表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/21

一輪の風。日出国へ。

お酒を、イタリア系美女とゴクミさんとミハエルとは呑んだが、その夜、誰ともセックスをすることはなく、ホテルの部屋でバスタブに浸かる俺がいた。

そろそろ、荷造りしないとなぁ。胸をはっての帰国。鈴鹿をF1で行ける。夢が手招きしている。お袋、俺を産んでくれてありがとう。必ず、親孝行を今度こそはしてやるよ。

歯を磨く。鏡の中の俺。疲れきっている。ピーコン。俺はF1ドライバーだ。藤本さん、元気かな。また、煙草に火を点けた。拝啓、アイルトンセナ様。全世界のヒーロー。ここまで来れた。待ってろ、日本人よ。


さて、チェックアウト。キーを返すと、まただ。布袋さんから着信アリ。

「どうした。布袋さん」

「いや、俺の携帯に日本からメールが来てな。藤本さんの鈴鹿でのスポット参戦が決まったよ。それもうちのチームからだ」

「ほんとに」

「うん。そうだよ」

俺は嬉しかった。本当に嬉しかった。藤本さんとF1をやれるなんて。俺の一番、大事な親友、藤本さん。いいレースにしよう。そうだ、藤本さんに電話をしよう。


『もしもし。藤本さん。参戦のニュースを聞いたよ。俺、めちゃ、感動してる』

『てっちゃん、ありがとうな。本気で走ろうぜ』

『うん』


飛行機から空が見える。この惑星に夢を持って生きてきて、俺達はそれを叶えた。俺達の特別な場所、鈴鹿で。機内でコーヒーを飲む。なんだか、ぞくぞくする。恐怖にも似たモチベーション。髪でも切ろうかな。それから、カラオケ、皆で行こうっと。歌うは「サライ」。それも大合唱。墓参りにも行かなくちゃ。

親父に線香を手向けるとしよう。永遠なんてきっとないから。俺達は走るんだ。人間、楽しまなくちゃな。それと、BOOWYのドリーミンを歌おう。何か、笑える。人って、何故、走るんだろう。大金つぎ込んで、何故、クルマを走らせるのだろうか。その答えは一つではないよな。ああ、ラーメン食べたい。無性にラーメンを食べたい時があるだろう。俺が走るのは、それに似てる。無性に走りたくなるんだ。それがドライバーって生き物か。ふと、ジョバンニの笑顔が浮かんだ。俺達は、走るよ。例え、この世が終わってしまっても。約束する。


成田空港に到着。日本。美しき国。空港に飾ってあった、日の丸を観た。いつかは勝って、表彰台の真ん中に俺も日の丸を立ててやる。家に帰ろうか。お袋、ピーコンに誓いたいんだ。俺は走るって。千葉行きの高速バスに乗った。お家へ帰ろう。堂々と。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