28/38
アステリ
それぞれが聖女王から簡単な労いの言葉や明日への意気込みなどを問われ、それらに答えながら晩餐会はつつがなく進んでいった。
時折、聖女王から意味有りげな視線を向けられもしたが、彼女の戯れだろう。俺は気付いていない振りをした。
晩餐会が終わりを迎える頃、聖女王が杯を手に皆に向かって言った。
「我が雌(子)らの健闘を祈って」
給仕がワインの入った水差しを持ってきて、テーブルの次代たちに注ぐ。コリアについた給仕が杯に注ごうとして慌て、注いだワインが跳ねた。ワインの滴が給仕の手に跳ね、肉を焼くジュッとした音と「あっ」と言う小さな悲鳴が給仕の口から漏れたのを俺は見逃さなかった。
聖女王が捧げ持った杯を飲み干したのを合図に候補者たちがそれぞれ杯を口にする。俺はコリアが口付ける前に素早くその手から彼女の杯を叩き落とした。
悲鳴が起こる。
そこからは地獄だった。喉を掻きむしり、テーブルに倒れ込む者。血を吹いて床に倒れる者。痛みにのた打ち回る者。護衛たちが慌て、自分の主人に寄り添うが、どうして良いか分からずオロオロする者、医者を呼べと叫ぶ者。そこにいる、ほぼ全ての者が突然の出来事に動揺し、混乱していた。
ただ一人、聖女王を除いて。




