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アステリ
すっかり傷が癒えた俺は古参兵で編成された小隊を任されていた。
それまでに抱えていた近衛隊は多くの死者を出しはしたが、それでも半数が成長し、それぞれ各方面の部隊へと配置された。前任者に比べ俺の預かった兵たちに”血の渇き“による野生化は少なく、それなりに満足出来る結果と言えるだろう。
先日、無事に昇格して資格を得ていた俺は、収穫の日に戦地へ赴くことを許されていた。
収穫の日、当日。
司令官待つ広場に集められた、俺を含んだ数人の将校は正午の鐘の音と同時にそれぞれ別れ、思い思いに戦地へと向かった。
しばらく進むと身を纏う空気が重く感じてきた。エントロピーが増す。項がチリチリと鳴る。強者の臭い。獲物が近い。
細長い幹から多くの枝を伸ばすティシューの林から飛び出したその獲物は、巨大なその体の至るところから血を流していた。
刀傷だったが、どれも致命傷には当たらない。手負いの獲物は危険だ。
俺の存在に気が付き、低く唸り、牙を剥き出し威嚇する。
直ぐに左右の触手を狩猟ナタに変化させ、臨戦態勢に入った。




