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あやしい旅人

「ですから、ここを通るには許可が必要なのです。」


私は目の前の旅人に言う。


「冗談じゃないぞ?ここが一番近い街なんだよ……」


旅人は顔を真っ青にしている。


「ですから、ここを通るには許可が必要なのです。」


双子の妹であるベルが合わせる。


通行証がなければこの門をくぐることはできない……常識でしょ?


「女神に言われたんだ!この世界を救えって……」


旅人は意味の分からないことをのたまう。


女神……なんの、だれの。どこの神話?


一言で女神と言っても色々いるんだけど……この世界には。


「ますます怪しいよ。ねえベル。」


「ますます怪しいね。ねえファル。」


私たちは断固としてこの門は通さないと伝える。


「くそ、他に門はあるのか?」


私たちの態度に旅人はうろたえている。


「この街には4つの門がありますが……結果は同じだと思います。」


「結果は同じだと思います。」


「なんてことだ……せっかく便利な街近くに転送してもらったのに……」


「転送って、郵便物でも持ってるんですか?いずれにしても……」


「お引き取りください。」


不審者をひとり追い払うことに成功した。


ここは冒険者の集う街。


近くにダンジョンが発見されてからこの街も人口が増えたし、


治安も悪くなった。だから私たちのような門番が、この街には必要。


「最近暑くなってきたねー。」


「だねー、暑くなってきたねー。」


支給されている夏服も、防御力を考えると暑くなっちゃうんだよね。


幸い西門は日影が多いから助かってる。


南門は直射日光が地獄なんだって。北門はモンスター多いらしいし。


東門は単純に「お客様」が多いし。西門は仕事が少ない。


だから私たちってワケ。


……遠くから馬車がやってくる。いつもの商人さんかな。


馬車を制止させた商人さんが通行証を取り出す。


「よう、ファルちゃん、ベルちゃん。今日はいい天気だなあ。」


「私たち的には、曇ってた方がいい天気ですよ。」


「曇りの方がいい天気です。」


そうかそうかと大笑いする商人さん。


彼がが繰る馬車を通すと……後ろの荷物に誰かが入っている!


「ストップ!」


「ストップ!」


私たちは見落とさなかった。


「いやあ、そいつのことは許してやってやれ。」


「でも、いいんです?」


「いいんです?」


私たちは確認する。


「いいのいいの。そういう事にしといておくれ。」


「では規則なので一応見ますね……さっきの旅人さんか。」


「さっきの旅人さん。」


まあ悪い人には見えないし、いつもの商人さんが大丈夫というのなら……


大丈夫なのかな。


「ただでとは言わん。ほれ、20リリング。」


商人さんは2枚の硬貨をピンと指で弾き私たちのそれぞれ近くに落とす。


「わかってるじゃないですか。」


「わかってるじゃないですかー!」


世の中お金なんですよ、つまるところ。


「ほっほっほ!これも女神の加護じゃろて、ずいぶん安いものよ。」


「だから。どこの神話かわからない女神が出てくる……」


「なんの女神さま?」


馬車は街中へ。


門番のお仕事は二つ。


通る人間の選別と……モンスターの駆除。


今日はモンスター出ないな。


私たちのお仕事は、日の出から日の入りまで。


「ヒマね。」


「ひま!」


お金はあっても使う時間がないのだ。

二人のなんの変哲もない特別な時間がはじまりました。


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