アタタカイヤミ 79
僕は家に帰った。そして、すぐに2階に直行する。また、前の『人間プロデュース』の曲を聴くのだ。
そして、オーディオにCDを入れて聞く。
曲。『地獄の灰』。
最初のアコギのようなたんたんとした短調からこの曲は入っていった。
夏の日差しの中腐っていく動物のような曲だと僕は思った。弦を一つ一つ弾くことと、それに対照してロックのような曲調が交互に現れ、ますます人に不安にさせてしまうのだ、この曲は。
アンバラスの二つの曲調の中。人知れず持っている恋心が、夏の日差しを受けて変色し、腐っていくような曲に感じた。
次の曲。『風渡り』。
草原の中、自由にひょうひょうと渡る風のような曲だと感じた。
例え、その草原が戦場の舞台になり、血塗られて(ちぬられて)いようとその心は自由である。ということを感じた。
この曲を聴くと真部を思い出す。なぜか知らないが真部もこのような自由な風を吹いているような感じがしたのだ。
僕はそれらを聞いたあと次の曲に入った。
これまでの曲を聞くなか、僕の心の中はだいたい満足をしていた。このような思春期の暗い衝動を放つ曲なんて今まで聴いたことがなかったから、僕はうれしかったんだ。
例え、そういうのを聞くとしてもクイーンとか、ヴァン・ヘイレンのような幼稚な曲しかなかったし、ヘヴィメタあたりはあまりに暗すぎるから、論外だ。だからセンターオブライフのような歌手に会えたことがうれしかったのだ。
それでぼくは次の曲に移った。曲は『the red world』だ。
基音のようなイントロから、この曲は入った。
そして、深紅の世界が現れた。すべてを壊す衝動とともに。
その破壊衝動と、苦しみと、悲しみを深紅の世界に織り込み(おりこみ)、染められ(そめられ)、最後に壊れていった。
僕はこれを聞いて、戸惑った。これは今まで聴いていた曲とはなにか異質のようなものという気がしたのだ。
いや、こういう曲はあった。『ウォーター』や『ワールドエンド』と言った救いようのない曲はあったが、それとはどこかこの『the red would』は違うような気がした。
確かに内に秘めた破壊衝動は同じだが、何か、違う。今まではもっと、聞くものにとって俺もこんな衝動を抱えているんだ。と言うことを示していたのだが、この曲はそう言うものにきびすを返して、自分自身を攻撃するように感じたのだ。
僕は曲を止めた。そして、そのまま思考を回転させながら佇んで(たたずんで)いた。




