プロローグ57 【9月27日/部活選択決断日3日目】4/嘘みたいな展開/事実は小説より奇なり3
【芳一】は突然、尋ねてきた17歳の少年、【能活】とデートする事になった。
連れとして、【芳一】が契約している【4体目の御神体の化身】/【芳果】と【4体目の怨魔体の化身】/【芳寿】もお目付役として付いてきている。
【芳一】は、
「【デート】って言われても君と何処を廻れば良いのか僕には全然解らないんだけど」
と言うと、【能活】は、
「【デート】は後半です。まずは、貴方の住む所を決めましょう。【日本の漫画】の黎明期には、才能のある【漫画家】の卵が集まって切磋琢磨した【伝説のアパート】があったそうです。
それを僕らも再現しましょう。マンションを一棟、買いますので、そこに引っ越して下さい。
【大門君】から聞いています。彼が貴方の住む場所を奪ってしまった事を。
だから、力になって欲しいと言われています。
本来であれば、そんな話は聞くつもりはありませんが、他ならぬ貴方が困っていると言うのであれば、話は別です。即金で購入しますので、そこに引っ越してください。
家賃は月1万円で、一月に一度、僕の依頼を受けてください。それで、敷金礼金無しで住める様にします」
「い、いやいやいや。即金で購入って。それにそれじゃ君にかける負担が大きすぎるよ」
「何をおっしゃって居るんですか?推しに自分のマンションに住んで貰えるなんて、逆に支払いたいくらいですよ。
だから遠慮なさらないでください」
「いや、でも」
『素直に受け入れなさいな。これが貴方がつかみ取った新たな運命なんだから』
『そうじゃ。向こうが感謝しとるくらいなんじゃから、ありがたく受け取れ。我はこのボロアパートから引っ越せるのであれば、どこでもかまわんぞ』
と言う話になり、まずは、住む【マンション】を探す事になり、【能活】は本当に、知覚で売り出していた【マンション】を一棟買いしたのだった。
こんな【漫画】の世界でもあり得ない展開に、目を丸くして驚く【芳一】。
つい、この間まで、【自殺】を考えようと思っていたとは思えない様な展開だった。
また、【能活】来訪の驚きはこれだけに終わらなかった。
午後になり、
「実は会っていただきたい人達が居るんです」
と言って連れてきたのは、【北海道】に住む【超美人姉妹】/【神宮姉妹】だった。
今日は土曜日で明日は日曜日という事もあり、【能活】は、【北海道】から、この姉妹をプライベートジェットで呼び寄せていたのだ。
姉妹も【ちょいちょいちょいな】に会えると聞いて二つ返事で行くと言ったそうだ。
姉の【神宮 美彩】は、
「あああ、あのあの、ずっと憧れていました【ちょいちょいちょいなさん】。
あああ、握手していただけないでしょうか?出来ればサインも」
と興奮して来た。
かなり若く見えると言っても超絶美少女が緊張するほどのイケメンでもない【芳一】も、
「こここ、この度はお日柄も良く」
と訳のわからない事を言っている。
お互いが緊張している様だ。
それを見ていた妹の【神宮 雛鞠】は、一番若いのに、
「ここは一つ、若い2人に任せて年寄りは退散しましょうなのです。
【ちょいちょいちょいな君】、姉を宜しく頼むです。
姉の【美彩】は、丁度良くおっぱいも大きくなりました。
今なら揉み放題ですぞ、うっしっし」
と訳のわからない事を言って、【姉】をプッシュして【芳一】と結婚させようとしている。
この感じは、彼の下の姪の【瑞紀】と気が合いそうなタイプと言えるだろう。
【美彩】は、
「ななな、何言ってんの、この子は?
ししし、失礼でしょ、【ちょいちょいちょいちょいなさん】に」
と言った。
緊張のためか【ちょい】が一つ多い。
【雛鞠】は、
「姉よ、この【雛鞠】に任せれば全て上手くいく。
だから安心しろ。必ず結婚させてやる」
と言って、親指を立てていた。
どうやら、姉を【芳一】と結婚させようと企んでいると言う噂は本当の様だった。
その会話に、【芳果】が割ってはいる。
『小娘、お前達の【御神体】はその連れている猫だな』
と言った。
そう、【神宮姉妹】もまた、【御神体】と契約しているのだ。
彼女達は【動物】として【顕現】させている。
【神宮姉妹】は既に、【24作】の【特別な漫画】の内、【三作目】を作り始めている。
なので、彼女達と契約した【3体目の御神体】は、【仔猫】と【子狐】と【小熊】の姿になることが出来るらしい。
さすがに大騒ぎになるから【狐】と【熊】の姿で東京に来るわけには行かないので必然的に残った【仔猫】の姿で同行している様だ。
完成形になれば、【子供】から【大人】の【動物】になるそうだ。
ちなみに、【能活】の方も【24作】の【特別なアニメーション】の【三作目】を作り始めているため、【万年筆】、【腕時計】、【大皿】の姿になれるそうだ。
現在は、【万年筆】となって彼の胸ポケットに収まっている。
この2組は【3作分】の【異能】を使えるらしい。
【芳一】はまだ、【1作】も作っていないので、【芳果】は【異能】は使えずに、仮の女性の姿で行動しているし、【芳寿】の方も同様であると言える。
こういう事は本来解らなかった事だったが、【能活】と【神宮姉妹】が会いに来てくれたおかげで知ることが出来たのだった。
その後、ランチを共にしながら、お互いの【創作物】について話し合った。
話してみると、やはり、この2組の【才能】は別格というか別次元である。
【芳一クラス】の【想像力】と【技術】を両方持ち合わせているなと思う点がいくつもあった。
まずは、お互いの【24作】についての話だが、通常、普通の人にこの話をいっぺんにするとついて行けない場合がほとんどだ。
理由は情報量が多すぎるからだ。
普通の人の想像力では追いつかないのだ。
だが、この二組は苦もなく、話に付いてきているし、彼等も同等の話を楽しそうにしてくる。
良い影響を与え合って、【創作意欲】がドンドン湧いてくるのだ。
【類は友を呼ぶ】とは正にこのことだと【芳一】は実感するのだった。
話は尽きず、まだ続くのだった。