アタタカイヤミ 71
そして、僕らはコーヒーを飲み終え、外に出たらフレイジャーと寺島さんがちょうど話を終えた感じの雰囲気を纏って(まとって)いた。僕は二人に話しかける。
「話は終わったか?」
「ええ、終わったわ」
「……………」
寺島さんはやはり、僕の言葉を無視した。どうやら仲直りは難しいらしい。
「う〜ん。まあ、何はともあれ、ここで解散と言うことにするか?二人とも気まずいと思うから、ここいらで解散と言うことにしよう」
そう真部が言ったら、みんなが肯いた。そして、そういうことになったので解散と言うことになったが、僕はフレイジャーに少し用があったので、帰ろうとしていしているフレイジャーに話しかけた。
「何かしら?一樹」
そうフレイジャーが、大都会にいる少女のように髪を手でとかして、そこ冷えを感じさせる冷気を発しながら言った。
「ちょっと、話がある。カラオケでも何でもいいから話したいんだ。いいか?」
僕はそう言った。そうするとフレイジャーはしばらく考えたあと頷いた。
「ええ、いいわ。今日はお父さんがいないから私の家に行きましょう。リベール瀬野が私の家だから案内するわ。付いてきて」
そう言って、キャサリンが自転車を動かした。僕も後に続こうと自転車を動かしたときに真部がそばにやってきた。
「笹原」
「なに、真部」
僕は真部がこれから用事なのに声をかけるなんて変だな、と思って振り返ったとき、真部が僕をにつららのように透き通り、その先端で相手を追求する、視線を送ってきた。この事で、まだ、真部が僕たちにかけている嫌疑が溶けたわけではないというを知った。
「笹原、キャサリンとは何のことで話すんだ?」
「別に、たいしたことじゃないよ。勉強のことで教えてもらいたい教科があるんだ。それだけだよ」
僕は下手ないいわけを考えた。こういう現場に遭遇するとあまりいいうそがつけないのだ、僕は。しかし、当然ながら真部は僕のうそをこんなことを言ってついてきた。
「しかし、勉強というなら、俺でもみれるぞ。何で、キャサリンなんだ?」
そうだった。真部は学園でもトップクラスの天才だった。確かにこの理屈では真部に相談しない理由はなかった。
「いや、英語のことで分からないことがあるからさ、フレイジャーに話したくて」
「しかし、英語もできるぞ?」
「いや、絶対フレイジャーじゃないといけないんだ」
そう僕は是が非でも押し通そうとする。真部と僕の視線がぶつかる。だが、この事で先に目をそらしたのは真部だった。真部はフッと笑った。
「分かった。この事は不問にしとく。じゃ朝、キャサリンの家に行くなら近いうちに俺の家に来いよ。約束だぞ」
「ああ、もちろん」
そして、真部は背中を見せて自転車に乗り込んだ。
「ああ、いいよ」
そう言って真部は自分の自転車のほうに向かった。
「笹原ー!早く来なさいよー!」
フレイジャーが叫んでいたから、僕はすぐにフレイジャーの後を追った。
リベール瀬野。瀬野駅の近くにあるマンション。そこにフレイジャー一家が住んでいた。6階のある一室にフレイジャー家族の部屋があった。
その家に入る。やはりそのマンションは普通に日本のマンションと同じく清潔な白い一室、悪く言えば無機的な一室だった。その名にもない玄関を上がって左右に折れてある廊下の右側をフレイジャーが曲がったので僕もそのあとについていく。
その右の曲がり角をさらに左に曲がったところに両側に扉が4つあった。フレイジャーはその奥の部屋に行こうとしているときにこちら側の左の扉が開いた。
出てきたのはアングロサクソン形の中年の女性だった。顔に皺があるものの、やせているおばさんだった。
そのおばさんが僕を指さしてwho?といってきた。
「お母さん、この人は友人で同じクラスのこの笹原一樹くんというの」
I sawといったあとお母さんはこう言った。
「ごめんなさい。知らずにいたものだから。どうぞ、ゆっくりしていってね」
所々のイントネーションがおかしかったけど、でもだいぶ流暢な日本語だった。
「はい、ゆっくりします」
そう僕は返事をした。それにフレイジャー母はにっこりと笑った。
「一樹。私の部屋はこっちよ」
「ああ」
フレイジャーにつれられ僕はフレイジャーの部屋に入った。




