19話 命
「このネックレス、私に譲ってください。
お金なら払います」
「いきなり失礼じゃないか!」
「いいから、モッフル。
なんでそれが必要なんだ?理由を教えて欲しい」
「それは…」
「なら返してもらおうかな」
「わかった!言うから!」
「私の固有スキルを抑えるためにはこれが必要なの。詳しくは言えないけど…この世界を守るためにはこれがないとだめなの!」
固有スキルとネックレス、
悠希にはどんな関係があるかわからない。
「死ぬのか?」
「そんなことにはならないけど…」
悠希にはその話が本当なのか嘘なのかわからない。
それでもスキルに振り回される気持ちはわかっている悠希は、信じることに決めた。
「…信じるが、詳しく話してもらえないか?」
「…いいですよ。ただし、他言無用でお願いします」
「私の固有スキルは、[命を与える者]です。
これによって死者を蘇らせることが可能です。
しかし、必ず1日に1つ命を与えないといけません。今までは教会にいて毎日蘇生を行なっていましたが、悪人たちを蘇生してきたことを知り逃げ出してきました」
「すごいスキルだな。重宝されるだろう」
「…そうですね。私のことは国王に知れ渡りました。今では国王の命令で探し回っているでしょう」
「なんというか大変だな。
で、なんでそのネックレスが必要になるんだ?」
「自分で命を与えないと、ランダムに蘇生してしまうの。2つ以上命を与えるとその人は死んでしまいます。
なので、世の中の悪い人を蘇生しないように、そのネックレスに命を与えるのです」
「なるほど。だったら、俺にくれればいい。
俺だって命をストックできる」
「そんな嘘はいいですから。これを譲ってください」
悠希は何を言っても信じてもらえない。
毎日命をもらえるなら、悠希の人生が大きく変わる。
「なら、俺の固有スキルを見せてやる」