改めて実感
建物を調べるにあたって世界のお城を色々見たんだけどどれも美しすぎですね。行ってみたいもんです。
よっこいしょと言って立ちあがった要が私達を見ながら指で扉を指し、
「じゃ、顔合わせしたし行くか。一応今いるのはこれだけだ。他にもいるけど、2人は東の方に魔物退治に行ってるし、1人はお偉いさんのとこに出張してていない。ま、その内戻るだろ。」
「ま、魔物なんているの!?」
なんだそれ初耳だよ!?危なくないか!?RPG過ぎる!
慌てた私を見てエリザが簡単に魔物の説明をしてくれた。
「うん、いるよ。基本は現地の自衛隊や派遣されてる兵達が相手するんだけど、強かったり近かったらと私たちが倒しに行くんだ。魔物は大きく分けて人型、獣型の2種類。大体は獣型で、作物を荒らしたり家畜や人を食べるちょっと凶暴な害獣かな。数が多いけど知能も獣並みが多いからパワーだけ気をつけといたら倒しやすいよ。完全に人型タイプは困っちゃう。頭良いし身体能力高いのに、見た目割と一緒だから分かりにくいしやりにくいもの。力が無駄にある人間って感じ?」
「人型は数少ないし、はっちゃけたやつそんなにいないけどな。」
「…あとは亜人がいる。血が濃い人はそこまでいないけど魔物と人とのハーフ。…成り立ちが良くないせいで差別の対象になってる。でも、身体能力がいいからか盗賊稼業に入っちゃう人が多い。…後は奴隷。」
エリザが最後は小声で言ったためよく聞こえなかったので、脅威性しか聞いてなかった。
「え、えぇ~…。私も、そんな相手と戦わないといけないの?」
自慢じゃないが荒事は苦手だ。なのに能力者というだけで、私もそんなことしないといけないかと思うと無理だ!
眉間に皺を寄せ困った、という感じで聞くとテオが、
「まー、仕事の一環と言ってしまえばそれまでだけど…。そうゆうの能力によって向き不向きがあるからさー。ほら、たとえば俺は幻術が能力だから人や人型の魔物には強いけど獣型にはイマイチだし。要は風だから倒すという意味では応用利くよね。エリザは声というか音波だけど広範囲すぎてやりすぎる事が多いから撲滅用って感じかな。」
ふむふむ。ってそんなんできるとか歩く人間兵器か!(ツッコミ)
「それでいくと私はなんだろうね?というかどうやって皆分かったの?」
素朴な疑問になぜか3人は頭を捻りながら、
「なんだろ?いきなりぶわーってなって、あ、自分はこれが力なんだ、って分かるんだよね。覚醒みたいな感じで。…うーん。上手く…言えないな。でもその時はちゃんと来るよ。」
テオの言葉に2人は「そうそう、言葉じゃなかなか。」と言いあいながら頷く。
「あんまり参考になってないけど…少し楽しみにしとくね。」
苦笑いしながら答えて、この場の魔物についての会話は終了。
その後は当初の目的の自分の部屋に案内してもらうことになった。
エリザはあの後、また奥に引きこもろうとしたのを、要が「体を動かせ!」と言って半ば無理やり連れてきた。
後ろの方を歩きながら本を読んでいるのに、よく階段とか引っかからずに歩けるなーと少し関心。
…要が本を取り上げようとしたら、凄く抵抗して仕方なく放置という形だけど。
付いてくるだけでも妥協しようという事らしい。
因みに、この建物外から見ると大きく6、7階建に見えるらしいがヨーロッパにある近代的な城と同じで、窓を大きく何個も取っているだけなので実際は3階+屋根裏と地下だけ。
形も四角く真ん中を空けた形で四方が尖塔で繋がった作りになっており行き帰が凄くめんどくさい気がする。
でも、中庭は一番気にいった。
イングリッシュガーデンに近い造りで、小さな人工の河があったりして、樹と凄く合っていた。
とりあえず、それだけでも十分広いが、ここは城ではなく屋敷とのこと。何と言うか…規模が違う。
ついでに建っている場所は王宮の敷地の一角らしいが、肝心の王宮自体は山の上の平地に建っているらしくまともに見えない。
「1階が生活スペース。2階が基本俺たちの部屋。3階は非常用の客の部屋だからそんなに使わない、屋根裏は使用人たちの部屋だから行かないようにな。地下も台所とか洗濯所とかしかないから邪魔になる。階段とか別だから間違えようがないはずだし。ここは無駄にスペースがあるけど、この建物の四方にある塔の内2つが図書室で、後はサロンとなぜか教会。中庭には神の樹がある部屋があるし。外は番兵とかの建物だし…。ほらここがお前の部屋。客用だったから殺風景だけど好きに飾ればいい。隣はエリザだから仲良くしろよ。」
「最近、私居ないけどね。」
「じゃあ戻れバカ。いつまでも図書室で寝起きしやがって。風邪引いたらどうするんだ。」
そう言って要が扉を開けると中は広く続き部屋でホントに外国のお城を連想させた。
殺風景と言うだけあって家具は最低限のベットと机とドレッサーにソファだけだったがそんなの問題じゃない。
中は写真でしか見たことがないような部屋で、落ち着いた色合いの暖炉はあるし、クリーム色を基本とした細かい飾りがついた壁や綺麗な模様が描かれたカーテンとそれに続くアーチ。
奥の方にある部屋は衣裳部屋のようだった。
「…夢みたい。ホントにお城だよ…。うわぁ…」
きょろきょろと周りを見ながらテンションが上がっている私を見て部屋に入りながら要は、
「なんかいるものとかあったらこの屋敷を任されてる執事のクライブに言えばいい。眼鏡かけてるじいさんだから分かりやすいぞ。そういや最初に服一式いるな。…女か男かも分かんなかったから何もないんだ。今お前が着ている服だってマリアのお下がりだしな。…よし、いい機会だし服買いに外行くぞ。」
「え!?こっちの世界の服って…みんなこんなんだよね…?」
今着ている服のスカートを摘まみながら聞く。
だって、要達もゲームで着てるような服でなんていうか、かわいいしかっこいいんだけどコスプレ感が拭えない。
「これがこっちの世界での普段着だけど…王族とか貴族はドレスが多いけどそっちが良かった?」
「全然!!スカート万歳!」
首を横に振って否定。ドレスと比べたらこの服なんてマシだ。
慣れればかわいいし。
「…でもちゃんとした場所だと私たちもドレスだよ?だから何着か持っとかないとダメ。」
エリザにダメ押しされガックリきた。
「じゃあカイル達に行って町まで行こうか。まだ昼前だから向こうでお昼食べよう。女の子の意見もいるからエリザもね。」
テオの一言で4人で町に繰り出す事になった。
お城のイメージとしては近代的な居住機能に特化したものをイメージしてます。