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サラマンダー⁉︎

 親が不良な事故で亡くなり、一人となってしまったハルは、親戚に厄介払いにされながらも、頼る事しか出来なかった。親戚の家を転々としながら、数多くの学校へと転校していた中、ハルは十五歳になった。高校へと入りたいが、高校へと入る為の資金を親戚に頼る事は出来なかった。

 そんなある日、ハルは家を飛び出した。雨の中、ハルは一人路頭に迷っていると、三人組の男がハルへと絡んで来た。ハルは空き地へと連れていかれ、脅される。


「お前、金持ってるか?」


そう一人の男がハルへとそう聞いて来たが、ハルは何も言わず顔を背けるばかり。それにイラついた男達はハルへと暴行する。ハルは倒れ込んでしまい、そのまま蹴られ続けた。

 そうしていた中、突如とハルの姿が消えてしまった。男達は驚きの余り、動きを止め、気味が悪くなったのか、空き地から走り去っていった。




 ハルはふと気がつくと、なぜか森の中で倒れていた。そっと起き上がる。周りを見渡すが、頭の中が真っ白になっていた。


「えーーーー‼︎なんでーーーー‼︎」


そう大きな声が森の中で響き渡ると、ハルはビクっと驚く。ハルはゆっくりと後ろへと向いてみると、不思議な格好をした白髪の少女が、座りながら頭を抱え込んでいた。

 ハルはパニックになりながらも、彼女へと聞いてみた。


「ここはどこ⁉︎君は誰⁉︎」


彼女はイラついきながら、ハルへと言う。


「私が聞きたいわよ‼︎なんで、(りゅう)じゃないの〜!てっきり火の精霊、サラマンダーが竜だと思ってたのにー!」


訳のわからない事を言う彼女に、ハルはついていけずにいるが、必死に冷静になり、彼女へと聞く。


「えっと……俺の事を精霊として呼んだかんじ?」


不機嫌な彼女はハルへと言う。


「そうだけど…竜だと思っていたのに、期待はずれだった。わざわざ、呪文をとなえたの に…。」


そう残念そうにしている彼女へと、取りあえずハルは自己紹介をしてみた。


「お、俺は森岡晴(もりおかはる)。その〜、会ったばかりで言うのもなんだけど、ハルって呼んでいいから。」


火に油をさしたのか、彼女が怒り出す。


「あんたの名前なんてどうでもいいの!てか、何なのよ、その名前!あんたはサラマンダーよ。じゃなきゃ私は何の為に呪文を(とな)えたのよ。」


ハルもイラだし始め、彼女へと言い出す。


「俺だって何でここにいるかもわからないし、そもそも何でそんな格好してんだよ!コスプレか‼︎」


彼女も負けじと言う。


「コスプレってなに⁉︎私だってあんただって普通の格好をしているじゃない!」


その言葉にハルは不思議に思い、彼女へと鏡を要求し、鏡を渡して貰うと、驚く。


「な、なんで服装が変わってるんだよーー!しかも髪色まで変わってるし‼︎」


訳がわからないハルと彼女。彼女はため息をつく。


「私はレベッカ。とりあえずよろしく。」


そうレベッカは言う。物静かな森の中、二人してため息を吐いた。

 すると、森の奥から煙が立ちのぼった。それに気づいたレベッカは慌てて立ち上がった。ハルはレベッカの様子を見て、ただ事ではないと思い、レベッカへと聞く。


「どうした!何かあったのか⁉︎」


レベッカはハルの言葉を無視し、突然とその煙の方へと走り出した。ハルはレベッカの跡をついて行く。森を抜けると、そこには村があった。

 村は焼け焦げた臭いがただよい、民家は燃えていた。ハルとレベッカが見た先には、村人を斬りつける角や黒い翼が生えている男が居た。おびえているハルは、その場から動けずにいると、レベッカは恐れずに、村人を襲っている男へと向かい、装備していた剣で斬りさいた。レベッカは周りを見渡し、何かを探していた。

 恐る恐るハルはレベッカへと近づき、何を探しているのかを聞くと、レベッカはハルの顔を見ずに、見渡しながら応えた。


「…私の親よ…。」


そう言うと、レベッカは倒れている父親と母親を見つけた。両親に近寄って見ると、すでに斬り捨てられ、死んでいた。ハルはレベッカを心配していると、レベッカはうつ向いた顔を上げ、怒りの形相で大声を出す。


「皆殺しにしてやるーーー‼︎」


そう叫ぶと、レベッカの目の前に男が舞い降りて来た。驚くハル。レベッカの顔を見て男が紙を取り出して言う。


「お前が俺達を皆殺しにするだと?そんな事が人間に出来るわけないだろ?俺達はただ、精霊の書の一つであるページ、火の精霊にまつわるコレを手に入れる為に、来ただけだ。」


レベッカは男を(にらみ)つける。


「そんな事の為に、村人を皆殺しにして…私は絶対に許さない‼︎」


レベッカはそう言うと、剣を男へと向け、男へと向かって行く。しかし、男はレベッカの攻撃を避けると、レベッカの腹を殴った。殴られた勢いで、レベッカは倒れてしまう。男は短剣を出し、レベッカへと刺そうとしていた時、ハルは勇気を出して叫んだ。


「やめろーーー‼︎」


男はハルに気づくと、男はハルへと言う。


「この娘が死ぬ姿を見るか?まあ見た後で、お前も殺すがな。」


ハルは怒りからか、歯を食いしばり、男へと向かって行く。男はニヤついている。ハルは右手の拳を男へと向けて、殴りかかるが、拳を掴まれ止められてしまった。ハルは男を睨みつけながら叫ぶ。


「クソガーーーーー‼︎」


すると、拳から炎が突如と出る。男が熱がり、掴んでいた拳を離した一瞬の隙をつき、男の顔面へと殴り飛ばした。

 レベッカは驚きながら起き上がる。男が痛がっていると、ハルはひらひらと舞っていた精霊の書のページを掴み、燃やした。


「き、貴様。何者だ…。」


ハルは男へと睨みつけながら言った。


「俺はよくわからねえけど、精霊だ!この場から居なくならねえのなら、お前や、お前の仲間ものとも、燃やし尽くすぞ‼︎」


男は口笛を吹くと、空へと飛び去った。その合図で周りにいた男の仲間達も飛び去っていった。

 ハルへと近寄って行くレベッカに、ハルが気づくと、苦笑いで振り返って言う。


「ごめん…もっと早くあいつを殴っていたら、レベッカに痛い思いをさせなかったんだけどな。」


すると、レベッカが突然、一粒の涙を流すと、大声で泣きだす。焦るハルの顔を見てレベッカは手で涙を拭き、ハルへと言う。


「もう死ぬかと思った…。」


ハルは安心して笑顔になると、レベッカは笑顔になってハルへと言った。


「ありがとう…ハル。」


初めてレベッカに名前を呼ばれたハルは照れくさそうに笑った。

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