Dancing for them
気づいたらあと残り一日になっていた。この暮らしにも少し慣れ、あの双子も少しずつ僕に懐いてきたのか、よく話しかけてくれるようになった。
「お兄さん!本!よんで!」
「あれ作って!!」
ニコニコで話しかけてくれるので、こっちも笑顔になりそうになる。
ちょうど、双子に絵本を読ませているとき、彼女は帰ってきた。そして、行き良いよく言った。
「今日の夜中は星がよく見えるだろう」
そろそろかと思ったが、今日か…
「わかりました。何も用意しなくていいですね?」
「ああ、外にいてくれればいい。」
「「お姉ちゃん!今日星きれいなの?!」」
双子が元気よく言った。何も知らない子供はなんて可愛らしいのだろうか。
「そうだ。だから夜、外に行くといい。おかあさんといっしょにね」
「「うん!絶対行く!」」
「じゃあ、私は準備があるから先に行く」
「わかりました。お気をつけて」
彼女は、すぐに家を出た。そして、また、双子に絵本の続きを読んだ。
読み終わったあと、双子が聞いてきた。
「ねぇ、お兄ちゃんとお姉ちゃんってどういうかんけいなの?」
「ねぇ、なんかそっけないかんじー。」
「「ねえ、なんでー。」」
子供はどうやら嫌なところで察しが良いらしい。
「それはいえない。秘密だ」
答えはもちろんノーだ。
「えー教えてよ」
「お兄さん明日いなくなるんでしょ!いいじょん!」
たしかに明日いなくなる。だが僕としては嫌な記憶だ。
しかし、子供は諦めが悪かった。僕がたぶんイエスって言うまで終わらないほど、言ってくれコールが家に鳴り響く。
僕は諦めて言う事した。
「はぁ、しょうがない。話せる範囲で言おう」
「「やったー!」」
ぼくは、昔の奥底の記憶を引っ張り出して少し話した。
「僕の両親は僕が小さい頃になくなってしまって、その時に僕を引き取ったのが彼女なんだ。だけど、彼女は、家にあまりいないことが多かったから、僕は彼女のことをお母さんと思えなくて、なんやかんや今もそっけない態度を取っていしまっているだけ。ただ、それだけだよ」
「えぇ、何だそれだけか」
「つまんない」
「せっかく人が話したのに!何だその態度は」
僕は二人の頭をクシャクシャにしてやった。双子はキャハハと明るく笑った。
罪悪感で心が蝕まれそうになる。
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ついに夜になった。今日は村に人が来日しているらしく、夜にも関わらず、街が明るかった。
「「お兄さん!早く!今日は村にらいほうしゃが来るんだよ!走って」」
双子に手を掴まれながら一緒に街の中心へいった。
「「おかあさん!」」
いつも帰りの遅い双子のお母さんも今日は早く帰って、来訪者をもてなしていた。双子はお母さんの方へ走っていった。
街の中心に、人がたくさん集まっており、みな、お酒を飲んだり、踊ったりと会話を弾ませている。かなり、規模がデカく、双子のお母さんが言うには広場に村人全員集まっているらしい。
そんななか、彼女は、広場の中心で楽しそうに踊っていた。彼女のダンスはとても美しい。
そして、村人の酔いが回っていったところで、あるものを出した。
刃物だ。
村人は大きな声で叫んだ。彼女は、それでも、楽しそうに踊っていたときとの表情のまま、踊りながら人々を切りつけていった。
人々は逃げていく。しかし。彼女の踊りからは逃げれない。子供、大人、老若男女関係なく来訪者もすべて切りていった。
助けてという声がたくさん聞こえる。もちろん双子の声も…
刃物を出してから十分後、彼女は、立ち止まり、上を見上げ、はぁとため息を付いた。
彼女の下には、数十人の村人と来訪者が息絶えて、眠っている。
双子も手を繋いで、横たわっていた。
「おわりましたか?」
「ああ、終わった。早く荷物を取ってこの村から出よう」
彼女は、淡々としている。人殺しとは思えない。
彼女は、村に用意しておいた。爆弾を次々に爆発させた。遺体は炎に包まれていった。
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素早く荷物を取って、村の入口に行く。
彼女と僕は振り返って、胸の前で三角形を作って礼をした。この礼は、竜にとって死者を弔う意味があるらしい。
礼が終わって、走って村をでた。
僕はなくなってしまったふたごのことをおもいだした。僕は一つ彼らに嘘をついた。僕が彼女にそっけないのは、母と思っていないからではない。
彼女が僕の両親を殺したからだ。