アタタカイヤミ 104
放課後。夕方の優しい色がクラスの中を差し込み、クラスが夕凪の色に染まっていくとき。しかし、クラスの雰囲気とはそれと半比例して戦場に向かう輸送機の中にいる兵士のようなぎすぎすした空気があたりに立ち籠めて(たちこめて)いた。
「なあ、あのマスコミ達、まだいるかな?」
「ああ、多分」
「でも、もう夕方だし、彼らの多くは帰ったんじゃない?」
「いや、それはわからない」
そんな声があちらこちらで聞かれていた。僕はそれらの声を聞きながらキャサリンのほうへ向かう。
「よ、キャサリン。また4人で帰るか?」
キャサリンは青色の瞳で僕をじっと見つめたあと、こう言った。
「ええ、そうしましょう」
そして、僕たちはキャサリンが美春に僕が光に連絡を取って、下駄箱のところで待ち合わせをした。
そして、僕たちは下駄箱に向かうと彼らはもうそこにやってきていた。
「よう!リンちゃん!一樹!一緒に帰るよね?」
そこには元気になった美春と苦笑した光がいた。
「美春、完全復活か?」
僕がそう言うと、今まで満点の空の下のひまわりのような輝きが、雲に隠れてその輝きに一つの陰りを残した。
「う〜ん。正直言って、また、外に出るのは怖い」
そう美春は少し元気をなくしていった。その言葉に僕たちは沈黙をしてしまった。
「じゃあ、こうしよう」
その美春を思っての心の痛みに彩られた沈黙に僕は一つの提案を投げかけた。
「僕は今朝、村田を助けたことからマスコミは僕を村田の彼氏と勘違いしているんだ。だから、僕が最初に出れば、マスコミは食らいついてくるはずだから、そのあとにすり抜けてくれ」
そう僕はいった。その言葉に少しの沈黙がおきて、美春がぶんぶんと頭を横に振った叫んだ。
「そんな…………そんなのいけないよ!そんな、一樹が犠牲になるような事をするのは!」
そう美春は僕にハッキリと拒絶の意志を伝えた。そんな美春に僕はその目を見つめ言い聞かせるようにいった。
「美春。これを犠牲と思わないで欲しい。僕はマスコミの人たちと話す必要がある。だから、これは必要なことなんだ。だから、これは必要なことなんだ。犠牲と思わないでくれ」
「で、でも〜」
美春はまだ渋っていた。その瞳には僕に対する心配とどんなことでも犠牲は良くない、という信念があった。
その美春の渋りに僕が困っていることに対して光が助け船を出した。
「美春。そうはいってもお前はまだあのマスコミの中に入るのは怖いのだろう?お前はあのマスコミ達の中には入れるのか?それに、一樹はマスコミ達と話したいようだし、その思いはどうするんだ?」
その光の言葉に美春は頭を抱えた。
「う、う〜ん。そ、それは〜…………」
美春は答えることができなかった。それに光とキャサリンが目を合わせた。
「美春、そうはいっても、あなた自身マスコミの中に入るのはダメでしょ?それにここは一樹の思いを成し遂げてあげるべきよ。だから、一樹の出した提案に乗ることが一番いいことだと私は思うけど、どうかしら?」
「う。う〜ん……………」
美春は唸った。二人のダブル射撃にその顔色は土色の様相を表し、劣勢に立たされていることは想像にかたくなになかった。
やがて彼女はこう言った。
「うん、わかった。そうしよう。だけど!一樹一人にさせておくのは心配だから、リンちゃんか光のどっちかが一樹についてあげてて、一樹ってどこかでぽっきり折れそうで心配だから………だから!二人のどっちかついて欲しいの!」
そう美春は言った。
ぽっきり折れそうだと言われても…………。
そう、僕は頬を書きながら困惑したけれど、光とキャサリンは目配せをして、なにやら肯きあっていった。
そして、その目配せが終わって光が言った。
「俺が行こう」
美春と僕が光を見つめる。それにも関わらず光は全く照れずに淡々と言った。
「俺が一樹と一緒に行こう。美春はキャサリンと一緒に行動してくれ。これに異論のある人はいるか?」
「僕はないよ」
「私も、光なら別に異論はないよ」
僕たちは特に異論はなかった。僕自身、光なら頼もしいと思っているから別に異論はなかったのだ。
「じゃあ、そうしよう。まず、俺とが一樹が先頭に立つから、美春達はそのあとをすり抜けるように。じゃあ、行くか、一樹」
光が僕に目を合わせていった。僕もそれに肯く。
「ああ」




