4話 覚醒のとき
「なんだ…これは…」
悠希の周りに渦巻いているドス黒いオーラは、
どんどん大きくなっている。
悠希は、力がみなぎっているのがわかった。
やがて、大きくなったオーラは手の形に変わり、村人に向かって伸び出した。
伸びた手が体を通り抜けるとともに、
気を失って倒れた。
「どうした!」
倒れた人に駆け寄った村人の顔は徐々に青ざめていく。
倒れた人は死んでいた。
「一体何なんだ…」
「あいつに近づくな!呪われるぞ!」
悠希は頭を抱え出した。
「あ…あぁ…」
立っていられなくなり、
激しい頭痛と吐き気に襲われた。
「に、逃げろ!」
悲鳴とともに次々と村人が倒れていく。
「ぐぅぁ…」
悠希は本当には殺すつもりはなかった。
ほとんどの村人が倒れてしまった。
悠希の意識が薄れていく。
「キミ!意識をしっかり持ちなさい!」
「深呼吸!」
女性が突然現れ、悠希に向かって叫んだ。
しかし、悠希に深呼吸するような余裕はなかった。
女性にもオーラの手が凄まじい速さで伸びていった。
「魔法盾!」
咄嗟に防御魔法を唱えて防いだが、
少しずつ押されていく。
「くっ…強力ね…」
後ろへ吹き飛ばされた。
空中で一回転すると、綺麗に着地した。
「覚醒しちゃったみたいだし、しょうがないか…」
女性は、悠希と少し距離をおいた。
「聖なる鎖」
悠希の足元から現れた光の鎖が、
悠希の体の自由を奪った。
「光の精霊よ、聖なる力で敵を滅せよ。
裁きの光!」
唱えた瞬間、天空から神々しい円形の光が悠希に向かって一直線に落ちてきた。
「ぐあぁぁ!!!」
光がなくなると、地面には綺麗な深い穴が空いていた。
「あ…やば。やり過ぎた?生きてる?」
女性は急いで穴を覗き込んだ。
よく見えないが、とりあえず回復魔法を唱えた。
「光の精霊よ、聖なる力で蘇らせよ。完全回復」
悠希の体中の怪我が治った。
女性は何もない空間から長いロープを取り出した。
「これで登ってきてー」
そう言いながら悠希が落ちている穴に
ロープを投げ入れた。
しかし悠希は動かない。
意識を失っていた。
「…重症なの?」
「もう魔力的に限界なんだけどなー」
女性は錠剤のようなものを取り出し食べ始めた。
「よし、ちょっと回復。身体強化」
魔法によって強化された体で穴の中に飛び込んだ。
ドゴォン。
穴の底についた女性は、
悠希を担いで壁を蹴りながら登っていく。
穴から出てきた女性を、
生き残った村人たちはポカンとしながら見ている。
「何見てんのよ!」
「この子は貰っていくからね!」
そう言って悠希を担いだまま村を出て行った。