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女子高生姿の悪魔との出会い


 「空を飛ぶのは初めて?大丈夫?」


 確かに空を飛ぶとは聞いていたが、まさかそのままの意味だとは思わなかった。

 何か空を飛ぶ為の装置などがあると考えていたが、現実は浮遊だった。

 はっきり言って怖い!


 「まだ慣れないかも。ちょっと怖い。」

 

 などと強がってはいるが顔は引きつっていた。


 「あはは!正直でよろしい。なら速度は落としていこっか。」


 段々と速度が落ちていく。

 少しだけこの浮遊感に慣れてきた。

 俺は上から、足元に広がる街を見下ろす。

 こういう街並みは知識としてはあるが、記憶には無かった。

 軽く見たところ、石造りの建物が目立つ。

 そして最も特徴的なのは、中央に聳え立つ巨大な塔だ。


 「カオリ、ここはなんて名前の場所なんだ?」


 「んと、ここはケミストリア大陸南西に位置する魔法王国マグネ、この世界で最も魔法の研究が盛んな国だよ。そしてあの塔はマグネタワー。国王の居る所だよ。」


 魔法……これも知識はあるが記憶には無い。


 「魔法...…気になる言葉だな。教えてくれないか?」


 「もちろんOKだよ。あー、でも悪魔を倒した後でで良いかな?」

 

 「あぁ、ありがとう。」


 魔法に関しては、後で教えてもらおう。


 「ねぇねぇザジー君、今気になったんだけど、この世界の言葉を随分流暢に話すんだね。」 


 そう言えば、カオリとは普通に会話しているし、身に着けているカードなんかの文字も読めていたが、なぜ理解出来ているのか考えたが、その答えは出なかった。


 「確かに、でも何故話せるのかは分からない...…」


 カオリは少し考えてから、急に勇者の話をし始めた。


 「この世界には不定期的に魔王が現れるんだけど。あ、魔王って言うのは知能と力があって魔物を指揮して人間を滅ぼさんとする悪い奴のことね。それを倒すために、この国は異世界から勇者として人間を召喚するんだ。」


 召喚?

 どういうことなのだろう。


 「召喚ってどういうことなんだ?」


 「召喚って言うのは、このケミストリアではない他の世界から、人を連れてくるってことだよ。」


 人を連れてくる……異なる世界から?

 連れてきて何の意味があるのだろう?

 

 「少し難しいな。人を連れてきて何の意味があるんだ?」


 「意味としては、異世界から召喚された人はこの世界にやってくると同時に、強力な力を得られるんだ。その力を用いることで魔王を倒そうってことなんだ。」


 強力な力……どんな力なのだろう。


 「強力な力ってどんなものがあるんだ?」

 

 「そうだねー、特殊なスキルだったり、圧倒的な怪力だったり、膨大な魔力だったり。力には色んなパターンがあるね。」


 確かに、圧倒的な力があれば、どんな奴も倒せてしまうかもしれない。


 「あ、言っちゃうと、私も召喚された人間なんだ。だから生まれも育ちもここでは無いんだ。」


 なんか今サラッと凄いことをカミングアウトされた気がする。

 カオリは召喚された人間!?

 なら空を飛べるこの力にも納得だ。 


 「ちょっと待ってくれ!ということは、この空を飛んでいるのはカオリの得た凄い力ってことなのか?」


 「うーん、まあその一部というのが正解かな?私は召喚された時に膨大な魔力を手に入れたんだ。この飛行魔法は私の魔力を動力源にしている訳だしね。」


 ふと自分はカオリの様な召喚された者なのではないかと考えてみた。

 が、情報が無さすぎる。

 自分では判断のしようがなかった。


 「で、なんでこの話をしたのかと言うと、召喚時に言語理解のスクロールを召喚された人に使うんだ。それを用いる事で、いきなりこの世界の言語を理解できるようになるんだ。それで君にはもしかしたらそれが使われたのかなって思ってね。」


 「言語理解のスクロール...確かに考えられるけど、俺が使われたかどうかなんてのは分かるものなのか?」


 カオリは得意げに言った。


 「うん。君にはね、言語理解のスクロールが使われた痕跡があるよ。実はこっそり私の魔動コンピューターで身体検査してたんだ。」


 いつの間に調べたのだろう。

 これも魔法なのだろうか?


