは、何が兵士だ、お前らもっと投げ込めええええーーー
上空から矢のように沢山の火炎瓶が降ってくる
(兵士)パルン様、このままだと数多くの兵士が死にます
(騎士長パルン)撤退命令はない、王様と約束したのだから、皆、進めええええええーーーーたとえ火だるまになろうが科学者たちを一人残らず拘束しろーーー無理なら殺して構わん
(兵士たち)はっ騎士長パルン様についていきます
そして火炎瓶が降り注ぐ中走った。だがまるで周りは時が止まっているかのようだ。左の兵士が燃えていく。一瞬で足から頭まで火が付き皮膚はドロドロだろう。あ、私の前を走っている兵士も燃えた。あー命ってあっけないものだ...
(兵士)パルン様、パルン様
声が聞こえるが遠い感じだ。
(兵士)パルン様
そしてようやく近くで聞こえる。
(兵士)何をしているんですか、パルン様がしっかりしてくれないと...
(騎士長パルン)すまない...
(兵士)我々はほとんどの仲間を失いました。
周りを見ると多くの者が倒れていた。
(騎士長パルン)走っていく中で周りが遅く見えて...
(兵士)パルン様、空を見てください
また沢山の火炎瓶が降ってくる。
(兵士)今まで稽古していただきありがとうございました。パルン様
兵士は泣きながらパルンに感謝をしていた。
(騎士長パルン)泣くのは早いぞ、私は負けなしなのだからな
(科学者)ざまあみろ、なにが兵士だ、はははは
パルンは俊足の速さで科学者の首を切断した。切断部分からは血が噴き出した。
[ブシュ―――――――――――]
(騎士長パルン)お前たちよく聞け、いま大人しく出てこない者は全員首を刎ねる。
(兵士)パルン様!
女の兵士は両手を握りその光景を祈るように見ていた。
(科学者)死ねえええええーーー
科学者はパルンの背後から襲おうとしたが、パルンは後ろを振り向くことなく左手に持っている剣で心臓を突き刺した。
(科学者)うっ
その光景を見ていた全科学者が大人しく出てきた。
(騎士長パルン)それでよい、おい、そこの兵士、急いで十字架を科学者の人数分立てろ。
(兵士)はっ
兵士たちも残り10人足らずしかいなかった。そして木で十字架を立て一人ずつぶら下げる。
(科学者)何をなさるのですか、私たちはあなたの命令通り大人しく従いました。
(騎士長パルン)それで?お前たちは地面にまる焦げにされた兵士が見えないのか?ここまで反乱をしておいて無罪になるわけがないだろう、よって一人ずつ火炙りとし永遠に十字架にかけたままとする。
(科学者)この悪魔!
(騎士長パルン)それはそっくりそのままお前に返すよ、よくもまあこんなにもしてくれて
騎士長パルンは怒っていた。これまで何年も稽古をつけようやく一人前に育てた兵士をこんなにされたのだから...
(騎士長パルン)さ、誰からがいい?
騎士長パルンは松明に火をつけ十字架の周りをまわっていた。
(騎士長パルン)お前から焼こうか、見ていたぞ、お前はそんなに小さいのに火炎瓶を何個投げた?30個は投げていたな
それは小さい子供だった。最年少ながらも科学者としての研究をしていた。
(子供)兵士なんて嫌いだ。この国なんて嫌いだ。皆死ねばいいんだ
「ゴオオオオオオーーーーーー」
生きたまま小さい子供だろうが焼いた。
(科学者)ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
「ゴオオオオオオーーーーーー」
(科学者)ぎゃあぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー
謝ろうが焼いた。
(科学者2)騎士長パルン様、本当はこんなことしたくなかったのです、私はこれからも国に尽くします。
「ゴオオオオオオーーーーーー」
貢献していても焼いた。
(科学者3)いいか、俺たちだけじゃない、民たちみんな王政が嫌いだ、俺たちが死んでも必ず、必ず殺してやる
「ゴオオオオオオーーーーーー」
もちろん焼いた。
(騎士長パルン)いいか、我々王政に刃向かうとこうなるのだ。
騎士長パルンは全員を焼き民たちに言いつけたあと槙場の家へと向かった。槙場の家は目の前だ。
(騎士長パルン)よしお前ら家に入るぞ
騎士長パルンたちは槙場の家(全焼)に侵入し安否確認を行った。
(兵士)パルン様、この焼け方だと生存者は居ないと思われます。
(騎士長パルン)探せっ槙場は我々の未来だ。奴がいなければ平和はない。
(兵士)そこまで槙場に価値があるのでしょうか
(騎士長パルン)そうだ。お前たちは分からないと思うが、我々の未来だ。
(兵士)...
(兵士)それならなぜ民は槙場を殺そうとしたのですか。私には分かりません
(騎士長パルン)伝えたら終わりだよ...
兵士は騎士長パルン様が何を言っているのか全然わからなかった。
(兵士)騎士長パルン様、骨が見つかりました。
(騎士長パルン)まさか、槙場のか...
(兵士)骨は粉々になっており槙場の骨か分かりません。恐らく民たちが骨を見つけて粉々になるまでは踏みつけたのではないかと...
(騎士長パルン)そこまで恨まれているとは、捜索を続けるぞ
(兵士)パルン様こちらへ来てください
パルンは兵士に呼ばれた方にいくとそこには床下がなにやら開きそうな感じだった。床下へ続く扉を無理やり破壊し中を見る。
中からかすれた声が聞こえた。
(騎士長パルン)だれだっ槙場なのか?
(槙場)そ、のえ、ぱる...
声が途切れ途切れになっていたが槙場は何とか生きていた。
(騎士長パルン)槙場、生きてたのか、良かった!王も喜ぶだろう、この世界はお前なしでは滅んでいたからな
そう言い騎士長パルンは地上に引き上げた。
(槙場)そり桜と妻...
(騎士長パルン)桜と妻か...奥さんは残念だ遺体で見つかり骨もぐちゃぐちゃになっていたよ。桜はまだ生きているかもしれん。今、王様が救出に向かっている。
(槙場)うぅぅーど、う、...ん、な
槙場は涙をこぼしていた。どうしてこんな目に合わなくてはいけないんだと...国に貢献し民たちを怪物から守ってきたのに、どうして、どうして...そう思っていた。
(槙場)ぜっ...絶対...助て、れ桜だけ…桜こ最...望
(騎士長パルン)あぁ、なあ槙場、周りを見てくれ、見えるかお前を救うためどれだけの人間が死にどれだけの人間を殺したか、人間界の一割はお前の為に死んだだろう。それほどまでにお前には価値があるのだ。
(槙場)す、まない....
それを言うと槙場の意識は消えた…
(騎士長パルン)おい槙場、おい槙場ーーーーーー
槙場は人工血液と人工肉を開発したから勲章を貰っていた。勿論実際に血液採取は行うが、吸血鬼は何億万を超える数がいる、我々人類は圧倒的に少ないのに足りるわけがない、そこで槙場は吸血鬼の中でもトップ7人には本物の血を普通の吸血鬼には人工の血液を与えている。暗黒界にも同様の手口で行っている。それを開発した槙場を失えば人類は終わりだ。槙場を殺そうとした人や民たち数多くの人たちは誰も事実を知らないのだ。槙場は王と仲がいいから勲章を貰ったとみんな思っている。この事実を知っているのは極僅かな人たちだけである...