Behind the curtain
「みつけたぞー!!」
前回の村から離れて一ヶ月がたった。そして、ようやく新たな村を見つけた。一ヶ月野宿はとてもつらいかった。
彼女の体力は化物だ。自分よりも何百歳年上なことが信じられない。
彼女は毎回僕に行き先を教えてくれない。そして、なぜこの村なのかも…
今回の村は、前回の村よりも少し栄えていた。建物は木造であったが、中心に広場があり、その周りに家が点々とたっていた。
「さあ、泊めてもらえる家を探そう!今回は一週間とどまらなきゃいけないからな」
「そういうのは事前に教えてください……」
僕達の家さがしの方法は簡単だ。一つ一つ泊めてもらえる家を探すこと。大変だが、一番手っ取り早い。
こういうのは彼女の得意分野だ。
「こんにちは!私達は旅人なんですが泊めていただけないでしょうか。もちろん条件付きで構いません」
これを何回か繰り返すうちに、ある一つの家にたどり着いた。
「いいよ!私達の家で良ければ!ただし、私が仕事でいない間この子らの世話をしてほしい。」
「もちろん喜んで!それぐらい大したことではありません!私の名前はアイリスといいます」
「私は、シィシーだ」
そしてひょっこり女主人の横から顔を出してきた双子が可愛らしく言った。
「ルイ!」「とミウ!」
その家の家族構成は、力の強そうな女主人と、6歳、7歳ぐらいの双子の男の子であった。旦那さんはどうやらいないらしいが、これはあんまり聞かないほうが良さそうだった。
もともと女主人の祖父が使っていたらしい部屋に案内してもらい、そこの部屋で一週間すごすことになった。元書斎だろうか。たくさんの本があった。
ドンとバックをおいて彼女は言った。
「っていうわけで、二人のお世話よろしくな」
「は?なぜです?あなたは何をするんです」
あからさまに嫌な顔をして僕はいった。
「私は今回、村に聞き込み調査をしないといけないからな。だから今回はお留守番だ。」
「はぁ。そうですか。わかりました。」
「ああ、聞き分けが良くて助かるよ」
明日からとても不安で仕方がない。が、これくらいいつものことと考えれば仕方がない。
その後、一ヶ月間の野宿の疲れからすぐ寝れた。
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次の日女主人は、日がのぼる前に仕事に出ていった。
「じゃあ、いってくるよ。よろしく頼んだよ。」
「はい」
女主人を見送ったあと、僕は、この家にある材料を使って朝ごはんを作った。
彼女はとても寝起きが悪い。野宿の際は僕が毎回起こしている。
6時くらいになって双子が降りてきた。
「「おはよう!」」
「おはよう」
元気なのはいいことだが、元気すぎる。
椅子の上に座らせ、朝ごはんを食べさせ、着替えを済ませた。
双子が起きてから1時間半後くらいに彼女は起きてきた。そして、朝ごはんも食べずに着替えを済ましせて、自分の仕事へ行っていった。「よろしくな!」というイラッとした言葉とともに。
双子は本当に元気が良かった。困るくらいにこの年ならこれくらいなんだろうが、目を離すとさっきいた場所からいなくなるため、二人に手伝ってもらいながら家事をやった。
そして家事が終わると二人と一緒に遊ぶ事になった。
「これやろー!」
「あれやりたーい!」
「ちょっと待て!一つずつだ!」
砂遊び、絵本を読んだり……体験したことのないことばっかりで大変である。
日が落ちる前に彼女は帰ってきた。日中手伝ってないからか、夜の間は子供の世話をしてくれた。
子供を寝かしつけたあと、彼女は日課の日記を書いていた。きっと彼女に何を書いているのか聞けば見せてくれるだろう。しかし、聞くことはないし、のぞくこともない。興味がないから。僕たちの関係はこんなもんだ。
その後、夜の11時前に女主人が帰ってきて、ご飯を振る舞った。
そしてベッドへダイブ。彼女はもう寝ていた。
これをあと6日続けるのか……生きてないかもしれない。