15話 仕返し
いきなり大柄のいかつい男が前に現れた。
そんなに座りたかったと思い、
席を譲ることにした。
「悪かったな。どくよ」
ほかの席に座ろうとしたが、
椅子を蹴られ、尻もちをついてしまった。
「痛…」
「はっ、だせぇな!椅子にも座れないのかよ!お子ちゃまが!」
「グルルゥ….」
「やめろ、モッフル」
俺は黙って立ち上がって、
ほかの椅子に座った。
ここは、ギルド兼酒場になっている。
「すみません、エールを」
「はーい!ただいまお持ちしますー」
目の前のテーブルにエールをすぐに持ってきてくれた。
悠希に絡んできた男がまたやってきた。
「だから!お前の席はないんだよ!」
そう言ってテーブルに置かれたエールをはじき飛ばした。
酒場はしーんとなってしまった。
「すみません、エールおかわり」
「は、はい」
「姉ちゃん。持ってこなくていいぞ!」
酒場の店員をにらみ、すぐさま悠希をにらむ。
「おい、小僧。シカトこいてんじゃねぇぞ」
「あれ?店員さん、エールないんですか?」
「おい!」
怒鳴るとともにテーブルを殴り壊してしまった。
悠希は目の前の男を見て鼻で笑った。
悠希からしたらそれほど強いやつではなかったのだ。
「こいつは!」
男の顔が真っ赤になっている。
「これは弁償だな」
「だまれぇ!」
悠希に殴りかかってきた。
「身体強化」
「がぁぁ…手が…!手がぁ!」
悠希の顔を殴った男の手の骨は砕けてしまった。
「情けないな」
「というか邪魔だよ…空弾」
風魔法でギルドの外まで吹き飛ばした。
その男の仲間らしき人たちが、その男を担いで連れて帰っていった。
何か叫んでいた気がするが、悠希は聞いていなかった。
「さすがですね!マスター!」
尻尾を大きく振って喜んでいる。
周りで見ていた人もスッキリしたようで、
喜んでいるようだ。
しかし、酒場の店員さんだけは喜んでいなかった。
「あの…あれどうしてくれますか?」
酒場の店員は扉を指差している。
「すみません、すぐに直します」
「復元」
悠希は時間魔法を使用して、壊れたものの時間を戻したが、少ししか戻らないため5回ほどかけた。
「迷惑かけたのでテーブルも直しときました」
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ」
ぐー。
悠希のお腹が鳴った。
「オススメの料理くれますか?エールも」
「かしこまりました!」
運ばれてきた料理を食べ、
受付でライセンスを受け取った。
そして悠希たちは酒場を出た。