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6.First boss results


 レベルが上がった。


 まあ、それも当然か。

 最弱候補と言えどボスはボス。それをレベル1のソロで倒したのだから、レベルアップしない方が不思議である。


 さて、今回の戦いで一つ分かったことがあった。それは一人でも戦えるということ。

 ゲーム的にはよろしくない判断だろうが、ソロは気楽なのだ。失敗しても迷惑をかけることはなく、適当な決断が不和を呼ぶこともない。

 適当で大雑把で気分屋な私には、やはりソロが向いている。あんまり過疎だとサービスの継続面で不安になるからつい人の多いところへ寄っていってしまうが、本質的には孤独を愛しているのだから。


 ディングレイは強いボスでなかった。弱かったとすら言える。最初期に出くわす相手が無法ではユーザーが離れていってしまうからだ。エンゼリカのような手合いは例外中の例外に違いない。

 それで最初のボスの手応えとしても、ディングレイは弱かった。正直なところ、レベル1で挑んでいながら敗けを覚悟する瞬間が一切無かったのだ。終始こちらが主導権を握っていた。

 それでもボスが倒せたと言うことは、この先でもある程度はやっていけるだろう証明となる。

 まさか、その辺りの草むらに隠れている魔物がいきなりディングレイよりも格段に強くなっていることはあるまいて。


 戦利品を確認していく。

 ディングレイの素材らしい毛皮に爪、尻尾が丸々一本と太く短い大腿骨が入手できた。

 インベントリにそれらを収め、素材と異なるドロップ品に注目する。


 [赤茶小熊猫のオーバーオール]。


「装備品もドロップするんだな」


 鑑定系のスキルを持たないために、詳細を知ることが出来ない。ただ、初期装備である麻のシャツとズボンよりも性能が下ということはないだろう。仮にもボスドロップなのだ。それなりに使えるものに違いない。


 早速装備をしていく。

 ズボンと交換で赤茶けたオーバーオールを身に着け、下には麻のシャツを着る。


 どこかの作業員か職員のような姿になった。

 これがオレンジ色だったなら捨て駒にされているかもしれない。


 ファンタジックさは足りていないし、精霊なんて神秘的な存在にもそぐわないが、最初に得た報酬と考えると中々どうして心に暖かなものが満ちるのを感じられる。


「良いじゃないか」


 手癖で煙草を探してしまうが、ここには無いのだと思い出して諦める。

 いつか探してみるのも悪くない。



 レベルは3つ上がって、4になった。

 大幅な強化だ。

 能力値は隠されていて、さらに振り分けることも出来ないが、それでも体感で上昇を知覚出来る。いや、知覚出来るほどに向上したのか。

 恐らく、他ゲーで言うところの筋力値やら俊敏値のようなパラメータが変化したのだろう。耐久値に関しては不明だ。感覚的にはそれほどの上昇幅ではないように思えるが。

 使い込むほどに上昇するとしたら厄介だ。

 魔術の一つも覚えていない現状では、脳みそまで筋肉なキャラクターにしかなりようがない。

 折角、精霊だと言うのにそれは面白くないことだ。しかし精霊魔術的なスキルの開放条件が分からない以上、この件は棚上げする他無い。

 まさか村にいるとアンロック出来るのだろうか。NPCからヒントが貰える、とかか?

 だとしても村まで戻るつもりはない。ここで意見を翻すのは、自分に対して格好がつかないのだから。

 それにしても敵を倒さない訳には行かないのだから、これはもう二律背反と言えるだろう。


 思考は二秒に満たず。

 結論はすぐに出た。


「なるようになるか」


 最悪の場合、作り直しでも良い。

 まあ、レベル1からやり直しみたいな救済システムがどこかにあるとは思うのだが。


 行き当たりばったり。あるいは臨機応変。

 今後の自分に成長スタイルを任せつつ、さらにスキル欄を眺める。

 取得可能スキルに新たなものが加わっていた。

 行動によるのかレベルによるのか。はたまた能力値によるものかもしれない。

 その辺りの解明は検証班があるならお任せするとして。


 『CoH』ではスキルが取り放題だ。

 全部取得して全部装備する。

 そんなプレイも許容されている。だが、そんな真似をしてただで済むはずがなく、βテスト時点で取得経験値が限りなく0へと近づき能力値も大幅に下降したと聞く。

 つまり、取得数が多いほど恩恵を得られるのだからそれに合わせた調整が入るということだ。当然な話である。

 ちなみにだが、取得スキル数0で始めると大幅にボーナスがかかるなんてことはなく、ただ普通にスキルが無いだけでレベルが上がったらしい。こちらもβでの検証で仕様変更の可能性も捨てきれないが、恐らくはそのままだろう。


 目指すなら最小の取得数で最大のシナジーを生む構成だが、そんなものをたった一人で見つけ出すことは不可能だ。

 偶然に賭けるのも現実的ではない。


「効率的ではないんだが……」


 都度都度継ぎ足していくよりも、最初にまとめて獲得してから不要なものを外していく方が良い。

 条件次第で新たに開示されるスキルがあることからも、早い内に揃えておくことは大事だ。


 ただそれは余りにも無節操ではないか?


 そう、その一点。

 下らない美学。

 楽しむにあたって効率は重要だ。しかし効率だけを求めるのは、楽しさを得るための娯楽と相反している。


 無いはずの煙草を求めて、胸ポケットをまさぐる。やはり無い。


 ため息一つ。それで終わり。

 コレクターではないのだ。開放できなかったスキルに関しては潔く諦めることとしよう。


 選ぶならキャラクターメイキングで取得するか悩んだものから優先的に採っていこう。


 例えば『踏み込みLv.1』。踏み込みの強化はそのまま剣撃の強化に繋がる。身体は連動している。足元を固めることで、より滑らかに運動エネルギーが伝えられるようになるのだ。

 それから『蓄力Lv.1』なんてものもある。いわゆるチャージだ。突撃ではない。力を込めて次の一撃の威力を高めるスキルである。しっかり受け止めてから一撃を叩き込むスタイルとは相性が良い。つまり、私向きだ。


 他に候補を挙げるなら『高速移動Lv.1』や『瞬間強化Lv.1』、『ハードスキンLv.1』などもあったが今回は取得を見送る。

 一度に手札を増やしすぎても扱い切れずに腐らせてしまうだけだ。



 ◇◇◇



Name:キリィク

Level:04

Title:《無の精霊》

Skill:『汎用剣術Lv.3』

   【スラッシュ】【ストライク】

   『汎用盾術Lv.2』

   【ガード】

   『身軽Lv.2』

   『踏ん張りLv.3』

   『直感Lv.2』

   『踏み込みLv.1』

   『蓄力Lv.1』


ご覧いただきありがとうございます。

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