 「なら話をもう少し詳しく聞いても―――」


 「話してあげたいのは山々だけど、現場に到着しちゃった。ごめんね。」


 話に夢中で忘れていたが、目的は悪魔を倒すことだったのを思い出す。

 続きは後で聞くとして、先ずはそちらを優先しよう。

 カオリは空から地面へと降下していく。

 彼女の手に連れられて俺も地面へと降下した。

 石造りの家々で構築された住宅街を進んで行くと、目の前に悪魔の姿が見えてきた。

 どうやら悪魔は複数体いるようだ。

 悪魔の姿は、黒の体に翼と角、手には武器を持っていたりいなかったりとまばらで、手当たり次第に周囲の建物を壊している。

 見たところかなり力強そうだ。

 あんな異形に勝てるのか?


 「なぁ、どうやって戦うんだ?」


 「ふっふっふ。私は魔法でちゃちゃっと片付けちゃうよ!」


 魔法...どんなものなのだろうか。

 次の瞬間、カオリは目の前に半透明のキーボードとモニターを映し出す。

 あれが魔動コンピューターだろう。

 キーボードに何か文字を打ち込み、カオリは叫んだ。


 「じゃあ行くよ!メガ・レーザー!」


 突如としてカオリの正面に大きい魔法陣と思しき文様の描かれた輪が現れる。

 そこから白い光が射出される。

 光は高出力で悪魔に向かって放たれる。

 魔法の勢いに風が吹き、カオリの水色の髪がたなびく。

 こんなのを食らったらひとたまりもない気がする。

 段々と光が消えていく。

 光が消えた後には悪魔の姿は無かった。

 

 「戦うというか、いきなり消し飛ばしてないか?」 


 「先手必勝だよ?当たり前じゃん!」


 これが魔法なのか...…

 随分と容赦が無い!

 でもこれほどの威力、そう簡単に人が持てるとは思えない。


 「うーん、この感じ……まだ近くに悪魔がいるみたい。他の人が討伐に来る前に倒しちゃおう!そうだ!次はザジー君が戦ってみる?」


 「是非と言いたいけど、俺に特殊な力があるかどうかなんて分からないし、遠慮しておく。」


 あんな凄い魔法を見せられて、戦えるとは中々思えない。

 

 「あっははは!冗談冗談!記憶喪失の君に戦わせる様な真似はしないよ。」


 冗談で良かった。

 すぐに切り替えて次のポイントへと向かう。

 そこには悪魔が居た。

 正確には悪魔と戦う悪魔が居た。

 一匹の悪魔が剣で複数の悪魔と戦っている。

 剣を持っている悪魔は、他の悪魔と比べて体が鎧のように角ばっていたり、装甲などが見られる。

 さすがのカオリもこの状況には首を傾けていた。


 「あれって悪魔だよね。なんで同族争いしてるんだろう。少し話しかけてみようか。」


 そう言って戦闘中の悪魔にカオリは近づいていく。

 力を持っているとはいえ、少しは危機感というものは無いのだろうか?


