レインマン。
さて、やってまいりました。12345。GO。1コーナー。冷静に。琢磨さんを抜く。苦笑いの日本人。
『前、フォースインディア。後ろ、琢磨、亜久里』
『了解』
『オープニングラップで、9秒稼げ』
『了解』
『エンジン順調』
『了解』
気長に抜きますか。ヘアピン。HONDAのバトンに笑われた。俺は、インを刺す。130R。
『ポジション。10位』
シケイン。アイルトンセナを想う、F1レーサー。俺、坂口哲夫。321。1234565。あっという間に1ラップ。
『9は稼げただろう』
『哲夫君。惜しい。8,74』
『はいはい』
お次は、レッドブルか。セバスチャン。すげー。ブロックが旨い。この人、フェラーリに行くのかな。六甲おろしを口ずさんでしまった。まあ、いいや。ここ、鈴鹿。本当に難しいサーキットだ。また、ヘアピン抜きかよ。ポジション、9。そっかー。面白いことをやろうか。無線無線。
『布袋さん。タルキーニの親父に、次、BOX、していいか、聞いてくれ』
『え、どういうこと』
『タイヤ交換。交換したら、インターミディエートに賭ける。雨がくるぞ。俺の言うとおりにしろ』
『了解。哲夫君』
俺が走るわけ。勝ちたいから。俺がF1を選んだ理由。勝ちたいから。日本国。鈴鹿。夢の奴隷がピットレーンを走る。やっぱり、降って来た。雨。再給油。タイヤ交換。
順位。12位にて、ピットアウト。コースアウトはバリチェロか。一瞬、焦る。しかし、俺は、挑める奴なんだろう。げっ。真佐子かよ。1コーナーのスタンドで俺を笑ってた。おふくろ。負け犬の俺はもう、消えた。130R。6速ギアで、踏んでいく。べた踏み。
シケイン。1コーナー。あっという間だ。ああ、煙草、吸いたい。笑って、踏んでいくとするか。
日の丸。TOYOTAか。雨が俺を呼ぶ。何カッコつけてんだよ。俺って。
俺が生きる理由。F1。遂にフェラーリ。ライコネンの後ろに付けた。でも、タイトル争いだろう。でもでも。抜いてやる。1コーナー、アウトから、遂にフェラーリを抜いたぞ。
『サンキュー。布袋さん。このクルマ、勝てるわ』
『焦らないでイッテくれ』
1コーナーを見ると、真佐子の横に、おふくろがいた。えっ。どういうこと。無線。
『布袋さんよ、な、なんでおふくろがここにいるの』
『今朝、退院されたそうだ。ピーコンから、聞いてないのか』
親孝行。したいときにはF1レース。雨が酷い。無線。
『レインに思い切って変えるぞ。哲夫君。次、BOX』
『了解』
レイン。シケイン、スピンはフィジケラか。レースってなんじゃ。やかましわ。




