3話 魔法とは
悠希は目を覚ました。
「…夢か」
悠希は夢だと思いながらも、
自分の中に流れている力を感じていた。
「これが魔力なのか?」
悠希は、人差し指を立てた。
「ー火よ、起これ」
しかし何も起こらない。
「…やっぱり夢だったか」
悠希は村の様子を見に向かった。
昨日とほとんど変わっていなかった。
「手伝います」
悠希は木の板を運んでいる男に声をかけた。
「…いいからどいてくれ」
邪魔だと言わんばかりの態度で断られた。
その男だけでなく、周りの人の視線も冷たいものだった。
悠希は村から出ることにした。
「ー悠希!」
昨日も声をかけてくれた、母親の兄である叔父に呼び止められた。
「うちに来て一緒に手伝ってくれるかい?」
本当にお人好しな人だと悠希は改めて認識した。その優しさに甘え、手伝うことにした。
「なんだ…これは…」
目の前には崩壊している家がある。
叔父の家みたいだが、全く復旧していなかった。
近くにいる怪しい男たちがニヤニヤしながらこっちを見ている。
「俺のせいですかね」
「い、いや、違…わないのかもな。俺たちを気に入らない連中の仕業だろう」
本来、この家はほぼ復旧が終わっていたが、
この男たちに半壊状態にされたのだ。
「おい」
悠希は男たちに声をかけた。
「何か用か?」
「お前たちがやったのか?」
「さぁ?知らないね」
ニヤニヤしながら答えている男たちに腹が立った悠希だったが、堪えて家の復旧を始めた。
怪しい男たちはまだ家の近くにいる。
悠希は様子を伺いながら作業することにした。
「しかし…あいつら見たことがないな」
叔父が呟いた。
優希はもう一度怪しい男たちを見た。
何か違和感を感じさせる雰囲気だ。
「服が綺麗すぎる…あと、武器もか」
この村の住人にしては良いものを装備している。
腰に下げている剣には紋章が刻まれている。
「あの紋章は…」
悠希は知識がなさ過ぎることを痛感した。
「叔父さん」
「どうした?」
「あの男の剣に刻まれてる紋章なんだけど」
「あぁ、あれはサガ王国の国章だな」
「なるほど…ありがとう」
悠希は男たちに気づかれないように近づき、
背後から手刀で気絶させた。
剣を奪い、逃げないようにロープで体を縛り上げた。
そして、誰も使っていない小屋へ連れて行った。
悠希は1人の男の顔にビンタをくらわした。
「起きろ」
もう一発くらわした。
「…う…」
男は目を覚ました。
「ここは…?何で縛られて…」
「黙れ。今から聞くことに答えろ」
「はぁ?何をー」
悠希は男の口に剣を突きつけた。
「3度目はない。黙れ」
男は黙った。
「…よし」
「お前はサガ王国の何者だ?」
「な、何故それを」
悠希は無言で剣先を頬に突き刺した。
「…騎士団の一員だ」
「誰の命令だ?」
何か言いかけたが、悠希の睨みに怯んだ。
「…国王様だ」
国王の命令でサガ王国の領地拡大の為に周辺の村を潰そうとしていた。
1度目は山賊を使って村を潰そうとしたが、失敗したために騎士団の下っ端を潜入させた。
事故に見せかけて村を焼き払おうとしていた。
「腐ってるな…この村だけじゃなかったか」
「な、なぁ、話したぞ!逃がしてくれ!」
「だめだ。もう少しここにいろ」
悠希は、縛った男たちを置いて小屋の外へ出た。
ドォォン。
悠希の後ろの方から大きな音が鳴り響いた。
後ろを向いた悠希は、呆気にとられていた。
「なっ…」
さっきまで悠希がいた小屋が燃えている。
大きな音の正体は小屋が崩れた音だった。
「やられた…」
村に潜入していた騎士は2人だけではなかった。
仲間が捕まったことを知った他の騎士は小屋に火をつけ、証拠を隠滅しようとした。
悠希は急いで小屋に戻った。
火が大きすぎて中には入れそうにない。
周りの木々に火が移り始めた。
今から水を汲みに行っても間に合いそうにない。
「火には水だよな…」
「ー水よ、出ろ」
前にかざした悠希の手から水はでてこない。
「水よ…。み…ずよ…」
悠希は何もできない不甲斐なさから、
膝を地面についてしゃがみこんでしまった。
火を見つけた村人が集まってきた。
「これは…!お前か…お前がやったのか!」
「…違う」
「こいつを捕まえろ!ただじゃ済まさなねぇぞ!」
集まってくる村人たちの体にぶつかりながら蹴られながらも悠希は立ち上がった。
立ち上がった瞬間また体をぶつけられ倒れてしまった。
「そもそも…」
怒り狂っている村人が叔父の方を向いた。
「お前が偽善者ぶるからこうなるんだ!」
ズシャ!
切られた叔父の体から血が大量に流れている。
「なんてことを…叔父さんは関係ないだろ」
悠希の体から力が抜けた。
「…あぁ、もう…いい。別にこんな村…」
「…全員死ねばいい」
そう呟いた瞬間、ドス黒いオーラが悠希を纏った。