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理を灯す少年 〜祈り万能世界で、AIを宿す俺だけが“理論魔法”を使えた件〜  作者: いい加減工房
第4章 北外縁の森、撃てない手を道具で埋める

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第62話 標打ちの夜と、弩の手触り

 丘の端から森を見下ろしていた俺は、深く一度息を吸ってから、くるりと背を向けた。

 南の緑は、もう「行き当たりばったりで踏み込む場所」じゃない。

 誰かの足を、どこまで守れるか試すための、細かい線の集まりだ。

「さて――帰るか」

 マジックボックスから、最後の朝食セットを取り出す。

 乾いたパンを半分に割り、干し肉を挟んで、水で薄めたスープを横に置く。

『今日の朝ごはん、ログ上は“帰るための準備食”って名前にしといたから』

 耳元でリラの声がする。

 視界の隅では、ヒトリのアイコンが小さく点滅していた。

「あくまで“帰るため”。ここで満腹まで食うと、下り坂で足が止まるからな」

 パンは半分だけ。スープは多め。

 腹を満たすというより、最後まで動くための燃料を流し込む感覚だ。

 食べ終えると、テントの骨組みを手際よく畳み、焚き火跡をもう一度踏み固めた。

 足跡も、目立つものはざっと消しておく。

「ここは、まだ“仮拠点候補”止まりだ。あんまり人の匂いを染み込ませすぎるわけにもいかない」

『うん。今日のログは“仮拠点・撤収テスト良好”でまとめておくね』

 忘れ物がないかマジックボックスの中身をざっと確認し、俺は丘をゆっくりと下った。


 帰り道は、行きと同じく、極力「何も起こさない」が正解だ。

 あえて残したコボルドとラットの群れが見える位置まで近づき、そこで足を止める。

「……ちゃんと、いるな」

 遠目に見えている小さな影の数と、ヒトリが示すマーカーの数が一致している。

 南エリアに入ってから間引いた群れと、残した群れ。

 全部合わせて十二前後。

 それ以上は削らない、と自分で決めた線だ。

『“新人向け・中堅向け・上がり目チェック用”の三段階、維持中。危険度スコアも昨日とほぼ変化なし』

「よし。なら今日は、ただの通行人で十分だ」

 刀の柄に触れた手を離し、そのまま森の外れへと足を進める。

 退路線だけをなぞるような単調な歩き方は、眠気を誘うけれど――それでいい。

 帰り道で余計な冒険をしたくなるのが、一番危険だ。

 南外縁の入口を抜け、見慣れた農地エリアの柔らかい土を踏んだところで、ようやく肩の力を少し抜いた。

「エルディアの匂いだな」

 土と、薪と、朝のパンを焼く香り。

 戦場じゃなく、生活の線の匂いだ。


 ギルドの扉を押し開けると、すでに何人かが待っていた。

 南の森に入る前、俺はガランに「四泊五日で、五日目の午前中には戻るつもりだ」と伝えてある。

 ギルドの帳面にも、その時間帯に「南エリア一次調査・報告会」と大きく書き込まれていた。

「おかえり、セイ」

 カウンター奥からガランが立ち上がる。

 テーブル側には、《リュミエルの灯》と《鎚灯り》の面々が揃っていた。

 コルト、ミナ、リアン。バルド、テオ、サラ。

 本来ならアヤが座るはずの席だけが空いていて、いまも彼女が王都で療養中だと、いやでも意識させられる。

「予定通り四泊五日。足も、ログも、生きて帰ってきたぞ」

「それが一番だ」

 ガランは短く頷き、出入口に目をやる。

「追い剥ぎや尾行は?」

「ヒトリのログ上も異常なし。村の外縁までは、普通の魔物と普通の風景だけだ」

 リラが、俺の肩越しに小さなスクリーンを浮かべる。

 南エリアの簡易地図に、色分けされたエリアがいくつも重なっていた。

「じゃあ――南エリアの一次報告から始めよう」

 会議室の正面に掛かった地図板《マップ水晶板》に、南エリアの基礎地図が呼び出される。

 ガランが縮尺を合わせ、俺が白墨でその上に線を足していく。

 南の森一帯が拡大表示されると、自然と全員の視線が地図板に集まった。


「入口からここまでが、新人向け。“一日一群れまで、連戦禁止”のエリアだ」

 指先で緑のエリアをなぞる。

 猪、コボルド、ラット。足場は比較的安定、視界も開けている。

「中腹のここからここが、中堅向け。トカゲとスケルトン。足場が崩れやすい場所と、墓地エリアだな。“中級の連戦は三戦まで”って、ログにも書いてある通り」

「三戦まで、ね」

 バルドが腕を組み、眉をひとつ上げた。

「四戦目でまだ動けそうでもか?」

「“まだ動けそう”って感覚が一番危ないんだよ」

 俺は笑って、右足を軽く伸ばす。

「俺の足で“ここから先は連戦限界”って線を仮決めした。あとは、実際にお前たちの足で歩いてもらって、微調整はする。でも、目安の線がないと、『なんとなく』で突っ込むことになる」

