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3.8 ダブルデートだ


 あっという間に訪れた土曜日、俺達は駅前に集合していた。


「みんな早いね。まだ十分前だよ?」


 最後に現れた翔太が困ったような笑顔で言った。

 抱きしめたい。


 今日の翔太は私服だ。

 そして俺は至福を感じている。

 しふくだけに。


「ジュン? なにか面白いことあったの?」


 あったよ。


「気にするな。行こうか」


 改札を通って、予定よりも十分ほど早くホームに着いた。

 俺達以外に電車を待っているのは数えられる程度で、ここは田舎なのだなと思い知らされる。

 空いていた椅子に並んで座って、わいわい話しながら電車を待つ。

 といっても無駄な話をしているわけではない。


 今日の目的は、ダブルデートだ。

 モナと優紀、そして……俺と翔太の。


「モナさん、制服なんだ」


 ……来たっ!


「他に服が無かったんダヨー」


 なんだその棒読みっ、ちゃんと練習しただろ!



 ちょっと回想。



「ジュン! 早く行こうよ!」

「いや待て、お前その服で行くのか?」

「……何か変かな?」

「変ってか犯罪だろ。半裸じゃねぇか」

「……どうしよ。他に服持ってない」



 回想終わり。




 こうして俺は思い付いたのさ。二人の買い物デート計画を!


「そうなんだ。家でも制服なの?」

「パジャマみたいなのはあるんだけどね……」


 俺は右隣に座る翔太の体温を感じながら、この瞬間の為に温めておいた言葉を口にする。


「服といえば、優紀はそれ、自分で選んだの?」

「……うん、まぁ」

「そっか。すげぇセンスあると思う」

「……そ、そう?」

「ああ。翔太もそう思うよな?」

「うん。弟になりたい」

「え、なに?」

「可愛いってさ! こいつ意外に照れ屋なんだよアハハハ」


 おい翔太どうした!? どうしちゃったんだ!?


「それで、良かったらモナの服も選んでやってくれないか?」

「……モナさんがいいなら」

「私はユウキちゃんが選んでくれるなら嬉しいよ!」

「だそうだ。バイトが空いてる日にでも付き合ってやってくれ」

「……うん。分かった」


 ミッションコンプリート!

 どうだ見たかっ!

 この完璧な作戦を!


「お姉ちゃん。いやお姉さま……ふふ」


 おい翔太どうした!?

 ほんとお前どうしちゃったんだよ!?


「そういや、今日はバイト大丈夫だったのか?」


 ちょっと今日の翔太の顔を見るのは辛いので、背を向けることにします。


「……お休み。偶然」

「ユウキちゃんバイトしてるの?」

「……うん、まぁ」

「へぇすごい! どんなどんな?」


 よしよし、いい感じだ。

 いい感じに仲良くなっている。

 多分モナの中でも優紀の好感度がぐんぐん上がってる。


 どうだモナ、尊敬しちゃうだろ?

 優紀は、大学に進学する為の資金を一年生の頃から集めているんだ。しかもバイトで稼いだ金の一部を家族の生活費にしているらしい。確か母親と弟と三人で暮らしていて、


「ああもうっ、弟になりたい!」

「ちょっと翔太おまえ黙ってろよ! どうしちゃったんだよ!」


 もう! いい話してたのにぃ! ムキィ!

 とにもかくにも――こんな具合に、俺達の花見は始まる前から賑わっていた。


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