【16】欲求とは?
筆者は欲求とは何かと考えた場合に精神欲求と肉体欲求という二種類が存在すると新たに提唱します。
精神欲求とはこれまで述べたとおりの肯定感を得ることを求め、否定感を避けろという脳からの欲求です。
精神欲求は体の外部に対して対処し安全な環境や人間関係(群れ社会)を築くために行使されます。
それに対して肉体欲求というのは食欲・睡眠欲・性欲・排便欲・体の痛みや痒みの解消への欲求などといった体から脳へ求める欲求です。
肉体欲求は肉体の内部に生じた異常や必要な活動を行うために行使されます。
端的に言うと精神欲求によって思考が働き、肉体欲求によって感情が働きます。
二つは切っても切れない相互関係にあり、どちらかがダメージを受ければもう一方も影響を受けます。
何らかの宗教に入られていて魂といったものを信じておられる方には非常に申し上げにくいのですが、肉体なくして感情はありえません。思考を行うにもそれなりの頭脳を必要とします。
つまるところ人間に魂といった霊的なものはなく肉体あってこその心ということです。
しかしながらもしかしたら現在の人間が実はデジタルな仮想世界の住人だったりとかいろんな可能性が絶対にないと否定しきることは筆者にもできないので、別のサーバー的なものに記憶のコピーがあってそれが魂と言えるかもしれないとかっていうこともあるかもしれません。
それ故に魂の存在を否定はしませんがとりあえずここにある我々の体は肉体が大事だということだけ分かって貰えれば結構です。
死後、どうなるかは筆者も死んだことがないので知りませんのでとりあえずは生きている内は生きることを考えて死後がもしあればそのときに考えれば良いんじゃないですかね。もし死後がなかったら死んでからじゃ取り返しつきませんし。
生死感についての話はこれくらいにしまして話を元に戻します。
肉体欲求をより事細かに言いますと食欲とは肉体の構成物の不足を訴える警告、睡眠欲は脳のメンテナンスを要求する警告、性欲は繁殖活動の準備が整ったことを知らせる催促、排便欲は排泄物を溜めれる限界が来たことを知らせる警告、体の痛みや痒みは体の異常を訴える警告といった具合になります。
これらの肉体欲求は体を維持したり種を維持するために必要不可欠なものでありそれらを無視すると何らかの形で問題が生じることになります。
何故このようなものを人間やその他生き物が持っているかと聞かれますと、生物は偶発的に持った遺伝子という変化する体の設計図ができたことで環境に偶然合った遺伝子を持つものだけが生き残るという自然淘汰を長い年月を経て繰り返したことで辿り着いた能力だとしか言えません。
人によっては不完全だと思うかもしれませんし、こんなに細かな遺伝子が偶然できるわけないと考える人もいるかもしれませんがどんなに確率の低いことでも永遠に近い時間があれば起こりえることであり、宇宙はそれだけ長い時間が存在しました。それに今が不完全であるとするなら完全までの途中経過が現在とも言えますね。
人類の進化論の話はともかく人間の心には体が大事です。
つまりは心を読み解くには体がどんな役割を果たしていてどういう風に機能しているか考えることが重要なのです。
欲求は否定するものではなくどう付き合ってどう解消するべきかを考えることが心にとっても体にとっても必要であるという話です。