「……まぁ、そうだな」

 バルドは渋面のまま、地図板から目を離さなかった。

「奥寄りエリアは?」

 ミナが指を伸ばす。

 蜂エリアとインプエリア、蛇エリアが重なり合う黄色いゾーンだ。

「あそこは“上がり目チェック用”。毒と、立体的な動きと、締め付け。どれも、撤退線を先に決めてから入るのが前提だ」

 リラが補足用のメモを浮かべる。

『“蜂エリアは毒と空間認識。インプエリアは人型。蛇エリアは締め付けと毒。どれも、撤退線を先に決めてから入ること”って注釈、太字で入れてあるよ』

「新人は?」

「蜂エリアと蛇エリアには、当面は近づけない。中堅以上の“無茶したい組”の上がり目チェック場所として運用する。新人には、入口から中腹までで十分だ」

 ガランが目を細める。

「つまり、こういう線か」

 彼はペンを取り、地図板の上に自分なりの区切り線を描き足した。

「ここまでは、新人を連れて行って良い。ここから先は、中堅以上。蜂エリアと蛇エリアは、“今のところは”濁りではないが、扱いは“準危険エリア”。勝てる相手でも、挑む前に理由がいる」

「それだ」

 俺は頷いた。

「誰が見ても分かるように、その線を“標”として打ち込む。地形の目印と、物理的な杭と、ログタグの三つで」

『標用のタグ、セットしておくね。《南・新人エリア・標》《南・中堅エリア・標》《南・上がり目エリア・注意》』

 ミナが地図板を覗き込みながら、楽しそうに笑った。

「“遊び場の境界線”って感じだね」

「遊び場って言うと怒られそうだけどな」

 俺が肩を竦めると、ガランが咳払いを一つ。

「では、段取りを決めよう。セイの一次調査を受けて、《鎚灯り》《リュミエルの灯》で南の仮拠点候補に入り、“標打ち”と“一泊テスト”をする。まずは自分たちの足で、“本当に泊まれるか”を確かめてこい」

