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イヴ

 引退する前、私と妻はイヴを管理していた。“大いなる意思”(マザー)が割り振った仕事がそれだったからだ。

 “大いなる意思”(マザー)は人類の希望であり、指標でもあった。彼女の言葉は絶対で、それを疑う者も否定する者も今はいない。

 “大いなる意思”(マザー)が太陽系管理組合に属していた、まだ結ばれる前の妻と私をイヴの管理者として選出したのは、その後の展開も計算の上ではないのかとも思ってしまう。だが、それでも構わなかった。妻を愛していたから。


 イヴは完璧な女性だった。

 彼女を収めている円筒形チタニウムの棺を見ながら私はいつも想う。

 なぜ彼女が選ばれたのか。彼女の管理職に就いてから有り余る時間を使って調べ、知ることになった。

 イヴは人類が作り出したエゴの塊。遺伝子操作された生命。女系で綴られた系譜の最後の一人。

 イヴの管理という仕事は退屈だったが、その分、人生について考える時間が増えた。私と妻は愛を語らい、育み、イヴは図らずも二人のキューピットとなった。残酷な運命が二人を分かつまでは。


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