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愛の劇場

卒業パーティーには婚約破棄がつきものなのか

作者: towa

卒業パーティーの会場で突如行われる愛の劇場


「アリシア……君との婚約を解消したい」

 言い放つ男はこの国の第1王子のフィリップだ。

 そして、言い返すのは彼の婚約者のアリシアだ。


「理由は……皆様も知ってますわね。殿下の口から教えてください」


 今、この会場は異様な空気に包まれている。


「私は真実に愛する者を見つけてしまった」

「アリシア様、私が殿下を好きになってしまったばかりに……私なんかが殿下のお隣にいるべきではないのに殿下を……殿下と愛し合ってしまって」


「貴方に聞いてはいないわ」


「………………っ」


「アリシア……スーザンは私の愛しい人でだな……」


「殿下、愛しい人が出来たのは仕方ないです。しかし、殿下はまだ私の婚約者です。先程『婚約の解消』と言いましたが……『婚約の破棄』ですね。殿下とお隣の女性の不貞で」


「アリシア様……酷い……私はただ……」

「アリシア?」


「浮気したのですよね。婚約者にエスコートされない私の立場は?もっと早くに言ってくれれば中庭や生徒会室で体育館の裏、図書館で行為をしなくても良かったのに」


「何故知って……。しかし、それは……君が……」


「私の何処に問題がありました?私は10の頃から王妃教育を受け殿下に愛され結婚する事を胸に頑張ってきたのです。殿下の公務、生徒会の仕事を押し付けて逢瀬を重ね。彼女に腰を振る殿下……ぷッ…………失礼」


「今……笑った?フィリップ様……今……彼女……」

「アリシア、それは失礼だろ」


「え?本当のことです。お2人が行為をしていた場所は……学園のライブ映像のカメラの近くですよ。学園の人達はお2人が真実の愛で〜ではなく。至る所で盛っている男女と言う認識です…そして殿下の側近の方達も彼女と……殿下は知らないでしょが……彼らも彼女に一生懸命腰を振ってましたね」



「は?スーザン?お前ら?」

「違う……私は……」

「殿下……いや」

「違うんだ彼女とは……」




 パーティー会場の入り口が騒めく


「大丈夫かいアリシア?」

「あら、クリストファー殿下」


 息を切らし現れた騎士団の制服をまとう精悍な顔付きと立派な体躯の男クリストファー殿下。この国の第2王子だ。

「部下から聞いて……慌ててきた。アリシア卒業おめでとう。とても綺麗だ」


「クリス、お前が何故ここに?」

「兄上……部下から聞いたのですよ。アリシアに婚約破棄されていると」


「違う、私から婚約の解消をだな」

「兄上が浮気してたのに」


「だからスーザンは……」

「兄上の側近らともやってるのに?」


「お前まで……」

「いや……ライブ映像が出回ってる……」


「え……いや……」

 青褪めるスーザン

「嘘……」



「いや……本当だ。兄上……プッ…………いや……ごめ……」

「クリス……お前……」

「兄上に合ってるよ。うん。お似合いだ」


「クリストファー殿下……失礼ですわ。殿下は一生懸命だったんですから」


「いや……しかしな……アレじゃあ……」


「なぁクリス……俺は……俺達はどうなる?」


「え?兄上……何も考えずに不貞をして、行為を晒してたの?よく考えてよ。兄上、国民に行為を晒す国王……男に自慰を見せつけてアンアン他の男にも跨る女を王妃に?する訳ない。恥晒し以外何があるの?」


「ならばクリス……お前が……?」

「まあ、順番からいくとね。そしてアリシアも俺の婚約者に変更だ」


 アリシアはクリストファー殿下を見つめる。


「………………」

「アリシア……俺の股間を見るな」


「でも……」

「大丈夫だ。一応部下達にも確認してもらったが、なかなかいいモノを持っているとな」


 胸を張るクリストファー殿下。


「それに……国民に行為を晒す趣味はない。俺の身体を知るのは妻となるアリシアだけがいい」


「アリシア……お前もクリスと浮気してたんだろ」

「そうよ。ライブカメラの事、教えなかったのは、あの2人が次期国王の座を狙って」


「は?そちらの痴女はフィリップ殿下を本気で好きに?」

「いやいや……それはないだろ。もしそうなら、側近とはやらないだろ」

「それもそうね……貴方こそフィリップ殿下が次の国王になるかと……その……」


 顔を赤らめるアリシア。

「アリシア……それ以上は言わなくていいよ」

「兄上に股を開いたんだろ」


「ありがと。クリストファー殿下」

「いいんだ。それでアリシア、俺とだな……結婚してくれ」


「……婚約ではなく?」

「そうだ。すぐに妻になってほしい。ずっと兄上の為にと頑張っていた君を見ていた。それなのに兄上は……」


「私は……兄であるフィリップ殿下を支える為にと頑張るあなたに負けないようにと……」


「お前ら……俺のために……すまなかった。俺は……スーザンとは別れるよ」


「…………」

「……………え?兄上……それは……無理じゃね」


「そうよ、国中に醜態を晒した男と結婚?いやよ」


 そうして卒業パーティーは静かに幕を閉じた。


 その後、すっかり引きこもりとなったフィリップはいつまでも弟であり国王となったクリストファー夫婦を支えるのであった。


 ちなみにクリストファーとアリシアは婚約期間1日で夫婦となり、子宝にも恵まれ幸せに暮らしましたとさ。




――――――――


「アリシア……ほら兄上よりも立派だろ」

「本当ね。でも……私以外の女性に見せちゃダメよ」


「勿論だよ。アリシアもこんな所にさ……黒子があるなんて……俺以外の男は知らなくていいからな」


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― 新着の感想 ―
最初から最後まで突っ込みどころ満載で読んでいてずっと笑いが止まりませんでした。王子の婚約破棄から始まるかと思いきやアリシア様の怒涛の反撃、そして学園のライブ映像のカメラの近くという衝撃的な暴露には私も…
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