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3.10 絶対に諦めないんだから

「あれからもう一週間だねぇ」

「そうだな」


 土曜日の朝。

 俺達は平和に朝食タイム。


「ジュンも今日は用事があるんだっけ?」

「ああ、翔太の試合を見に行く」

「へー、サッカー部だったっけ?」

「うん」

「……試合、出るの?」

「多分」

「そ、そっか……」


 会話が途切れ、共に無言で箸を動かす。


「なにこの倦怠期を迎えた夫婦みたいな空気! まだ始まってすらいないのに!」

「未来永劫始まらねぇよ。そろそろ諦めたら?」

「なんかジュン冷たい! 前はもっと優しかった!」

「いや、最初からこんなもんだろ」


 言って、残った味噌汁を飲み干す。

 ああ美味しかった。最近のインスタントってすごい。


「モナは優紀とデートだっけ?」

「お買い物だよ。デートなら、ジュンと行きたい……かな」

「はいはい。じゃ、皿洗いよろしく」

「もぅ! 少しはドキドキしてくれてもいいじゃん!」

「だから俺はゲイなんだよ。あ、お金ここに置いとくから」

「アウト!」


 一際大きなモナの声に、軽い頭痛を覚えながら振り返る。


「今のジュンは人としてアウトだよ!」

「ただ飯食らいが何を言う」

「か、家事手伝ってるもん」

「だから飯と宿を提供してやっている。何か不満があるか?」

「あるよ! こんなに尽くしてるんだから、ちょっとは甘い言葉があってもいいじゃん」

「いつもありがと」

「気持ちがこもってない!」


 ……めんどくさい。まぁ、いつものことか。


「ぶー。失礼なこと考えてるでしょ」

「いや、感謝の言葉を考えていた」

「え、あ、あぁそう……」


 この悪魔ほんとチョロい。さておき、本当に何か考えないとな……。


「……どんなこと?」


 モナの背後で、尻尾が嬉しそうに揺れている。

 まるで犬……あっ。


「そういえば、一度も皿を割ってないよな」

「う、うん! 丁寧に扱ってるよ!」

「キャラ的には割らないとダメじゃね?」

「ダメ出し!? 褒めてくれないの!?」


 しょんぼりと、尻尾が垂れた。犬というより、子供っぽい。


「……だって、ジュンの物だよ? 大切な物だもん。割る事なんて、出来ないよ」


 うっわあざとい。減点。


「あれリサイクルショップで買った一枚五十円くらいの皿だから、特に思い入れとか無いぞ」

「うっ……今のはポイント高いと思ったんだけどなぁ……」

「下心が見え見え。そもそも、俺はゲイなので」

「なんでゲイなの? 過去に女の人に苛められたとか?」

「そんな過去は無い。俺は普通に、純粋に男が好きなんだ」

「うぅぅ、ジュンは手強いなぁ」

「そろそろ諦めたら?」

「やだ。諦めない」


 なんで嬉しそうな顔してるんだろ、怖い。


「さいごまで、絶対に諦めないんだから」

「……では、そろそろ時間なので」

「まったくもう……いってらっしゃい」

「ああ、戸締りよろしく」


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