「了解」

 バルドが立ち上がり、重たい椅子がきしんだ。

「標打ちは俺たちがやるとして……セイ、お前は?」

「線引き役として同行する。ただし、戦闘は原則お前たち。俺は“ここは新人エリアにできるか”“ここから先はやめとけ”って線を見て、ログに残す」

「頼もしい目付け役ってわけか」

 テオが口笛を鳴らす。

「その前に、もう一つ片付けたいものがある」

 そう言って立ち上がったのは、ガランではなく、カウンターの向こうから出てきたドランだった。

 鍛冶屋らしい腕を組み、口元をにやりとさせている。

「ライト弩の試作品だ。こっちも、“標”みたいに線を引かねぇといけねぇからな」


 ギルド裏の簡易射場には、藁束で作られた的が並んでいた。

 その手前の台の上に、まだ金属臭の強い木製の弩が三丁。

「これが、ライト弩の試作一号から三号」

 ドランが一丁を手に取り、俺へ渡してくる。

「重さはミナとリアンがギリギリ扱えるライン。引きの硬さも、その体格で“なんとか引けるけど、連射はしたくならない”くらいにしてある」

「“撃ちすぎないための重さ”か」

「おう。楽に連射できるもんは、楽に人を殺せちまうからな」

 木の感触と、金属部品の冷たさ。

 肩に当て、頬を軽く添え、視線を矢の先に合わせる。

「引きは――」

 弦を引くと、前腕と肩にじわりと負荷が乗った。

 ミナやリアンなら、真剣に一発ずつ狙う重さだ。

「“遊び半分”では扱えない重さだな」

「それが狙いだ」

 ドランが満足そうに頷く。

「もう一つ。トリガーに、例の理術ロックを仕込んである」

 彼は別の弩を持ち上げ、ガランへ渡した。

「登録済みは、今のところミナとリアン、それからお前だ、セイ。ガランや俺が引いても、半分の力しか出ねぇ」

「構わない。私は杖と土壁が本業だ」

 ガランはそう言って、肩に弩を構えた。

 引き、狙い、引き金を引く。

 矢は的に刺さったが、芯までは届かない。

「こんなものか」

「“登録外は、足止めまで”。そのくらいでいい」

 俺は軽く息を吐き、手元の弩を構え直した。

 表示されたアイコンが、俺のマナ署名を認識したのを確認する。

『セイ、ライト弩・登録者モード。出力制限解除状態』

 視界の端に小さく表示が出る。

 的の真ん中に描かれた円を、じっと見据える。

 ――これは、“撃てない手”のための一発だ。

 殺しを楽にするためじゃない。

 退路を開けたり、止められなかった一歩を止めたりするための、一回分。

 呼吸を整え、静かに引き金を絞る。

 乾いた音と共に、矢が一直線に飛び、的の中心近くに深く突き刺さった。

 藁束の向こう側から、小さく土が跳ねる。

「感触は?」

「……“一歩分、前じゃなくて後ろに下げるための力”って感じだな」

 俺は苦笑する。

「前に出て斬りたい性格の奴には、軽すぎるかもしれない。でも、“ここから先には行けない”って線を守るには、十分だ」

「なら、合格だな」

 ドランが笑い、ミナとリアンに視線を向ける。

「次はお前たちだ。“撃てない手”代表としての感触を聞かせてもらうぜ」

 ミナが真剣な顔で頷き、弩を受け取る。

 リアンは祈りの仕草をしてから、そっと弩に触れた。

「“ここから先に来させないために撃つ”って、セイが言ってたやつですね」

「ああ。お前たちの一発は、“誰かの逃げ道を残す一発”だ」

 矢が放たれるたびに、的に刻まれる穴の位置を、俺はじっと見ていた。

 どの弩が“守る線”に一番近いか。

 どの重さと反動なら、彼女たちの肩と心を壊さずに済むか。

 標を打つのは、森だけじゃない。

 武器にも、ちゃんと線を引かなければならない。

 

 夕方前。

 簡易射場での試射と調整を一区切りさせた俺たちは、そのまま南の森へと向かった。

 今回は、全員で泊まり込みではなく、《鎚灯り》《リュミエルの灯》の二パーティと、線引き役としての俺、それからヒトリの編成だ。

「今日は“仮拠点一泊テスト”。変なロマンは捨てること」

 森の入口で、俺は振り返る。

「目的は二つ。“ここで本当に泊まれるか”と、“新人を連れてきたときに、どこまでなら責任を持てるか”を体で確認する。戦果自慢は、今回はなし」

「了解」

 ミナが手を挙げ、コルトが笑う。

「つまり、“寝心地チェック遠征”ってことだね」

「それ、真面目にやると案外きついんだぞ」

 バルドが苦笑しながら盾を背負い直す。

「じゃあ、行くか。《鎚灯り》前、俺とセイが中、後ろに《灯》で」

「了解」

 いつもの“ひとまとめ隊”の隊列で、森に踏み入る。

 入口から新人エリアの終わりまでは、すでに踏み慣らした道だ。

 けれど今日は、戦いではなく、“標”の位置を確かめながら歩く。

 

 中腹エリアに差し掛かったところで、俺は手を上げて一度止まった。

「ここだ」

 少し開けた斜面。

 足場は決して良くはないが、退路線だけは確保しやすい地形。

「ここを“中堅用の標”の一つにする。撤退路がここと、ここと、こっちの三本。新人ならここより手前で折り返し。中堅なら、ここを越える前に、一度全員の顔色を確認すること」

 テオが周囲を見回し、土魔法で小さな杭を地面に打ち込む。

 杭には、耐候性の布で巻かれた白い布切れが結びつけられていた。

「物理標一号。風と雨にさらされても、最低一ヶ月は残るはずだ」

『マップ上の標タグとリンク完了。《南・中腹・中堅標1》』

 リラの声に合わせて、ヒトリのアイコンが上空で一度きらりと光る。

 空からのマップと地上の杭。

 目に見える線と、ログ上の線が重なった瞬間だ。

「ここなら……私でも、後ろを守れるかも」

 リアンが、そっと呟く。

「前に出るのは、バルドさんたちですけど。ここで祈りを張って、後ろから“ここまでは守れる”って線を決められるなら……」

「いいじゃないか」

 俺は笑った。

「その“ここまでは守れる”が増えるだけで、誰かの危険線は一つ下がる」

 コルトが弓を撫でる。

「じゃあ、俺の矢とミナの魔法は、その線の前で暴れる役目だな」

「うん。“この標の手前で全部止める”って決めて撃てるなら、怖くても足は出せる」

 ミナの手元で、小さな炎がぱちりと弾けた。

 標を打つという行為は、単に目印を置くことじゃない。

 “ここで守る”と決める場所を、全員で共有する作業だ。

 

