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しるし(詩集)

降らない雨

作者: さゆみ


白い昼

夏が残した残骸を秋が拾って揉み消した

風が木々にひやりと触れる

葉が震える

何もいわない

いえない



分厚い雲で固められた空

屋根の瓦の上で黒い鳥が見ている

鳴いた

二回鳴いて

どこかに帰った



降らない雨

降れない雨

降りたい雨

絞りだすような自然音が聞こえてくる



揺れ動く昼

時間は正確に通過する

濁っても澄んでも

平等に



木々はそこにいて

風は行き当たりばったりで

黒い鳥はもうそこにはいない



雲はいつもどこかの空にいて

雨はずっとどこかの雲に蓄えられて

蓄え続けられて

重たくなりすぎて

無言で叫ぶ

もう限界だ限界なんだよ

彷徨っている

見つからないという



やがて雲は

気まぐれな風に飛ばされた

青が見え始める

太陽のまぶしさがちらつき

昼は肩をすぼめた



降らない雨

降れない雨

降りたい雨

今日も見つからない

きっと明日も

とても息苦しい

それなら

水蒸気になって

消えてしまえばいいよ

降らない雨はいらないだろう?











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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませて頂きました(^o^ゞ 『夏が残した残骸を秋が拾って揉み消した 風が木々にひやりと触れる』 どうしてこのような言葉が浮かぶのか♪やはり、さゆみ樣は素晴らしい感性をお持ちですよ。…
2013/09/23 18:16 退会済み
管理
[良い点] 自然の息吹を感じながら、言葉の美しさを感じました! [一言] いいなぁ、これも。 自然の厳しさ、事象を感じさせながら 最後の無気力感がなんとも、傷口に塩を塗るような感じがたまらない。 置き…
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