表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/19

2話 復活

悠希は、眠りについた。

初めての実践を終えた優希の体力は、限界だった。



「ーおい。起きろ」

優希は、叩き起こされた。


「とは言っても、ここは現実世界ではないがな」

真っ白な空間にどす黒いオーラをまとっている男が立っている。


「…ここは?」

悠希も男と同じ真っ白な空間にいる。


「お前の精神の中空間だ。まぁ、夢の中とでも思ってくれればいい」


悠希には、この男の声に聞き覚えがあった。

「あ…、あの時の声の」

男はニヤリと笑った。


「そうだ。あの声は私だ。力を貸してやったんだから感謝するがいい」


「どういうこと?何者なんだ?」


「私は魔王マリオン。元魔王だがな」


マリオンは、これまでの経緯を説明した。


100年ほど前、魔王マリオンは勇者に敗北した。

しかし、死ぬ前に残りの力を振り絞って転生術を発動した。

だか、瀕死だったマリオンの魔力が足りておらず転生は失敗した。


魂の姿のまま、

再び転生ができるまで魔力が回復するのを待ち、100年が過ぎてしまった。

魔力が回復したマリオンは、自分の身体となる者を探し始めた。


探し始めて10年がたったある日、なかなか見つからず、ぼーっと彷徨ってるときに一匹のウサギがマリオンに飛びついてきた。

マオウンは避けることができずに、ウサギと同調してしまった。

魔王ウサギの誕生だった。


マリオンは、ウサギの身体で魔法が発動することができずにいた。

転生しようにもできない。

途方に暮れていたマリオンは、1人の青年に出会った。

悠希である。

マリオンは急いで逃げた。

なぜなら、マリオンを見ながら弓を構えていたからだ。


マリオンは見事悠希に焼かれた。

そして食べられた。


しかし、マリオンの魂は食べた悠希の身体に移っていた。

そして、悠希の意識とマリオンの意識の両方が存在する形となったのだ。


身体が手に入ったはいいが、悠希は魔法が使えない。

だが、マリオンは悠希の中から膨大な魔力を感じていた。

奥底に眠る魔法の才能が封印されていたのだ。


悠希は魔法の才能がなかったわけではなく、使えなくされていただけだった。


悠希が生まれて数ヶ月たったある日、

事件は起こった。


膨大な魔力の暴走である。

幼い悠希の体から魔力が溢れ出す。


悠希の母親からしたら、暴走をとめるだけならなんてことはない。

これを見た母親は、これほどの魔力が存在すると知られれば戦争で道具として利用されるだけだろうと思い、魔力を封印することを決心したのだった。


母親は、固有(ユニーク)スキル[何でも封印術(パーフェクト・シール]を持っていた。

世界で同じ固有スキルを持つ者は存在しない。

悠希の母親だからこそできた封印だ。


このスキルを使うには命を削ることとなる。

悠希の母親は、悠希のために命をささげた。

しかし、完全に封印することはできなかった。

母親の魔力だけでは足りなかった。

悠希の固有スキルのせいでもある。


父親の魔力と命も使った。

2人の命と引き換えに封印したのだ。


マリオンは、固有スキル[解析(アナライズ)]を使い、これらの情報を手に入れた。


魔力を復活させるため、マリオンは封印の解除を始めた。


解除には時間がかかる。

元魔王の力でも時間がかかってしまうほど、強力なものだった。


解除が半分ほど完了した時、優希は刺されてしまった。

瀕死の状態である。

マリオンの意識が消えかかったが、とっさに最上級回復魔法を唱えた。


生き返った悠希には、マリオンの存在を認識できたのだ。

そして、力を貸し反撃した。


そして完全に封印の解除が終わらせたマリオンは、精神空間を作り上げ優希と会うことにした。

「・・ということだ」


「そんなことが・・信じられないが・・」

両親が悠希のために死んだことを始めて知った悠希は、大きなショックを受けた。


「あのウサギはあんただったのか。バカなのか?」


「いやーまさかウサギになるとはな。ハッハッハー」


「笑い事かよ。こっちは迷惑してるんだぞ」


「なぜだ?助けてやったんだぞ?魔法が使えるようになったんだぞ?」


悠希はたしかにそうだと思ったが、

不安に思っていることがある。


「俺はこの先どうなる?このままマリオンに乗っ取られてしまうのか?」


「あー、それな。どうしようか」


悠希の緊張は最高潮だ。


「うん、決めた」


マリオンは近づいてこう言った。


「握手しよう」


「は?」


マリオンは、微笑んだ。


「早く手をだしな」

悠希は、右手をマリオンに出した。

そして、出した悠希の手をマリオンは握った。


「スキル継承」


「なんだ?」

悠希の身体が光り出した。

頭の中にいくつものスキル名が流れ込んでくる。


マリオンを見た優希は驚いた。

マリオンは足の方から少しずつ透明になっている。


「何が起こってるんだ?」


「何って、私のスキルを渡しているのだよ」


「何でそんなことするんだ?何で消えかけているんだ?」

悠希は訳がわからずにいた。


「もう十分楽しんだからな。身体はいらないと思ったのだよ」

魂で100年ほど彷徨ったマリオンは、随分とのんびりマイペースな性格になってしまった。


「悠希にあとは託そうかと思ってな」

マリオンは、自分勝手なことを言い放った。


「だが、完全に消えるわけではない。悠希の奥底にいるのだ。中から見ているぞ」


「これで最後のスキルだ」


最後のスキルが流れてきた。

固有スキル[全てを知る者]。

マリオンの固有スキルだ。


「上手く使いこなしてくれ。あと、魔力制御は必ずすること。しっかり自分をコントロールするんだぞ」


優希はやり方がわからなかったが、力強く頷いた。


マリオンは消えた。

悠希は魔王の力を受け継いだ。


魔王が復活した瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