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偶像。二人。

「哲夫君。お疲れ。電気系でエンジンがイカレちゃったとの報告」

「そうか。俺、帰るわ」

「そう言わずに、ライコネンやアロンソから学ぶことはあるだろう。レース、観ておけよ」

「関係ない」

「言うと思ったよ。とりあえず、次は鈴鹿。ホテルでゆっくり休んでな」

「あいよ。全て、忘れるわ。ジョバンニのこと、今日の結果」


俺は、エンジン音から離れ、ホテルへ帰った。お袋。親孝行出来なくてごめんな。ピーコンも俺に気を遣うことだろう。あ、マクドナルド。ハンバーガーでも食うか。アップルパイと。よく、考えてみた。俺は、F1で飯を食ってる。1991年の開幕戦から、全戦F1をビデオに撮った。やはり、この男達。アイルトンセナ。ナイジェルマンセル。アランプロスト。ネルソンピケ。本田宗一郎。Hのエンブレムに憧れて。まさか、亜久里さんからこんな俺に声をかけてくれるだなんて思いもしなかった。シェイクとアップルパイが美味い。万国共通な味。スマホをいじっていると、レース結果。「アロンソ、敵地で圧勝」とある。ふうん。ピーコン、悲しむだろうな。でも、ライコネンが二位、マッサが三位。ドライバーズポイントでは、トップがライコネンか。電話が鳴った。ミ、ミハエルシューマッハからだ。

「哲夫君、モンツア、残念賞。彼女は出来たの」

「いないよ。ミハエル。ここ何年、セックスはご無沙汰だよ」

「聞いたあるよ。今日、僕と遊ぶあるか。ピーコンからも電話があって」

「ミハエル、遊ぶって何をして遊ぶの」

「年下の女の子あるよ。哲夫君、サムライあるから、イタリア人、わんさかにモテるあると思うよ」

「考えとくよ。ちょっと眠いんだ」


ホテルの部屋に着き、マルボロを吸う。次は鈴鹿か。今度こそ、上手くイケ。タルキーニよ。眠ろう。そして、シャンペンでも飲むとするか。ミハエルシューマッハはいい人だ。憧れた、ひとりだからな。ジョバンニ。あの世で会おうや。眠っちまえ。全てのものよ。


「おお哲夫。紹介する。マイフレンド、アレジの奥さん、、ゴクミさん」

「えっ。ゴクミ。後藤久美子さんですか」

「まあ、そうびっくりしないでよ。哲夫君。初めまして。後藤久美子です。私の世代ね」

「は、はい。えええ。あの」

「はい。どうしたの哲夫君」

「肩、触ってもいいですか」

「そりゃ、セクハラだよ。立派な。ジャンに怒られるぞ。握手しましょう」

ゴクミさんはきれいすぎる。俺、餓鬼の頃、ゴクミさんの番組、よく観てた。F1って何か楽しいね。国民的美少女がママになってもきれいだ。

「哲夫。楽しいかい」

「うん。すっごく。フェラーリにいつかは乗りたいよ」

「は、は、は、笑わせてくれるねぇ。哲夫」

ゴクミさんが言う。また、愛についての説教か。好きな人か。愛する人か。俺にはいない。

「哲夫君さ、本気で彼女を作ったらどうかな。30歳にもなって、独り身でF1はキツイと思うよ。なんなら、いい人、紹介してあげようか」

「か、考えときます」

「そうこなくては。ここにいる、ミハエルは勿論、かなりモテるよ。私の夫以上に。まあ、日本酒もあることだし、呑みましょう」

「は、はい」

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