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アステリ

 意外にも質素で飾り気のない部屋だった。部屋は清潔に保たれていて、必要な物が必要な数だけ綺麗に調えられてある。

 客室というよりは居間なのだろう。縦長のテーブルの端には先日の闘技用の着衣よりもはるかに整った衣装を身に付けた彼女が座っていた。次期聖女王(マザー)候補とはいえ、正式に即位が決まるまでは他のアステリとそう違いは無い。それは即位が叶わぬということは死ぬと同義だからだ。そう老ユリイカが話していたのを思い出す。そんな運命が待ち構えているとはいえ、目の前の彼女は毅然としていた。俺は見惚れたと同時に王族に対する礼が失してないか少し不安になった。

 促されるまま彼女の対面の席に腰掛け、招待への礼の言葉を述べた。

「いえ、お礼を言うのはこちらの方です。危ない所を助けて下さり、誠に有り難う御座いました」

 コリアは席に着いたまま頭を下げた。

「実はこうしてお呼びしたのは、折り言ってご相談があったからです」

 俺は後ろに控える従者、護衛としてコリアに仕えている同期の(おとこ)に目をやった。同期の(おとこ)が頷く。俺は再びコリアに視線を戻した。

「この度の何者かによる襲撃で、護衛を務めていた者が一人、亡くなりました。残った一人も怪我を負い、腕の立つ、動ける者がいないのです。そこで、貴方が私の護衛をしてもらえないでしょうか」

「私はユリイカ様の護衛です。王族の頼みとはいえ、私の一存ではお応え出来ません」

「オリンピアが終わるまでの間で良いのです。ユリイカ様には私の方から伝えておきます」

 コリアからの真っ直ぐな視線に俺は返す言葉が見つからなかった。


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