 日が沈みかけた頃、俺たちは仮拠点候補の丘へたどり着いた。

 昨日まで俺が一人で使っていた場所だが、今日は人数分の寝床を確保する必要がある。

「焚き火は小さく、風下側。昨日までと同じ方針な」

「了解」

 サラが手際よく焚き火の位置を決め、テオが周囲に簡易の土塁を作る。

 バルドは倒木を運び込み、風を遮る壁を作っていく。

「寝床は、斜面側に頭を向ける。夜中に転がっても外に落ちない向きだ」

 サラが足元を確認しながら、枝と葉で簡易のマットを作り始めた。

 コルトは少し離れた場所に見張り用の石を積み上げ、リアンがその上に小さな祈りの札を置く。

『仮拠点・一泊テスト開始。警戒ライン、外周に設定』

 ヒトリのアイコンが、丘の周囲を回るように動く。

 上空の目と、地上の標。

 それに、人間の目と足が加わる。

 焚き火が落ち着いた頃、全員で輪になって座った。

「じゃ、まずは《鎚灯り》から。ここ、“泊まれる場所”としてはどうだ?」

 俺の問いに、バルドが腕を組んだまま空を見上げる。

「悪くねぇ。退路が三本あるのがいい。どの方向からでも、最低一人は生きて戻れる線を残しやすい」

「足場は?」

「寝る分には問題なし。ただ、雨が降ったときは滑るだろうな。そのときの退路線は、もう一回引き直す必要がある」

 テオが続ける。

「水場までの距離がちょっとネックかな。片道十五分。新人を連れてくるとしたら、“途中で何かに遭った場合”の想定をもう一段厚くした方がいい」

「サラは?」

「火の匂いが、思ったより遠くまで抜けるわね。風向き次第では、下のエリアからも見えるかも」

 サラは焚き火の煙を目で追いながら言う。

「“一晩泊まるとき専用の煙の上げ方”を、もう少し詰めたいところ」

「なるほど。じゃあ《灯》側」

 コルトが石を弄びながら笑う。

「俺は好きだな、ここ。朝になったら、上から森全体を眺められるだろ? “今日はどこまで行くか”を決めるのに、ちょうどいい」

「ミナは?」

「うん……さっきの標もそうだけど、“ここは戻ってこられる場所”って決まってるのがいい」

 ミナは焚き火を見つめながら言う。

「今までの遠征って、どこまで行って、どこまで戻ってこられるかが、あんまりはっきりしてなかったから。ここを基準にできるなら、怖さをごまかさずに済みそう」

「リアン?」

「祈りの通りやすさも、悪くないと思います」

 リアンは両手を組んでから、そっと地面に触れた。

「下のエリアまで、かろうじて届く感じですけど……“ここから先は祈りが薄くなる”って線が、分かりやすい場所でもあるので」

「コルトは?」

「夜の音が、そこそこ聞き分けやすい。木の密度も、周りより少し薄いし」

 コルトは耳を澄ませながら言う。

「ただ、森の奥の方から、たまに“あっち側の音”が混ざるね」

「“あっち側”?」

 俺が聞き返すと、コルトは焚き火越しに森の奥を見た。

「さっきから、遠くで鳴いてるでしょ。多分、蛇エリアの更に奥。まだ行ってない方の、濃い方」

 耳を澄ますと、たしかに、かすかな鳴き声と何かが這うような音が混じっている。

 危険度で言えば、今はまだ“聞くだけで済む”距離だ。

 でも、いつかあっちにも線を引きに行かなければならない。

「それも含めて、“ここは訓練場としてはギリギリ手前”ってことか」

 俺は頷き、焚き火の上に両手をかざした。

「結論としては――」

 少し間を置いて、言葉を選ぶ。

「ここは、『新人を連れてくる前に、中堅組が一回は泊まっておく場所』だな。

 一発目から新人連れ込みはしない。

 まず《鎚灯り》《灯》が何度か泊まり比べて、“危険線の低い泊まり方”を固めてからだ」

「了解。練習台には慣れてる」

 バルドが笑い、ミナたちも頷いた。

『ログ更新。“南仮拠点・中堅一泊テスト良好。ただし新人エリアへの解放は要検討”』

 リラのまとめに合わせて、ヒトリの光が夜空の端で一度だけ瞬いた。

 標に結んだ布と、空の星と、その中間を流れる薄い光の筋。

 それら全部が、誰かのための線になっていく。

 俺は空を見上げる。

「これで、王都の部隊が来ても、“逃げ場ゼロ”って地図を渡さずに済むな」

 南には、遊び場と訓練場の線が引かれた。

 東には、まだ四割残ったゴブリンの部落。

 西と北には、濁りの枝と、本体と、まだ見えていない牙が山ほど。

「……でも、まだ半分も終わってないか」

 星のない方角――西と北の暗がりを見ながら、小さく息を吐く。

「線を引く場所は、まだまだ増える。

 標も、弩も、“守るための線”として使えるようにしておかないとな」

 焚き火がぱちりと弾ける。

 南の森は、少しだけ“育てる森”に近づいた。

 けれど、その外には、まだ何も決まっていない闇が広がっている。

 その闇の方角を、俺はもう一度だけ見据えた。


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