第六話 家族の崩壊
「ヒヒーーン」
馬の鳴き声が聞こえた。桜は急いでタオルで体を拭き服を着て玄関に走る。
(桜)パパーおかえりー
桜はパパに飛びついた。
(パパ)桜、ただいま
パパは優しく桜に言った。
(桜)あんな大勢の前でパパ表彰されたもんね!凄いよパパ大好き
(パパ)お、桜も来たんだなパパ嬉しいぞ
桜はパパに抱っこされながら会話をした。
(ママ)あなたお帰りなさい、さあ台所にきて御馳走がまってるわよ
ママも玄関で出迎えパパにキスをした。その後、槙場は玄関で靴を脱ぎ台所へ入る
(パパ)これは凄いな、牛肉にサラダ、ワインまであるじゃないか
(桜)ママ優しいね、えへへ
(ママ)シー―――
(パパ)桜、急に笑ってどうしたんだ?
(桜)何でもないよ
桜は気づいた、さっき落とした牛肉はママの皿にあり、新しい牛肉がパパの皿に乗っていたのだ。
(パパ)美味いな―
(ママ)えぇこれも全部パパのおかげよ
(桜)パパありがとう牛さんのお肉めっちゃ美味しかったよ。
(パパ)そうか、ずっと食えたらいいのにな
(ママ)パパ、今までお疲れ様、やっとこの日が来たわね
そう言いママはワイングラスにワインを継いだ。民でワインを飲める人は存在しない。王のみが許される飲み物である。他の受賞者も皆王都の人間だった。
(パパ)おっありがとう
そして食べ終わり、ママは寝室に入った。パパは毎晩、地下の研究室で研究をしている。
桜はどうしても知りたかった。まだ頭の中にルーシア先生の、あの表情が浮かぶ、きっとなにかあるんだと...それを突き止めるためにパパに聞くことにした。王様から勲章を貰っているパパなら何か知っているのかもしれない。そう思った。
「ギィィィ」
扉はきしむ音を立てた。
(桜)ゲボゲボ、何この部屋前来たときよりホコリ凄い。
(パパ)桜?どうしたんだ、パパと寝たいのか
(桜)ち、ちがうよ!桜はもう一人で寝れるもん
桜は顔を真っ赤にして言った。
(パパ)桜も大きくなったんだな
パパも安心したような声で言う。
(桜)そうよ!私だって成長したの、それよりね実はパパは何の研究をしてるのか気になるのもあるしね、あと昨日クラスメイトが転校したってルーシア先生が言ったの
桜はパパが科学者ということは知っていたが、実際に何の研究をしているのかは未だに知らなかった。
(パパ)そうか...ルーシアは表向きにそう言ってるのか、ごめんな桜、パパの研究は極秘なんだ。桜にだって教えられない、ごめんな
(桜)おもてむき?どういうことなのパパ
(パパ)桜は選ばれないように私がニックに言っておいたから安心しなさい
(桜)えらばれないように?わからない、わからないよパパ
桜はどんどん疑問が出てきた。選ばれるとか選ばれないとか選ばれると裏で何かされるのではないか。桜は必死に考える。考えて何秒経っただろうか、ガラスの割れる音が聞こえた。
「パリン」
(パパ)なんだ?今のガラスの割れる音は....
(桜)なんか煙の臭いがすごいよパパ
(パパ)まさか、あいつら...くそ、桜、よく聞くんだパパの親戚の所に逃げなさい。そこには、秘密の部屋がありこの国の謎が書いてある本がある。パパがね隠したんだ。わかったかい?
(桜)ちょっとまってよ、この国の秘密?わからないどうなってるの?パパ、パパはどうするの?一緒に逃げようよ!
(パパ)お前たちが先に逃げるんだターゲットはきっとパパだ。だから、安全が確認できたらすぐ行く、パパはここの下に隠れるから先にママと逃げなさい
(桜)いやだ、パパも一緒に逃げるの!
パパは桜のほっぺにキスをした。
(パパ)桜!言うこと聞きなさい、ママと先に逃げるんだ、ほら、早く
(桜)パパ死なないで...
そう言い残し地下の扉を開け階段を登り寝室のママの部屋に行った。
「ゴォォォォォォォォォォォォォー」
凄い音と燃えさかる炎、その中には黒い影が...
(ママ)う、うぅぅぅぅーーー
(桜)ま、ママ?
桜は何が起きているのかわからなかった。もうだめだ。あれはママなのだろうか皮膚は焼け顔や体は溶けてグチャグチャになっていた。
(桜)ママ、ママ、そんな...
状況から見て外の窓から火炎瓶を投げ込まれたのであろう。桜には泣いている暇もなかった。炎は既に天井まで達している。全焼するのも時間の問題だ。
(桜)パパにも知らせなくちゃ
桜は立っていられないくらいの精神的ショックを受けていた。今日の馬での会話、晩御飯の会話、さっきまで3人で楽しかったのに、どうしてこうなったんだろう。
「ギギギ、バキッ」
しかし地下との階段通路は崩れパパと会うことも不可能となった。桜は精神的ショックを受けていたが、自分に「生きないと」となんとか言い聞かし、玄関へ向かう。
(桜)げほっげほっ、はぁはぁはぁ
桜は咳き込みながらもなんとか外へ出れたが、民たちが大勢いて皆が桜を睨みつけていた。桜には皆が怪物に見える。
(民)おいでてきたぞ、科学者槙場の子供だ!
(民2)殺せ―――――王に何をした?どうして槙場が科学賞なんて...
(民3)卑怯者ーーーーーー
(民4)そうだ、そうだーーーーーー
刃物を持った男たち、火炎瓶を持つ女、恐らく科学者たちだろうか...
(桜)どうして、どうしてよ、桜は悪くないのに、ママも死んでパパまで...桜の家族返してよおおおおおーーーー
桜は民に向かって必死に訴えるが、もう殺す決断は変わらない、聞く耳を持たずに刃物を持って襲ってくる。
(民)おら待てよお嬢ちゃん、すぐママやパパのとこに連れて行ってやるからさ、あははははは
(桜)はぁっはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっ
桜は怖く怖くて必死に逃げた。しかし後ろからは未だに罵声を上げながら追ってくる。
いつ、いまの平和な日常が終わるかわからないってことが良く分かりました。
ママーーー(´;ω;`)
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