 「ねぇねぇ悪魔の君~、どうして同族で戦ってるの~?」


 その言葉に剣を持っている悪魔は戦いながらも端的に答える。


 「任務だからだ。」


 カオリはすかさず質問をする。 


 「どんな任務なの~?」


 悪魔もイラっと来たのか言葉が強くなる。


 「うるさいなぁ!終わったら話してやるから待ってろ!」


 「OK!待ってるね!」


 軽い口調で話すカオリに大丈夫かと心配したが、問題は無かったようだ。

 悪魔が戦闘を終わらせ、俺達の元へやってくる。

 

 「で?ボクに何の用?」


 悪魔はまだイラついている様子だった。

 まぁ、勝手にちょっかいをかけたのはこちらなので仕方がないのだが。


 「いや~珍しいなぁと思ってさ。悪魔同士の殺し合いなんて。」


 「魔界から任務が出たんだ、異世界に悪魔が溢れたってな。だからこうしてぶっ殺してたんだ。」


 どうも悪魔の話を聞くと、何処かの異世界に、ケミストリアの悪魔が現れてしまい、それの始末を魔界から頼まれた様だった。

 そして異世界に居た悪魔が再びケミストリアに戻ってきて今に至るらしい。


 「じゃあ、異世界で今の悪魔たちを追いかけてたんだ。へぇ、面白い事聞けたよ!」


 「あぁそうだ。まあどういう訳か、空間の穴を使って移動してたみたいだがな。」


 【空間の穴】その言葉を聞いてか、カオリは真剣な顔をする。


 「その空間の穴ってさ、異世界への扉って事?」


 「あぁそうだ。説明しただろ?異世界に行って悪魔をぶっ殺したって。何だ?空間の穴に用があるのか?」


 カオリはうーんと発してから、ありがとう、とだけ言う。


 「良いのか?もっと悪魔に話を聞かなくて。」


 「うん、大丈夫だよ。空間の穴は私の研究対象の一つだから、つい真剣になっちゃった。」


 「なら次はボクの番だな。その男は何者?」


 この悪魔は俺に興味でもあるのか?

 何が興味を引いたのだろうか。

 でも先ずは自己紹介からだ。


 「俺はザジー・クロノス、今は自分に関しての記憶が無くて、カオリに同行してる。」


 悪魔はへーとこぼしてから言った。


 「面白そうだね。ボクも同行してもいい?」


 「あぁ、別に構わな―――」


 人手が増えるのはありがたいと思い了承しようとしたが、カオリに止められる。


 「待って。悪魔は狡猾な存在、迂闊に気を許しちゃだめだよ。」


 そうだったと思い出す。

 悪魔は狡猾だったと。


 「分かったよ。契約なんてしないし、ボクが勝手について行くってだけだからサ?」


 契約無し?とカオリはますます怪しむ。


 「うーん、悪魔がそう言うなら本当なのかな。噓はつかないと信じたいけど。」


 俺は少し考えたうえで、悪魔と共に行動することにした。


 「なら、俺は良いと思うよ。」


 雰囲気こそ不気味だが、話は通じるからな。

 カオリは俺が良いなら、という感じだった。


 「ありがとう。ザジークン♪ボクはシオン。よろしくね。あぁ、武装を解き忘れてた。」


 そう言って悪魔はその悪魔らしい姿から、女の子の姿へと変わる。


 「日本の女子高生が出てきたぁ!?なんで?!」

 


 女子高生...知っている言葉だ。

 それより、彼女と言って良いのだろうか……の容姿は、黒い髪が肩まであり、瞳は紫、白と紺のひらひらした服を着ていて、胸元には赤いネクタイを着けている。

 身長は俺とカオリより低い。


 「うん、異世界で活動するために、悪魔に殺されてた子の身体を盗っちゃったんだ。再利用でエコでしょ?まあ魂は食べちゃったんだけど(笑)」

 

 その発言にカオリは乾いた笑いで返した。

 

 「シオン、よろしくな。」


 「よろしく!楽しくなりそうだね!」


 「でもなんでついて行きたいと思ったんだ?」


 「どーしてだろうね?でもそれはぁ、ヒ・ミ・ツ。だよ?」


 よく分からない悪魔だけど、恐らく悪意とかは無いように感じる。

 仲良くやれると思っていよう。

 少しして、カオリが周囲の空間の穴についての調査を終えたため、一度カオリの研究所へと戻ることになった。

 

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