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アステリ

 我々兵士が大勢生活する兵舎や議会などがある実務的建物とは対照的に、王女らと貴族たちが住む宮殿は細かな装飾が施された小さな建物だった。

 議会は主に戦事を担う軍部で構成される衆議院と他の内政を取り扱う貴族院で成り立っており、俺は穏健派の貴族ユリイカの護衛役に充てられていた。


 俺よりもはるかに長い年月を生きてきたユリイカは、三代前の聖女王(マザー)の時代から政治に携わって来た。

 同年代のアステリが寿命で次々に亡くなっている中で、ユリイカだけは四肢の衰えに反して、知性ある力強い眼光は衰えを見せなかった。

 自身よりも年若い貴族や強靭な肉体を持つ軍人にも負けない強い意志を持つ、この老貴族に俺は尊敬の念を覚えていた。


「今度の議題はオリンピアだろうな」

「……オリンピアですか」

「お前は今代の生まれだから知らんのだろうが、オリンピアはただ競い合うだけじゃなくて、加冠の儀を兼ねているのだよ」

「加冠の儀とは何ですか」

 噂に聞いたオリンピアは王女たちが互いに鍛えた肉体を神に捧げ(みせ)ながら競い合う舞台。勝者は国中から称賛される。

「興味があるのか?」

 俺の表情(かお)を見て老ユリイカは言った。

 言葉に詰まっていると、ユリイカは黙って歩き出した。


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