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プロローグ9 【9月19日/部活見学2日目】3/異世界チート部見学2

 【扉】を通ると、そこは、【幕末の京都】を思わせる様な風景だった。

 江戸時代風の建物があちこちに見える。

 とは言っても幕末に詳しい人が見たら紛い物と指摘するかも知れない。

 ちょっと【幕末の京都】にしてはおかしな点がいくつもあり、つっこみ甲斐がありそうな光景だった。

 恐らく、日本の事をよく知らない外国人がイメージしたら大体、こんな風になる様な感じのなんちゃって【幕末京都】だった。

 歴史の事をよく知らない人が考えたらこういうことになるのでは無いかと言う様な風景。

 そこがまた、ここが、現実の世界ではない【夢の異世界】だと言うことを強調しているかの様だった。

 また、【部活見学】なので、この【異世界】の主人公にあたる【初等部4年生11カ月】の【部員】がすぐ近くに居た。

 やはり、小学4年生なのでちっちゃい。

 小学生なのだから当たり前なのだが、やはり、現在37歳の大人のまま、見学している【芳一】からすれば子供だった。

 この子供が本当は何歳なのか不明だが、やはり、自分も【入部】したらこういう子供からスタートするんだと思った。

 昨日の【文芸部】では最後まで【部員】を確認する事ができなかったが、今夜で、自分が子供として【部活】を体験していくんだと理解した。

 しばらくこの子供を見学していると3人の大人が出て来た。

 大人の一人は、

「バッサ斬り真之介だな」

 と言った。

 【バッサ斬り真之介?】と言うのは変なネーミングだと思ったが、この【異世界】での彼はそう言う設定になっているんだと理解した。

 【バッサ斬り真之介】は、

「如何にも。【バッサ斬り真之介】とは拙者の事でござる」

 と言った。

 ちょっと滑稽なやりとりだと思ったが、恐らくは【役】になりきっているのだろう。

 そこに茶々を入れるのは無粋というものだ。

 【バッサ斬り真之介】の【世界観】を否定するつもりはない。

 【芳一】はそのままの設定を受け入れた。

 大人の一人は、

「お命頂戴する」

 と言った。

 どうやら、【時代劇】の設定がどこかに入っているのだろう。

 時代がかった話し方をしているのがその証拠と言える。

 【バッサ斬り真之介】は、

「できるかなぁ~お主達に」

 と言ってニヤリと笑う。

 傍目では大人が三人がかりで、子供を襲っている風にしか見えないが、彼等の中では当たり前の光景ということになっているのだろう。

 【芳一】としてもその【世界観】にケチを付けるつもりはない。

 そのまま受け入れた。

 違和感だらけだが、それなりに緊張感もある中、大人3人は能力を展開した。

 一人は炎の玉をジャグリングして出している。

 一人は爪が刃物の様に伸びている。

 一人は口を開いていてそこにエネルギーらしきものが貯まっている。

 【バッサ斬り真之介】は、

「いつでもどうぞ。拙者はいつでもかまわぬよ」

 と大物ぶった言葉で語った。

 炎の玉を持った大人は、

「強がりを。くらえっ」

 と言ってジャグリングしていた炎の玉を次から次へと【バッサ斬り真之介】に向かって投げつけるとその炎の玉は30倍くらいに巨大になって彼の元に向かって行った。

 だが、【バッサ斬り真之介】はそれを斬りつけると炎の玉は全て霧散した。

 炎の玉を持った大人は、

「ば、ばかな」

 と驚愕した顔を浮かべる。はっきり言って雑魚の台詞だ。

 そんなに大した事した様には思えない。

 続けて、口の中にエネルギーをためた大人は口からレーザービームを吐き出した。 

 それを瞬時に斬りつけレーザービームも割った。

 続けて、刃物の爪を持った大人が、斬りつけるが、その爪も【バッサ斬り真之介】は斬った。

 そして、息もつかせぬ間に、三人の大人を斬りつけ倒して見せた。

 所々三文芝居がかった展開だったが、殺陣は見事だったと言えた。

 そして、【バッサ斬り真之介】は、

「ふっ、またつまらぬ殺しをしてしまった」

 と言った。

 どうやら、何かの【ミッション中】の一幕の様だ。

 その後も、【バッサ斬り真之介】の前には刺客となる大人達が次々と現れ、彼に倒されて行った。

 その度に、決め台詞の様に

「ふっ、またつまらぬ殺しをしてしまった」

 と言う台詞を言っていた。

 どうやらこの台詞がどうしても言いたいらしい。

 この展開で、この【バッサ斬り真之介】と言う人物がどんな性格の人間か何となく理解できた。

 今夜の【ミッション】は攫われた【お嬢様】を救い出すと言う任務の様で、大根役者同士の様なやりとりで、救い出す任務なのに何で堂々と人目につく様な行動を取るのだと言う突っ込みを入れたくなる様な展開で、何故か【ミッションクリア】をしていた。

 疑問に思っていると、【インビジブル・サポーター】は、

『【初等部】の間は、どんなおかしな展開も肯定される様に出来ています。

 【初等部】はあくまでもこの【異世界】に慣れていただくためのものです。

 実力がモノを言うのは【中等部】からになります』

 と言われたので納得したのだった。

 そんな感じで、【部活見学】の第2夜を終えたのだった。

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