It came out of the blue
この世界には大昔に能力を持った竜人がいたらしい。彼らは、いたずら好きで人間を苦しめていたがゆえ、勇者に殺されたが、一体だけ逃げ切り、今もなお生きている。そして、噂ではその竜を見たものは世界一幸せ者になれるという。だけど、誰も見た者はいない…
**************************
「ああ、早く竜に会えないかなー。」
アイリスは、窓から真夏の空を見上げながら言った。
「アイリス!安静にしてなさいっていつも言ってるでしょ!倒れたら大変よ」
それを見た母が怒ってきた。
「はぁーい」
ベッドに戻って少し剥げた木の天井を見上げて、目を閉じた。
そろそろベットでの生活に飽きてきた。一ヶ月前なら外で友だちと遊んでも良かったのに…
アイリスはベッドの上で転がりながら今日は何をしようかと考えた。そしてひらめいた!
「そうだ今日は久々に友達と会いに行来ましょう!もう一ヶ月も会ってないもの!!」
アイリスは母が見ていないのを見計らって窓から外に出た。
人気のないところを渡しながら、友達の家に行こうとした。少し、体が重かったが友達に会えると思えばへっちゃらだ!
「おや?」
急に話かけられて、アイリスはビクッとした。
「こんなところに子供一人なにやってるんだい?」
髪の長い女の人に話しかけられた。やばい。やばい。おとなの人に見つかった。でも、村の人じゃない。なんとか嘘をつけば……
「実は……」
考えているうちに後ろにいた女の人が90度回転して立っていた。
「大丈夫か!」
女の人が慌てた顔をしている。
それで理解した。私が倒れたのだ。
力を振り絞って、女の人に言った。
「お願い……お母さん…に…言わないで……」
何時間立ったのだろうか。目を開けると見慣れた木の天井があった。
わたしの家だ!!
アイリスは勢いよく体を起こした。まだ、体が少し重い。
「アイリス!!良かった!目を覚ましたのね!」
母は私のことを看病してくれていたようだ。水の入ったバケツを持っていた。
「あんた何勝手に外に出てんのよ!」
「ごめんなさい…」
こんなことになるならやらなければよかった。
「ほら、あの人たちがあんたを連れてってくれたのよ。ありがとうを言いなさい。」
部屋のドア付近を見ると例の女の人と高身長で少し顔の怖い若い男の人が立っていた。結局、お願い守ってくれなかったのか。自分が悪いけど
「ありがとうございます」
とりあえず、感謝は言った。
「いや、そんな大したことはしていないよ。彼女をおぶってここまで運んだだけだしね」
「いいえ、娘を助けていただいて本当に感謝しています。一体どうやって礼を言ったらいいのやら」
「じゃあ、一晩だけ泊めさせていたいただきたい。私達は旅人なもんで。」
「まあ!旅人!ぜひ泊まってくださいな」
は?わたしの知らないうちにトントン拍子で話が進んでいった。ほんとこうなるなら、外にいかなければよかった。
本当に旅人たちは私達の家に泊まった。ご飯を一緒に食べ、お風呂に入り、あとはもう寝るだけになった。男の人は無口だったが、女の人はとてもおしゃべりだった。うるさくてよけい頭が痛かった。
彼らがリビングでお話をしている間、私は体が重かったので自分のベッドでずっと寝転んでいた。
リビングが少し静かになったとき、コンコン
誰かがドアをノックした。
「だれぇ?」
「私だ。せっかくだからお話をしよう。」
さっきの女の人だ!
