00 ―プロローグ―
またもや(?)変化球な設定かもしれませんが暇つぶし程度にサラッと読んでいただければ幸いです。
大体4000字程度。5000字くらいの時もあり。
基本主人公視点。別視点の時はタイトルにキャラ名を明記します。
1話と同時投稿しています。
何かに急かされるように、早く――逃げなければ――行かなければという思い。
そのままの勢いがついた状態で駆け降りようとした階段で、一歩足を出したときに感じた背中へのそっと触れるような感覚。
着地点がずれた左足は勢いに耐えきれずズルッと滑り、あ、落ちると思った瞬間に右手で掴んでいたはずの手すりの感覚が消えた。
罰則覚悟で練り上げた魔力は発動寸前に霧散し消えた。
本来ありえるはずがない現象に息が止まる。
勢いのついていた身体は上を見るような体勢に換わり――ゆっくりと身体が後ろに傾いていく。
助けを求めるように空へ伸ばした左手の先に視線が向き―――
階段の上に逆光によって浮かび上がるシルエット。
―――あなたは、だれ?
見えないはずの口が弧を描いたように見え―――
突如、走馬灯のような記憶の波が私を襲い――『あぁ、二度目か』という思いと共に――私の意識は焼き切れた。
―――幸いだったと思うのは、今まで教え込まれたとおりに身体が勝手に受け身の体勢を取ったことと、意識がないおかげで全身を強打した割にその時の痛みがなかったことか―――
◇※◇※◇
二人分の人生の記憶の欠片が散らばっている不思議な空間。
これは実際には存在しない、きっと想像力で生み出された空間なのだろう。
それでも二度目となれば『また』来たような懐かしい気持ちになる。
私には前世の記憶というものがある。
一度目に思い出したのは、今の家族に会った時。
……『乙女ゲーム』の世界のヒロインというもので。
そして二度目の、――本来ならありえない――階段から落ちたことにより 思い出した前世の記憶の一部。
一度目のそれを補うように甦った記憶の欠片。
これは果たして“私”のこれからにどんな道を示すのだろう……。
その重なった出来事は、ただの偶然かはたまた仕組まれたものなのか。
それを知るのは神かそれとも……。
記憶の整理にはまた時間がかかるのだろう。
一度目は18年分のものと8年分のモノとでどちらかが消えてしまうのではないかとあの当時は思っていたけど杞憂に終わってホッとした記憶がある。
きっとまた上手く融合するのだろう。
それなら今までを思い出して、記憶の整理の手伝いでもしてみましょうか。
ヒロインになりたくないと思ったら悪役かぁ……。
これからどうするべきか、どうしたいか。
だれか答えを教えてくれないかな。
読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字報告や感想などありましたら嬉しいです。
のんびりだったり時間が飛んだりしますがこのプロローグが1章の最後付近の予定なのでそこまでは(はなるべく)基本毎日更新の予定。
なかなかレベルの上がらない作者で申し訳ないですが、お付き合いいただければ嬉しいです。