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アステリ

 口中いっぱいに広がる充足感、或いは多幸感は生存の実感を伴い自然と身体が打ち震えるものだった。

 今回のジャーヴィスの群れは小規模だったせいか、味方に大きな被害も無く、荒々しい相手の肉体を組み伏せ、喉元を噛み千切った俺は勝利の雄叫びを上げた。

 ……ωορνςΑ⁇

「追加の増援は無いだろう。残さずゆっくり食べていいぞ」

 俺は伺いを立ててきた仲間のアステリ兵士にそう応えた。

 ジャーヴィスの死骸は決して美味いとは言えなかったが、固くて不味い兵糧に辟易していた若い兵士たちは喜んで獲物に(かぶ)り付いていた。


 ここ数日、前線は押したり引いたりしている。

 ジャーヴィスたちは成長が早い。他者を捕食することで成長する様はアステリと変わらないが、我々アステリと比べ貧弱な身体が多い奴等は腹が減れば共喰いもする。結果、我々アステリよりも早く強い個体が生まれる確率が高まるのだ。現在、数で勝るとはいえ、油断は出来なかった。


 若い個体で編成される近衛隊は実戦経験が乏しい。その為、前線が動いたばかりの比較的危険の少ない地域で残党狩りを行い、経験を積むのが今回の趣旨だ。ある程度、戦闘を経験させてまた後方に戻させるつもりだった。

 倒したジャーヴィスの肉を咀嚼しながら、部隊を眺める。前回の戦闘から残ったのが二十四名。内、今回の戦闘での戦死者は三〜四名ほどか。

 傍で倒したジャーヴィスに覆い被さり捕食していた兵士の一人が不意に身体を起こして痙攣し始めた。存在進化が始まったようだ。六本の手足が伸び縮みしている。

 ……ςχωΑξκυ‼

 新たに生まれ変わった力強い肉体に兵士は歓喜に打ち震えていた。

 俺はそれを満足気に眺める。他の兵士たちが食事を終えるのを待って、俺たちは戦場を後にした。


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