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アステリ

「進化したのが六名か。まずまずの成果だな」

 報告に上がった俺にそう声を掛けたのは前方司令官、この現場で一番のお偉いさんだ。

「いえ、新兵ばかりとは言え、戦死者が十一名ほど出ました。指揮官として不足の致すところです」

「初陣であれば”血の渇き“を抑えられぬ者も多かっただろう。そう気に病むことはない」

「ところで、大尉。体の調子はどうだ?」

「問題ありません」

「そうは言うが、あれだけの怪我だ。まだ完調というわけにはいかんだろう。無理せずゆっくり体を休める事だ」

 大佐はそう言うと、もう会話は終わりだというように、扉の前に控えていた衛士に合図を送った。俺は頭を下げ、踵を返して指令室から退出した。


 私室に戻った俺は戦上衣(ウォーコート)を脱ぎ、ベットに腰を下ろした。

 伸びをする。左肩に刺すような痛みと痺れを感じて顔をしかめた。

 自分でも驚くほどの大怪我だったが、細胞癒着は上手くいき、動かすのに不自由を感じる事はない。治ってはいるはずだが、時折、記憶と共に痛みが襲って来る。喰い付かれた時の敵の息遣い、肩を切り裂く刃の冷たさまで。

 聖女王(マザー)の排卵期が終われば婚礼の儀が始まるのも直ぐだ。それまでに何としても階級を上げておきたい。それが出来ないのであれば、前線の部隊へと志願した意味が無い。

 俺は今の自分の状況に苛立ちを感じていた。


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