Side Act.9:孫と儂
超短いです。
「おじいちゃ~ん!」
「おや、どうしたのじゃ?」
「川に人が流れてきたよ」
「……ほう?」
ああ、嫌なもんじゃ。
きっと仏に違いあるまい。
この国が戦争になったと聞いたが、まさかこんな辺境の村の近くで戦っておったとはのう……。
恐ろしい世の中になったもんじゃ。
ま、孫が見つけてしまったのじゃ、これも何かの縁、弔っておこう。
「案内してくれるかの?」
「うん」
小屋の魚の干物は……まぁ中に置いておくかの。
小屋の外、数段下がった目の前の川がたまに洪水を起こすこともあって、10歳の孫だけで遊ばせたくはないのじゃが……。
しかしあの子の両親は流行り病で逝ってしもたからのう。
儂がしっかり見守ってやらねばならんし、何よりあの子自身が気を付けてもらわねばならん。
っと、ここか。
どれどれ?
「……うむ。この耳の長さ、エルフじゃのう」
「えるふ?」
「うむ。東にずっと行ったところにいる種族じゃ……左腕が無い所を察するに、かなり激しくやり合ったのじゃな……まだ若いのに」
「ねぇ、どうするのこの人?」
どうするもこうするも……。
「引っ張り上げて埋葬してやろう。手伝っておくれ」
「わかった!」
はぁ……気が重い。
孫にこんなことを手伝わせるのも、戦争の気配を感じさせるのも嫌なことじゃ。
早く済ませて、たまには孫と遊んでやるかのう。
そしてもう一話投稿いたしました。