「いやよ。なんで話さなきゃいけないの」
「せっかくキミが好きだという竜の話を話そうと思ったのになぁ」
!? お母さんが話したな……
「どうぞ…」
「ありがとう」
私はベッドから体を起こさず寝ながら喋った。
はじめは、あの国に行ったやら、あのご飯が美味しかったやらそんな他愛もない話をした。この人は、会話がうまい。とても楽しい。
そしてやっと竜の話になった。
「君はよく竜に会いたいと言うそうだね」
「そうよ。」
「なんでかい?彼らはいたずら好きと聞くが」
私は、彼女と目を合わせて言った。彼女の目はよく見ると深い青色だった。
「お母さんから聞いたかもしれないけど…私、持病があるの。一ヶ月前からだんだんひどくなって、今はもう長くは歩けなし、ときどき発作も起こる。医者にもこれだけ生きれるのはすごいだってさ。でも…知ってる?竜に会ったら幸せになれるって?だから、私、竜にあって、もう一度自由に歩きたいってお願いしたいの!」
最後の方は興奮気味に言った
「あなたはあったことある?旅人さん」
顔を見上げだ。旅人さんは困った顔をしていた。
「内緒だが…実は月に一度会っている」
「あったことがあるの!?どんな感じだった」
目を輝かせた。
「鱗がねとてもきれいだった。そして近寄りがたい。」
旅人はどこか遠くを見ながら言った。
「いいなあ。私もあってみたい。」
うっとりしながら、伝説の竜を想像した。
「そんなに会いたいのかい?」
「ええ!もちろん!」
即答した。
「なら……明日の真夜中にきっと会えるさ」
「ほんと!?もしかしてこの村に来てくれるの?!」
「そうだ。ただし、君はもう起きれないだろう。それでもいいのかい?」
「それでもいいわ!幸せになれるのなら」
満面の笑みで返した。幸せのためなら大したことではない。
「そうか。…では、もうそろそろ遅い。寝るとしよう。とても楽しかったよ」
「私も!!」
去り際、月の光で彼女の顔は見えなかった。一体どんな顔をしているのだろうか。
本当に旅人たちは一晩だけ泊まり、朝のうちに家を出た。私は起き上がれなかったため、窓から挨拶をした。
「一晩泊めていただいて感謝します」
「いいえ、こちらこそ。楽しかったわ」
もうお別れするのか、昨日、楽しかったからまだ少しいてほしい…
「アイリス」
「な…なに!?」
急に名前を言われてびっくりした。
「今日は月がきれいだから夜の12時に外を見るといい」
「もちろん」
それは、彼女からのメッセージであった。
「ではありがとう。また会おう。」
二人は、胸の前に手で三角形を作って丁寧にお辞儀をして去っていった。
*********************************
二人を見送ってから、12時間がたち、もうすでに夜になった。しかし、連日、体を動かしたせいで、ベッドから体が起き上がれなくなってしまっていた。
さらにときどき、発作も起きた。
「大丈夫!!アイリス!」
そのたびにお母さんが心配そうな顔をした。
「今日、外に行っちゃだめよ。体調が悪いんだから」
ああ、なんということだ。あと少しで夜の12時なのに…だが、いくら頑張っても一昨日のように体は起き上がらない。
私は、母にお願いした。
「外に出なくてもいいから、窓のそばで寝させて!」
私の願いに答えてくれ、
お母さんは、できる限り窓の近くに移動させてくれた。
月がよく見える。
今日、竜が来なかったらどうしょう。発作がつらい。死が近いんだなと感じる。ああ、早く終わってしまえ。
その時、聞いたことのない、雄叫びが聞こえた。犬でも狼でもない。すぐに窓を見た。
空には月の光で輝く体が美しい生物が飛んでいた!
竜だ!!!
竜は、空から白や淡い青色の丸いなにか……鱗を落としながら飛んでいた!鱗は窓から入り私の体に当たって消えてしまった。なんてきれいだろう。
ほんとに竜はいたんだ。彼女の有通りだ。
私はこの光景を焼き付け、ゆっくりと目を閉じていった……幸せそうな顔で…
目を覚ますと体は簡単に起き上がることができた。やった!自由に歩くことができる!!
キッチンに行くとお母さんが料理をしていた。私はそれを手伝った。そして、友達似合いに行った!
「私、体が動けるよ!」
「ほんと!また遊べるね!」
「うん!!」
彼女は涙を浮かべながら笑った。
竜の話はほんとうなんだ!
ああ、なんて私は幸せものだろう!!
*****************†**********
「珍しいですね。竜の力で村の人々を眠らせるんなんて」
村に滞在している間、無口だった男が喋った。
「彼女が竜を見たいと言っていたからな。久々に竜になってやろうと思ってな」
「そうですか…」
旅人二人は、先程離れた村へ訪れた。村の人々は老若男女皆息をしていなかった。だが、全員幸せそうな顔だ。
「竜の姿誰かに見られたんじゃないですか?」
「そうかもな」
「まあ、俺はあなたが殺される可能性が高まったならそれで嬉しいのですが」
男は淡々と語り、彼女に水筒を渡す。彼女は飲みながら言った。
「いや、誰も私を殺せはしないよ。なんだって私には、竜の力があるからね。毒も聞かないよ」
彼女は水筒の中身を捨てた。
「チッ」
「あなたが人類を滅ぼす前に殺してみせますよ」
憎しみのこもった淡い水色の目で彼女を睨んだ。対して、彼女は微笑んでいた。
「それは楽しみだ」
二人は村をあとにした。