アステリ
オリンピア当日、参加者は午前中に会場に入り、開幕式は午後になってから始まる。
コリアの準備は万端と言えた。訓練を始めた当初は従来の気の優しさが動きにも出て、あと一歩を相手に譲ってしまう事が多かった。しかし最後の方では気後れすること無く、相手を蹴落とし勝利を掴むことに躊躇いを見せなくなった。大きな前進だ。俺は彼女の教官役としてとても満足していた。
オリンピア開幕前夜。
王宮で晩餐会が開かれた。
長いテーブルの上座に聖女王が座り、その両側に次代である候補者たちが生まれの順に席に着いた。
俺たち次代の護衛はそれぞれの担当する候補者の後ろに控え、万が一に備える事となっていた。晩餐会場には大多数が給仕の者だったが、他に王宮務めの兵士もいて、俺たち次代の護衛まで同席する意味があるのか疑問に思った。まあ、単なる慣習なのかも知れないが。
そんな事をぼんやり思っていると、程なくして晩餐会が始まった。
聖女王が会場に現れ、彼女の為に用意された席に向った。。
「誰か見えないようだが」
一際、大きな身体を揺すって席に着いた聖女王は、テーブルに空席があるのに気付いて言った。
「は。末の姫様が体調が優れないので参加出来ないと謝罪の言葉を預かっております」
側に控えていた従者が慌ててそう答えた。
聖女王は眉を上げたが、それ以上は何も言わなかった。
そして静かに晩餐会は始まっていった。




